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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
1章 略奪者編
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No.004 明日のヨゾラ

更新!



 夏休みの終わりが近づいてきた今日、この日。

 僕は、僕は、今日が三者面談というのにまだ進路が決まっていない‼


(かずら)、行くわよー」

「はーい、(不本意ながら)今行くー」


 そう、何が嫌かって僕の学力は今の中学の上の下(中の上)。

 それは問題ない、が、何せ進路が決まっていないというのが大きな大きな問題だ。


「葛、進路はどうするつもりなの」

「(今それを考えているところ)」


 いっそのこと、吸血鬼になれて、力もつけれたんだから試験は難しいだろうが、国が運営している学校、『ダンジョン国立専門高等学校』に行くのも悪くないかもな。

 僕の学校からも、何人か(知ってるだけで2人)受けるらしいからそうしよう。

 うん、一度決めたら即実行。


「お母さん、決めた。決めたよ」

「また、葛は決めたら突拍子もない事言うんでしょ?」

「そ、そうかな///」


 あれ?

 お母さんの顔が微妙な苦笑いになってる。

 まぁ、いっか。


「葛ね、ダンジョン国立専門高等学校に行く」

「はぁー、やっぱりか。でも葛の学力や運動神経じゃ無理じゃない?」

「やってみないとわかんないじゃん。お願い、ね? ね?」


 そんないつもと変わらない会話をしていると学校についた。

 よし、ここからが本番だ。


「よう葛。元気にしてたか?」

「おはようございまーす、先生」


 体育教師で熱血、いかにもアニメに出てきそうな先生が僕の担任、熱血(ねっけつ)青春(あおはる)先生だ。


「それでは三者面談を始める」とその言葉で三者面談は始まった。

 そして僕が第一志望を伝えると、先生は驚き、「無理だろ」って顔になり、「でも頑張るなら」と顔がコロコロ変わって面白かった。

 じゃない、じゃない、じゃない。


「本当にいいんですか?」

「あぁ、ただ受験日が9月中にあるからそれまでに準備をするように。ちなみに筆記と実技どっちで受けるんだ」

「(筆記はどう頑張っても無理なので)もちろん実技です」

「怪我だけは気を付けろよ。それと第二志望も決めておけ。そっちは筆記しかないからな」


 わかっています。

 もちろん、わかっています。

 落ちたらドンマイ、そう考えているから大丈夫。


「じゃあ9月の始業式までに第二志望は決めてコレに書いておけ。親の判子と一緒にな」


 そう、念押しされて三者面談は終了した。


 校門を出ると、お母さんは買い物に行くらしく別れて帰ることになった。


「そして、わざわざ待っててくれたってわけね」

「ふん、悪者にも悪者なりに流儀がある。関係のない人を巻き込んでも意味がないからな」


 今、ちゃっかりと悪者って言ってたよ。


「俺は第十始祖のジェイソン・ジュクス。ここで俺を第三始祖にしてくれたら見逃してやる」


 「見逃してやる」か。

 生憎だけどここで試験の練習をさせてもらおう。

 僕はコレでも取り柄がないから、武道を少しやっている。

 大会で成績を残してないから誇れないけど……。


「僕は第二始祖の鬼灯(ほおずき)葛。」

「やはり、やはりか。なら第一始祖の場所を知っているなら吐け。そうすればすぐに終わらせる」


 うん、この感じ、ドリーさんの事を言って第三始祖にしたら確実に殺される可能性が高い。

 なら、


陽法(ようほう) (しろ)の太刀 抜刀辻斬(つじぎ)り」


 腰にあるキーホルダーに触れて刀を具現化する。

 そして、昨日本で読んでぶっつけ本番。

 刀は白く輝き出してから僕は足に力を込めて人蹴り、一瞬で相手とのスレ違い様に斬りつける。

 ちなみに陽法は「自分で考えてね」と書いてあったから、適当にやってみたが成功した。

 やっぱりイメージはとても大事なようだ。


 首を斬り落としたからなのか、この武器の力なのか相手は灰になり消えてしまった。


「ダメだ、気持ち悪い。早く帰ろう」


 どうやら、日焼け止めが切れかけてるようだ。



 ※



 なんとかして家に帰る事ができた。

 まずは願書を書く、ボールペンで一文字一文字間違えないように……やってられるか。


 こういう時、昔はボールペンで書くのに今はスマホ一つで出来てしまう。

 全てを記入して送信……すぐに返信が来て、明日面接をすることになった。

 明日面接をすることに?


