No.053 仕事とワタシ
更新デス!
「ユリエーエにはあんまり行きたくなかったから」
僕はそう言われて思考を巡らせる。
普通に考えると和紗がユリエーエに行きたくない理由なんて無いに等しい。
ただ1つ、1つだけあるとしたらドリーさんを狙ってた組織が関係している、という事。
でも、違うかもしれないし、和紗が言ってこないから僕からは聞かない事にする。
「そっか。でもごめんね。ユリエーエが1番みんなの負担にならないから」
「わかってる」
和紗はトボトボと部屋へと戻っていく。
「大丈夫なんですか? 八乙女さんが行きたくないと言っていましたけど」
「はい、大丈夫だと思います」
そう、大丈夫だ。
宝玉の力を過信するつもりはないけど、僕はそう簡単に負けるつもりはないんだ。
※
長い長い船の旅。
約2日でユリエーエに到着した。
そして到着したみんなは、僕も含めて、
「地面が揺れてるように感じる」
「グワングワンしてる」
ずっと海の上だった影響で地面が揺れていて気持ちが悪く感じる。
まずい、吐きそうになってきた。
「宝玉の力よ。僕は、ここにいるみんなの三半規管を戻して」
一瞬にして変な酔いから解放されたみんな。
うん、これはちゃんと効いているみたいだ。
なら、なんで僕の事は忘れなかったんだろう?
「セバス、なんでA組のみんなは忘れなかったのかな?」
「わかりません。宝玉の力も始めて聞きましたので」
「そっか、ありがと」
宝玉を集めていったらその内わかる日が来るのかな?
「じゃあどうしよっか。別行動は流石に危ない気がするし」
「まずは拠点となる宿屋を探すべきでは?」
「ナイス、ココナ先生」
いやー、連れてきて良かったかもな。
間違えて海の藻屑にするところだった。
「セバス、頼める?」
「かしこまりました。少々お待ちを」
セバスに頼めば間違いなんて起こらないだろう。
それにしても、街並みが日本と全く違うんだな。
主に木やレンガの家ばっかりだし、地面もコンクリートじゃなくて石畳だし、これが世に言うヨーロッパ(ナーロッパ)ってやつか?
「お待たせいたしました」
「早いね。それで?」
「はい、葛さまと和紗さまは同室で構いませんよね?」
「うん」
「それでしたらご案内いたします」
それからセバスに連れられて10分?
僕が待っていた時間って10分も経ってないのに、どんだけ早いんだよ。
「こちらになります」
「オッケー。お金は?」
「到着してから、と」
「わかった」
そのお店は「ブタのシッポ」という名で、1階が酒場、2階から最上階である4階までが宿泊場所になっている。
1階で受付をするようだ。
「すみません。11人で……いや10人でお願いします」
危ない危ない。
ココナ先生は一応なにか面倒事が起きたら嫌だから鈴華と一緒にしないと。
「わかったよ。何泊だい?」
「んー、とりあえず1ヶ月で」
「1泊1,000円で10部屋。それで30日で300,000円だよ」
「わかりました」
僕はダンジョンカードで支払いをする。
それにしても1泊1,000円とは安いな。
多分食事がないし、お風呂も無いんだろうな。
みんなに鍵を渡して1時間後に集合とした。
船旅で疲れただろうし、僕がちょっとやりたい事があったからだ。
「それで、葛くんは何してるの? 黒夜叉なんて構えて」
「ん? 神樹の枝を木刀にしようと思ってね」
前までは斬れなかったけど、今は違う。
これで木刀をやっと作れるんだ。
「陽法 新・黒の太刀 絶壊」
綺麗に綺麗に木刀の形へと削いでいく。
そして10分後、完成した。
思いの外、鋭利になってしまった木刀。
名を「神木刀」にしよう。
うん、相変わらずネーミングセンスが皆無すぎる。
「そうだ。和紗、僕はちょっと武器とか売ったり鑑定してもらいに行くけどどうする?」
「私も行く」
「じゃあ、行こっか」
僕たちは宿屋、ブタのシッポを出て適当に歩く。
一応は道を覚えているから来た道を戻るだけでいい。
お店は分かりやすく看板がついていて、そこに絵が描いてある。
物を換金できるお店ってどこだろう?
「葛くん、このお店は?」
「ここって、魔石屋?」
看板は石の絵、ガラスのショーケースの中には数々の魔石が展示されてる。
魔石なんて持ってないから、いや、買うついでに聞けばいいのか。
「いらっしゃいませー。あっら、いい男っ」
「ウゲェ」
その人の第一印象は変態。
ピッチピチの洋服にヒラヒラのスカート、髪は短いおさげのおじさん。
絶対ヤバいヤツだよ、入る店を絶対間違えたって。
「今日のご用はなんで?」
「か、鑑定をしてもらえる場所を探してて聞こうと」
ダメだ、怖くて目を合わせられない。
てか、合わせた瞬間に襲われそう。
「鑑定なら私がやってあげるわよ?」
「な、ならお願いします」
僕は木刀と天津神の刀と黒龍の曲刀を視てもらう。
「あっら、凄い。全部業物じゃないの。まずはこれからね。[樹刀]で能力は〔破壊不能〕と〔固有能力:植物創造〕。言葉の通りね」
あっ、神木刀って名前つけたけどあったのね。
樹刀ってなんかそのまんまだな。
考えた人誰だよ、楽観的な。
「次にこれは[鏡幻刀]で、能力は〔合わせ鏡〕と〔写し鏡〕。合わせ鏡は相手と同じ動きをできる。写し鏡は合わせ鏡で動いた動きを再現する。相当な物ねぇ」
やっぱりそういう技か。
でも普通に使えるかもな、悪くない。
「最後にこれは[黒き物]で、能力は〔■■■■〕……ごめんなさい、わからないわね」
「そうですか」
なんなんだろうか?
それかもう能力が無くなったとかそんな感じかな?
「これは売るのかしら?」
「うーん、その黒き物だけ売ります」
「わかったわ。あら、それは珍しい」
その変態おじさんが指さしたのは小さな黒夜叉。
これを触れれば大きくできる優れもの。
「珍しいってこれをする方法があるんですか?」
「えぇ、たしか」
変態おじさんはショーケースを漁ってから2つの魔石を見せてくれた。
「これはピグミードラゴンって言う幻獣種が落とす物なの」
「なっ、相当レアな物なのか」
「まぁ、これもおんなじでしょ?」
「はい」
「ならこれと交換で」
「わかりました」
さて、樹刀を小さくキーホルダーにしよう。
鏡幻刀は使わないだろうしね。
でも、ピグミードラゴンか、見つけたらすぐに狩ろう。
そして色んなのを小さくしてしまおう。
後1個は何に使おうか?
※
魔石屋から宿屋に戻ると丁度集合時間になっていた。
みんなは酒場に集まっていて、僕と和紗が最後に到着という形になった。
「みんなに言うことは、えーっと。とりあえず1ヶ月はここのお金を払ったから自由行動。まぁ、みんな自由に観光していいよ」
「あ、あの。お金は――――」
「――――いいって、大丈夫。ありがと、ペトラ」
あー、猫耳がピクピク動いてて可愛いんじゃー。
王族としてお金を払おうとしたのかな?
別に気にしなくてもいいのに。
お金に困ってないから、今はね。
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