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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
2章 断罪者編
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No.038 物のカチカン

ブクマ増えたありがとです。




 俺の名前はルーク・アインデルン。

 純粋なエルフでこの京ダン高のA組、5位という成績を収める事が出来た。

 これも、子供の頃から練習していた風魔法の賜物だと思う。


 さて、この学校に入学してから俺はクラスの中心、まとめ役の立場になった。

 皆と話している内に自然とそういう流れになったんだ。

 それを俺は苦と思ったこともないし、辛いなんて考えたこともない。

 だってクラスの皆が優しく頼りになるからだ、1人を除いては。


 その子の名前は如月(きさらぎ)国仁(くにひと)で、このA組の9位。

 人の話は聞こうとせずにいつも乱暴ばかり。

 更には薬をやっているんじゃないか、という噂まで聞こえてくる始末。

 

 そしてある日事件は起きた。

 その日はダンジョンに潜るという事でA組は2班に別れて行動することになった。

 俺の班は、ルトラ・ラルと宇崎(うざき)鎖那(さな)と如月国仁とテラの5人。


 俺たちは順調に進みもう1つの班よりも早くボス部屋を見つける事が出来たんだ。

 ボス部屋前には何人かいて、情報を集めてる感じだった。

 班員が疲れた様子だったので少しの休憩にしたとき、


「なぁ、ちょっとなんか情報がないか聞いてきていいか?」

「ん? いいよ。でも無理矢理とかはなしだよ」

「……ッ」


 俺の言葉には返事をせずに行ってしまった国仁。


「ねぇ、ルーク。連係なんだけどさ」


 鎖那に聞かれて俺は国仁から目を離してしまった。

 俺があと少し、あと少し注意深ければ、


「や、やめろ」

「いやー。離して、離してよ」

「クソ。おい、やめろ。ガキ」

「はな……せ」


 声の方を見ると国仁がボス部屋前にいた人たちを魔道具かなにかで拘束してボス部屋に放り込む姿だった。


「国仁、なにやってんだ」

「ん? おいおい、開けんなよ。今情報収集中なんだから――よッ」


 滑らかな動きでナイフを取りだしルトラの首に当てて人質とした。


「大人しく待とうぜ。おっ、どうやらボスは二色ミノタウロスらしいぜ」

「おい、ルトラを離してあげろ」

「はぁ? なんで。俺はお前ら班員の為に情報収集をしてるだけじゃん。なのにボス部屋に入って助けようとするだろうからこっちだってしょうがなく、しょうがなくやってんだよ」


 こんなの情報収集なんかじゃない、間違っている。

 それにルトラは怖いのかブルブルと震えていて毛が何本か切られてしまってる。


「片方は魔法耐性が高くて片方は打撃耐性が高いらしいぞ」

「だからなんだ」

「あーあ。あと1人か」

「なっ、それって」

「うん、残ってるのは1人か、ってことだよ。とんだ役立たずだよね、利用してあげてるのに」

「そめてその人だけで――――」

「――――終った……はぁ、終わっちゃった。よし、行こうぜ」


 ルトラを解放した国仁は嬉しそうにボス部屋の方に歩いていく。


 国仁だけをボス部屋に入れるべきか?


 そんな考えが頭を(よぎ)ったがすぐに無くす。

 そんなクラスメートを売るような真似はしたくないし、出来ない。


「ほら、早く行こうぜ」


 皆の足取りは重たいがボス部屋へと入っていく。


 ボスは国仁の情報通り二色ミノタウロスで魔法耐性と打撃耐性を持っている。


 結果は俺たちの勝ちだ。

 国仁が怪我をしちゃったが無事に終える事が出来た。


「クソ、油断したぜ。ギリギリまでいくと行動パターンが変わってくんのかよ。回復魔法」


 国仁は色々な魔法が使えた。

 回復魔法も使えるという凄い人なのだ、性格以外。


「へぇー、凄いね。回復魔法まで使えるんだ」

「なんだ? テラ。羨ましいのか?」


 ここまで一言も発しなかったテラがここに来て国仁に話しかける。


「いや、以外だなーって思って。早く入ればあの人たちも助けられたよね? 回復魔法があるんだし」

「そうか? 利用しただけだしあーゆうのは使い捨てなんだよ」

「そっか……えいっ。どう、僕はこんな魔法を使えるんだ」


 テラは国仁になにか魔法をかけたらしい。

 特に変わった変化はなく、驚いたのか一切動かない……?

 いや、違う。

 金縛り系の魔法なのか。


「国仁くん。君はね、罪を犯したんだよ。なにかわかる? そう、答えないか」


 いや、金縛りしてるから答えられないだろ。


「君が犯した罪。1つめー、中3の時のレイプ&殺人」

「えっ」


 鎖那が驚きの声をあげる。

 レイプに殺人を犯したのか?

 でもなんでそんなことを知っているんだ?


「2つめー、集団殺人。味を()めちゃったんだね」

「それって」


 心当たりがある。

 冬に起きた「夜の大阪城殺人事件」のことか。

 確か犯人はまだ逃走中だったはず。


「3つめー、ボス部屋に人を放り込み殺したー」


 それはさっきのやつだろう。


「あーー、それは許されないよね? 到底許される行為じゃない。そもそも人でもないしね」


 「そもそも人でもないしね」ってどういうことだ?

 人間じゃなくて他の種族なのか?

 エルフと人間のハーフとかそんな感じかな。


「だからね、僕が罪深き君に裁きを下してあげる。宝具 断罪の(つるぎ)


 神々しい光を放つ武器を出したテラ。

 眩しくて直視することが出来ない。


「さぁ、神よ。罪深きこの罪人に聖なる裁きを、断罪者の力によって聖なる裁きを……えいっ」


 そんな声が聞こえてから少ししてテラは武器をしまったらしい。

 目がチカチカするがなんとかあるものを見た、否、見えてしまった。


「くに、ひと?」


 そこには胸を突かれて苦しそうに血を流しながらのたうち回ってる。


「テラ、早く国仁を治して――――」

「――――なんで? 彼は罪を犯した。それはなに1つ変わらない事だよ。そして殺人に取り憑かれた彼はこれからも繰り返す。そうならないように僕は神の使徒として、断罪者として彼に罰を与えただけ」


「か、回復、魔法」


 淡い光が国仁を包むが一切効果が現れない。

 国仁以外に回復魔法を使えないから助ける事も出来ない。


「テラ、国仁が殺人を犯したというのは本当なのか?」

「ん? 本当だよ」

「だからってこんな事をする必要――――」

「――――僕は神の使徒。罪深き罪人を断罪する者。これは神の意思であり、僕の使命」


 国仁は少し落ち着きを取り戻したのか、


「こ、こんな、事なら。回復陰法」


 よくわかんない事を口にした。

 回復魔法ではなく回復陰法(・・)と言った。

 陰法とは一体なんなんだ?

 国仁の血は一瞬光ったように見えたが気のせいなのか?


「お、俺は、俺は、吸血鬼、なんだぞ」

「ん? やっぱり人間じゃないって思ってたけど吸血鬼って言うんだ。たしか人間の世界の架空の生き物だと思ってたよ」

「神法 呪縛(じゅばく)護輪ごりん


 テラから伸びた異質で禍々しくて神々しい鎖が国仁の体に、腕に、足に、首に、顔に巻き付いてそのまま……グシャッ


 国仁の体は弾けて、血のあとだけ残し国仁はテラによって殺された。



 否、大罪を犯した罪人は神の使徒の手によって断罪された。



感想、ブクマ、ptぜひぜひくださいまし!


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