No.065 約束のトリケシ
朝起きたらブクマ増えてたありがとーーー!
更新!
「そうだなぁ……」
ドールさんに新たに造ってもらった黒色のガラスのように刀の銘を決めてもらう。
「黒鬼、なんてどうだ?」
「黒鬼……悪くない。でもなんで鬼がつくんですか?」
「なんでって、お前、人間じゃねぇだろ?」
「「「えっ!」」」
僕とA組の皆の声が重なる。
いやいやいや。
なんで?
まず、僕はドールさんと初対面な訳であって、しかも僕の見た目はどこからどう見ても人間だよね?
「えっ、って葛は気がついてないって事か?」
「い、いや。そういうわけではなくって、何でわかったんだ? って思ったから」
文鷹の質問を咄嗟に答えた。
否、答えてしまった、の方が正しい。
「そうか、やっぱり人外か。ちなみになんて言う種族なんだ?」
「えっと、なんで反応が普通なの?」
「もっと驚いてほしかったか? 怖がってほしかったか? そりゃ、ドワーフとかエルフとかいるんだから精霊とか悪魔とか居てもおかしくないだろ」
これまた宮野と似ている台詞だ。
結構、受け入れられるんだな。
「吸血鬼ってやつだよ」
「吸血鬼ってどんな感じなんだ? やっぱり太陽って苦手なのか?」
「ニンニクは食べれるの?」
「十字架見たら死んじゃうの?」
次々に質問攻めされる。
どれも僕には効果が無い物ばかりだけど。
「太陽は克服したよ。ニンニクは一時期苦手な吸血鬼が沢山いたから勘違いされているだけ。十字架も同じ感じだよ」
「そうか、吸血鬼かぁ。なら黒鬼は丁度いい名前なのか?」
案外良いかもな。
ってココナ先生が宝玉をキラキラした目で見ている。
そんなに宝玉が欲しいのかな?
いや、そんな事より新しい刀を、黒鬼を早く試したい。
試し斬りしたい。
「皆はこれからどうする? 僕はちょっとダンジョンに行ってこようと思って」
そう伝えると、もう少しここで休むらしい。
するとドーラのお母さんが「好きなだけ泊まってっていいからね」と言ってくれたので、お言葉に甘える事にした。
とりあえずレベルSダンジョンを茶々ッとクリアしちゃうか。
クリア出来ればいいけど。
※
僕は1人で町に出る……嘘。
後ろから宮野がついてきてるから1人じゃない。
「宮野、一緒に来るの?」
「うん!」
気がついてくれたのが嬉しかったのか満面の笑みでこっちにかけってくる。
そのまま宮野は僕と手を絡ませて歩き始める。
「ダンジョンだけど本当についてくるの?」
「うん。私は鬼灯くんの役に立ちたいからね」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、宮野って戦闘苦手だよね?」
僕のイメージだと宮野は好んで戦おうとはしない娘だ。
「えー、そうかな? 鬼灯くんよりは弱いけど、伊達にA組にいた訳じゃないんだよ?」
「それもそうか、案外メス捌きとか上手だもんね」
メスが武器って流石病院の娘って感じだな。
てか、メスってめちゃくちゃ近づかないと使えないよね。
不便だよな、なにかいい案があればいいのに。
「ここ?」
「ここのはず」
ついたそこは大きな建物。
とても頑丈そうな創りをしていてそれだけの施設だ、ということがわかる。
自動ドアを通り中に入ると長い長いエスカレーターがある。
その先には浮游している島?