「ねぇねぇ、葛。なんでそんなに絶望的な顔してるの?」

「おいまて、(とおる)。それはどういう意味だ? 元々絶望的な顔ってことか? それとも今は絶望的な顔ってことか?」

「後者だよ」

「だ、だよなー。よかった」


 でも、今は絶望的な顔をしてるのも無理はないだろ。

 だっていきなり面接だよ?

 練習なんて一切合切してないのに。


「葛、透、ご飯よー」

「「はーい」」


 ご飯が完成したようなのでリビングに向かう。

 嫌だな、嫌だな、この抜き打ちテストみたいな感じが凄く嫌だ。


「お母さん、ダンジョン専門国立高等学校の面接が明日あるから9時には家をでるね」

「うん、わかったわ。頑張ってね」

「おまえ、国立受けるのか? 大丈夫なのか? 受かるのか?」

「大丈夫だよ、お父さん。なんとかなるって」


 お父さんは重度の心配性で小言が多い、けど、中々怒らないから嫌いでもない。


 それに今言ったなんとかなるはなんとかなるもん。

 もし、急に実技をやっても問題ない。

 あっ、でも吸血鬼ってバレる訳にはいかないから力を抑えないと。


「そ、そうだよな。葛は武道をやってるから案外どうにかなるかもな」

「そうでしょ?」


 まぁ、それのおかげでうまく刀が振れたっていうのもあると思う。


 えっ、どんな武道をやってるか気になるって?

 僕の武道は突き蹴り投げ絞めがありちょっと特殊で、棒術なんていうのも少しある(本当に少しだけ)。

 それをやっているからなのだ(名前は伏せます)。


 はぁ、明日はどのくらい出来るのか楽しみだ。

 それで、国立なんかに受かった日にはウハウハのウキウキな人生が待っているはず!



 ※



 太陽が照りつけてムシムシとした暑さがする外。

 それと対照的に、クーラーにより心地()い涼しさで睡魔を増幅させてくる家の中。

 タイムリミットは刻一刻と迫っていて、残りは30分。


「外あつーい。外出たくなーい」


 この言葉を呪文のように朝から繰り返している。


「葛、うるさい。早く()けばいいのに」 


 うっ。

 これで10回目以上の文句を弟に言われた。

 しょうがない、もう家をでてゆっくりと向かうとするか。


 日焼け止めを身体中に塗りたくり日焼け止めを1本持っていく。

 これは予備であり、命でもある。

 なにか太陽を、この紫色に輝く太陽を克服する方法があればいいのに。


「行ってきまーす」


 と、一応言ってから外に出る。

 照りつける太陽が鬱陶(うっとう)しく、体力がジリジリと削られていく。


 バス停に行き、来たバスに乗り込む。

 そのまま駅に行き、電車で1時間、池袋駅。

 そこから歩いて数10分。


「やっとついた、ダンジョン専門国立高等学校。ここのどこだろう?」


 門番みたいな警備の人がいるから聞いてみる。


「すみません、今日面接をしに来たんですがどこかわかりますか?」

「あぁ、君もなのか。ならここを真っ直ぐ行ったら右手側に体育館みたいなのがあるからそこで受付をするといい」

「ありがとうございます?」


 なんで面接なのに体育館なのか。

 これも抜き打ちテストで実技があるパターンか?


「よし、たとえどうなろうと頑張るぞ!」



読んでいただきありがとです。

感想、pt、ブクマ待ってます。

してくれてる人は感謝。

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