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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
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No.087 国のウミ

うれしー事にブクマが更に増えてて、感想もくれる方がいた!



 軍国ルベルトと言う割りには、普通の中世の国って感じだ。

 ただ、道路や家などはユリエーエよりも頑丈そうな所は軍国なんだ、と納得させられる。

 後、地下シェルターがあるらしい。


 宿をとりあえず10日分とって、これからどうするか。

 古代遺産を取るの鍵を作る上で可能性として高いけど、鍵にならなかったら辛いんだよな。


「まぁ、明日にでも取りに行くか」


 今日は、この町の探索と洒落こもう。


「古代遺産ってどこにあるんだろう?」


 ――――ドンッ


「おっと、大丈夫?」

「ご、ごめんなさい」


 ぶつかった小学校低学年くらいの子は逃げるようにして行ってしまった。

 フード付きのローブを目深く被って顔が見えなかったけど、声的に女の子かな?

 なにから逃げて、


「クソッ。見失った、か」

「チッ。こっちに来たはずなのに、逃げ足が早い」


 軍服らしき物を着た人に追われていたのか。

 けど、あの子が何をしたんだ?

 悪い子には見えなかったけど、凶悪犯罪者とかだったのかな?

 または、あれで年齢が高いってオチか?


 僕はあの子が逃げた方に足を向けて歩き出す。

 面白そうな匂いがするから、首を突っ込んでみるか。


「いた!」


 路地裏をいくつか回ってやっと見つけた。

 びくっと震えて恐怖に染まってる目を向けられる。


動くな(・・・)」 


 逃げられると厄介だから言霊を乗せて発する。


「驚かしてごめんね。気になっちゃって」

「こ、来ないで」


 軽く脅したにも関わらず、恐怖を振り切って逃げてしまった。


「ダメだ、逃げられてしまった」


 てか、路地裏ってこんな迷路になってるんだ。

 もう、どこがどこだかわかんない。


 屋根の上に登って大通りに出る。

 さて、どうするか。

 もう暗くなってきたし、宿に戻って明日にでもちょちょっと古代遺産でも盗むか。



 ※



 スパイ映画とかでもあるように、何か物を盗むときは普通、真夜中に侵入するのが定石だよね?


「なのになんで僕は優雅に寝ちゃったんだ……」


 時刻は12時を回る。

 寝過ぎちゃったなんて物じゃない。


 ――――トントントン


 扉がノックされる。

 僕に客は来ないと思うけど誰だろう?


 扉を開けるとそこにいたのは、


「カズラ! よかった」

「……? シャル、だよね? なんでここに?」

「それはこの国、軍国ルベルトは古代遺産を扱っていて、それを勉強するために留学しに来たんです」

「なるほど」


 シャルはそんなに勉強熱心だったなんて、知らなかった。


「それと、チルもちゃんと従者してるね」

「はい。カズラ殿の言いつけ通りに」


 それって、シャルの従者をするのが嫌に聞こえないか?

 実際、シャルの顔が目に見えて暗くなってるし。


「シャルさまは急に留学したいと言ったり、本音と建前が逆になったりと大変なんです」

「も、もう! チル、それは言わなくていいの!」


 相変わらず2人は仲がいいらしい。

 でも、なんで僕の居場所がわかったんだろう?

 認識阻害だけじゃ足りないのか?

 それとも、ピエールにバレて場所を教えられた、とかかな?


「なんでここがわかったの?」

「うーんとね、町に凄い怪しい占い師がいたんだけどね、その人が探し人はここって教えてくれたから」

「占い師、ね。ピエールではなかったか」


 でも、その占い師って何者なんだろう?


「で、護衛は?」

「振り切った」

「……えっと、護衛を振り切ってここまで来たって事だよね?」

「そうだよ。護衛のピエールが煩かったんだもん」


 あの人なにやってんだ。

 護衛が、護衛対象から離れるなんて言語道断だろう。


「じゃあどこか行くの? 僕も護衛としてついてくよ」

「本当! 今日から1週間は剣舞祭ってお祭りなの。だからいっぱい回ろ」

「うん。いいけど、その剣舞祭って?」

「その名の通り、剣の腕前だけで勝負する大会だよ。エントリーは今日の夕方までだから、出るなら先にエントリーしてこよ」


 という事で、エントリーしに行く。

 なんでも、この剣舞祭の上位者は軍からのスカウトが有るとか無いとか。

 軍国というだけあり、軍が1番稼げるというのもあり、毎年凄い白熱した大会になるらしい。

 また、七聖剣も参加することがあるとか。


「それにしても人が多いですね」


 チルが僕とシャルを交互に見ながら言う。

 何を考えているんだ?


「そうですよ。はぐれたらいけないので、手を繋ぎましょう!」


 そう言うと、チルは僕とシャルの腕を掴んで手を繋がせる。

 そして、()気無(げな)く姿を眩ませた。


「まぁ、いっか。シャル、ちゃんと握っててね」


 僕は宝玉の力を使って重力を軽く緩める。

 そして、混雑している道から屋根上をフワフワと移動する。

 さながら、ストックホルムの空中散歩みたいだ。

 行ったことないけど。


「大丈夫? 怖くない?」

「うん、大丈夫。凄いね、これ。これも魔法?」

「うーん、そんなようなところ」


 魔法というより、神の力なんだよなー、これ。

 それにしても平和だ……とかフラグを立てないようにしないと。


「あっ、あそこが受付です」

「了解。ちょっと失礼して」


 僕はシャルを抱き寄せてから、お姫様抱っこに切り替える。

 そのまま、軍国ルベルトの町を下にひとっ飛びで目的地に到着する。


「どうぞ、シャルお姫様」

「は、はい///」


 流石は本物のお姫様だ。

 こう、なんでも助けたくなっちゃう可愛さが滲み出てる。

 いっその事、僕の財力で一生養ってあげるのもアリだな。

 っと、そんな事を考えてないで、


「剣舞祭にエントリーしたいです」

「かしこまりました。身分の証明出来る物と、必要事項をお書きください」


身分証はダンジョンカードを、必要事項は、住所とか、今泊まっている場所はどことか、そんなだ。


「お願いします」

「ホオズキ・カズラさん。受付は完了ですので、明日の10時頃、こちらにお越しください」


 明日の10時か。

 なら、剣舞祭が終わるまで、古代遺産を盗むのは延期だな。

 シャルを巻き込みたくないし。

 いや、でも下見だけはしておきたいところだな。


「シャルさま、カズラ殿」

「おう、チル。勝手にいなくなっちゃダメじゃないか?」

「い、意地悪言わないでください。少し距離を取ったら急に屋根の上に飛び乗って。こっちは下で、凄い混雑してたんです!」

「ごめん、って。チルも一緒に屋根上の空中散歩するか?」

「えっ! し、しません!」


 どうやら、結構ご立腹らしい。

 怒っても血圧が上がるだけだし、良いことは無いのに。

 まぁ、怒らせたのは僕だけど。


「あっ、カズラ。あの人が占い師さん」


 シャルが指さした方には、昨日に挙動不審なぶつかってきた女の子?がいた。

 その近くには軍人がいる。


「助けるか」

「ちょっ、カズラ!」


 僕は女の子に近づいて軍人から隠すようにする。

 そのまま少しして、軍人は遠くに行ってしまった。


「大丈夫か?」

「あ、あなたは、あなたのなんで未来が見れないの!」


 そんな泣きそうな声が広場に響き、人々の足を一瞬止める。



マジで感謝です

空飛びます、空飛べちゃいますよ、マジで!

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