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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
3章 独裁者編
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No.056 事情とシュウゲキ



『始まりましたー、武道大会。本日、司会を務めさせていただきます、シュガーでーす。よろしくー』


 可愛らしい司会の声に黄色い歓声が上がる。

 シュガーはこの国1番のアイドルらしい、知らんけど。


『さて、本日の武道大会、といく前にダンジョンギルド決闘を始めたいと思います。まずはブラッドバットギルドよりルーカス・ルグリニカーー』


 レイピアを腰に刺した高身長、190cm以上ある背丈に色白の肌。

 ギルドの名前は血の蝙蝠(こうもり)という厨二っぽい……吸血鬼の事なのか?

 気配を隠してるのか感じないな。


『対するはー、シルバーウルフギルドより鬼灯(ほーずき)(かーずーらー)


 その声で僕は会場に入場していく。

 石畳で出来た地面にその会場を囲む観客席。

 多くの観客で賑わっていて……あっ、いた。

 和紗を発見したが、なんか浮かない顔をしている。


『ルールは簡単。相手を場外に落とすか相手を戦闘不能にすること。なお、殺したらその時点で失格となるのでそのつもりを。それではー、ダンジョンギルド決闘、開始!』


「よろしくお願いします。ホーズキさん」

「よ、よろし――」


 相手が、ルーカスが挨拶をしてきたから返そうとしたら一瞬にして距離を詰めてレイピアで突き刺してくる。

 それを黒夜叉で受け流してから距離をとる。

 てか、ホーズキってさっきの司会のせいだな!

 ホーズキとかかっこ悪すぎでしょ。


「ほう、今のについてきますか」


 軽く合わせた感じ僕よりも弱め? な感じだ。


「これならついてこれますか? 陽法」


 相手はやっぱりと言うべきか、吸血鬼だった。

 だいたい和紗と同じくらいの強さだから第三始祖かな?


 さっきよりも速いレイピアの突きをギリギリで受け流す。

 うん、まだ大丈夫だな。

 これってアレだよね?


『おーーっと、またまたルーカス選手の攻撃を華麗にかわしていくーーー!』


 武道大会とか言うくらいだからエンターテイメントとして瞬殺は良くないよな。


「ま、まさかこれも避けますか。ですか、避けてばかりでは倒せませんよ?」

「なら少しだけ。陽法 翠の太刀 飛雲」

「――ッ」


 なにかを感じたのだろう、見えない斬撃をルーカスが避ける。

 これを避けるか、なら。


「陽法 紺の太刀 戯れ」 


 沢山の斬撃がルーカスを襲うが、それをギリギリの所で避けている。

 何発か当たっているが大怪我には繋がらない。

 てか、


「治らないのか」

「な、なぜ治らない!」


 吸血鬼の攻撃ってやっぱり凄いや。


「よくも、よくも私の体に傷をつけたなー」


 今までは傷ついてもすぐに治ったんだろうなー。

 まぁ、関係ないか。


「血よ。そして私に力を」


 (「やっぱり) (吸血鬼、か」)


 レイピアの持ち手から棘がいくつも生えてきてルーカスの手を貫通させる。

 その血は全てレイピアに吸収されていき、禍々しい気配を漂わせる。


「死ねぇぇッ」


 レイピアでの連続的な突き攻撃を全て見切って避ける、かわす、いなす。

 

『おーーっと、ルーカス選手の猛攻を華麗にかわしていくーー!』


 可愛らしいアナウンスが聞こえ、周りからも歓声が押し寄せてくる。

 それだけに止まらず、


「ほぉ、ほぉ。なぜ、なぜ仕留めない。早く終わらせろ」


 ルーカスの所属しているブラッドバットギルドのギルドマスターと思わしき豚……間違えた。

 ぶくぶくと太った男が声をあげている。

 それが聞こえたのかルーカスは焦りだし剣先がブレ始める。


「ちょぇぇぇ」


 奇妙な声をあげてきた、渾身の一撃を軽くいなしてから距離をとる。

 そろそろ終わりかな?