あの天空の城のような。
あの某デスゲームの浮遊城のような。
「あれがダンジョンなんだね」
「だから建物だったんだ。行こ、鬼灯くん」
宮野に手を引かれてエスカレーターに乗る。
エスカレーターはゆっくり、ゆっくりと進み10分くらいして乗船口についた。
「エスカレーターは繋がってるんじゃないんだね。か、葛くん!」
「そうだね、船に乗って行くんだね」
宮野は嬉しそうにはしゃいでいる。
一応、高校生なんだからと、思わなくはない。
「入場料が100,000になりやす」
「へぇー、案外高いんだ」
僕は2人分を支払い船に乗り込む。
船は遊覧船のように外の景色が見えやすい構造をしていたが、場所が場所。
下を見ると多くのビルが建ち並び見てても面白い物ではない。
まぁ、そんな事を考えている内に、
『お降りのさい、お足下にはお気をつけください』
あっという間に到着した。
「さぁ、宮野。行こっか」
僕は宮野と一緒にドワーフの大陸、エクスターチのレベルSダンジョンへと足を踏み入れる。
※
はい、結果は楽勝のチート級。
まず、黒鬼の斬れ味が異常なくらい凄い。
もう、ずっと「陽法 黒の太刀 断絶」状態だから下手な武器だと相手にならない。
それと、なんでこんな「宝玉」とか言う理不尽な力があるのか理解できない。
これを1つでも手に入れられれば他のダンジョンも簡単にクリアできるようになっちゃうじゃん。
まぁ、今はそんな事いい。
だって、
「宝玉の力よ」
僕の後ろに新たな宝玉が、茶色い宝玉がフワフワと浮かび上がる。
これで出来るのは『錬金術』と『地形操作』の2つ。
錬金術はドールさんが使ってたアレだよな。
「傲慢に行こう」
地形操作でレベルSダンジョンの最上階を封じ込めてからダンジョンを出る。
なんでそんな事をするかって?
そんなの簡単だ。
もし、また他の吸血鬼に能力がとられたら嫌だし、次こそは失いたくないから。
大事な人を。
――――ブブブ ブブブ ブブブ
またも嫌になるメールが届いた。
獣族の大陸、ギャンのレベルSダンジョンがクリアされた。
全く持って気にくわない。
それが天神族で、天神族の大陸、サルバンのレベルSダンジョンをクリアした人なのだから。
……いや、僕の方がまだ宝玉は多い。
なら別に襲われてもどうにかなる……かな?
とりあえずはこのエクスターチを満喫しようじゃないか。
「宮野、皆の所に帰ろう」
「うん!」
宮野は腕を絡ませてきて、ノリノリで帰りの飛空船に乗り込む。
※
「ただいまー」
「お帰りーって鬼灯くん! ダンジョンに行ってきたんだよね?」
「そうだけど?」
「まだ3時間くらいしか経過してないけど」
我が家のように帰ってきた石上の家。
そこで出迎えてくれたのはココナ先生だった。
「ココナ先生。僕は吸血鬼です」
「そうなの!」
「あれ?」
あの場には先生もいたはず。
よーく、よーく思い出してみよう。
少し上にシャーーってすればわかるけど、ココナ先生は宝玉に目を奪われてて話を聞いてなかったっぽい。
ダメだ、あの不正教師といい、この姉妹はポンコツなのか?
「まぁいいや。僕は吸血鬼で、レベルSダンジョンはこれで3つ目のクリアになります」
「そうだったの! しかも3つ……日本のと、ユリエーエのと、エクスターチのって事ね」
「そういう事です」
「まさかA組にこんな逸材がいたなんて驚きです。お姉ちゃんはなんて勿体ない事をしたんだろう」
あー、大変な妹を持ったもんだね。
多分、今ごろ刑務所の中なんだろうな、無賃飲食で。
「まぁ、そんな訳で僕にかかればレベルSダンジョンも簡単です」
「そ、そうなのね。凄いわね、吸血鬼って」
あっ、やっぱり簡単に受け入れられるのね。
しかも怯えられないで。
いい世の中だ。
「みんなは?」
「みんなはドーラちゃんに連れられて遊びに行ったよ。友達と自分の国に来たのが嬉しかったようね」
なるほど、それは少し残念だ。
まぁ、またの機会があるだろうからな。
ブクマの分
マジでありがとーーー
感想とかも送ってくれていいんだよ?