「また避けてばかりですか?」

「陽法 灰の太刀 朧月・峰打ち」


 一瞬にして距離を詰める僕。

 相手の首に峰打ちを打ち込むが、相手は吸血鬼という事もあり気絶には至らずルーカスの猛攻が再会される。


「私はー、私は勝たなくてはいけないのだー。ブラバトギルドの最強たるこの私が負けるなど」

「目障り。陽法 黒の太刀 断絶」


 レイピアを持つ手の方を肩から斬り落とす。

 そのまま足刀を喰らわせて場外に吹き飛ばす。

 殺してはいけない、という制約つきだからこれが1番いいだろう。


『し、勝者、シルバーウルフギルドの鬼灯(ほーずき)(かーずーらー)!』


 司会の声にドット会場の盛り上がりが最高潮を向かえる。

 これで僕の仕事は、


 ――――パンッ。


 1つの音。

 聞き慣れてはいないが知っている音。

 飛び道具として強く、科学の力と言っていい物。

 銃という物の音がした。


「撃たれたのか」


 僕の肩口は吹き飛び黒夜叉と僕の右腕は地面に落ちている。

 そして、


 ――――パンッ。


 もう一発。

 舐めているとしかとれない。

 僕の右足を失った、てか、落ちている。


「ほぉ。どうだ? どんな気分だ? お互いが第二始祖だから怪我は治らない」


 会場のボルテージは最高潮から一転、阿鼻叫喚する観客たち。

 和紗や他のみんなも観客たちの波に押されて会場を出ていく。

 流石にあの波に逆らうのはよくないしね。


 そして僕に近づいてきた豚……また間違えた。

 油でギトギトとした顔が特徴的で、ぶくぶく太っている男。

 正直言うと、


「気持ち悪い」

「な、生意気な口を聞くなー! ほぉ、ほぉ。」


 もう一発。

 次は左肩を撃ち抜かれ左腕は吹き飛ぶ。

 宝玉の力を使うのはなんか違うような気がするんだよなー。


「ほぉ、ほぉ。さぁ、最後に言い残す事は?」

陽炎(かげろう)


 僕のその一言で耳にある〔ロップランス〕が光輝き僕は炎に包まれ怪我は無かったことになった。

 ロップランスをイヤリングにしててよかった。


「さて、なんだっけ? 言い残す事、だっけ?」

「な、なにをしたんだ? し、死ねぇ」


 次は失敗しない。

 銃弾を黒夜叉で全て斬り伏せる。

 すると次の瞬間には脱兎の如く豚男は逃げ出した。

 脱兎じゃなくて脱豚(だっとん)だな。


「いや、そんなことより追わないと」


 僕は豚男を見失わないように追おうとしたが、ブラッドバットギルドのメンバーと思われる人、吸血鬼たちが立ち塞がる。

 その中にはさっき場外に吹き飛ばしたルーカスの姿もあった。


()って(たか)って――――」


 ――――ブブブブ ブブブブ


 僕を含めて敵のスマホも色々な音をたてて鳴り出す。

 内容は簡潔に、ドワーフの大陸であるエクスターチでレベルSダンジョンがクリアされたという物。

 ここ立て続けに起きてしまっているダンジョンクリア……運が良いのか悪いのか。


「まーずは、宝玉の力よ」


 辺りは一瞬にして闇に覆われ、僕の後ろには黒く光輝く宝玉が浮かんでいる。

 僕は宝玉の力の『理』の方ではなく、『影』の方を使う。

 こっちの方がお腹が空きにくいという事がわかったからこっちをなるべく使おう。


「影よ、包み込め」


 普通はこんな事を言わなくてもいいけど、かっこつけの為に言ってみた。

 影は敵を、吸血鬼たちを縛りあげて動けなくさせていく。

 全員を拘束するのに10秒もかからなかっただろう。


「さて、あとはあの豚男だけ」


 僕は豚男が逃げていった方向。

 その先にある、このユリエーエの大陸のレベルSダンジョンへと足を踏み入れる。



ブクマが増えるたび更新する予定……

ブクマしてくれた方、マジでありがとうございます!


ブクマ、感想、ptぜひぜひくださいまし!

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