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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
1章 略奪者編
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No.025 判定とシンジツ



 寮の前まで帰ってこれた訳だけど、どうやって謝るか。

 いっそのこと、作戦なんてたてずに行くっていうのも考えている。

 うん、まずは謝ろう。


「和紗、いる」

「お帰り、葛くん。どうだった?」

「結論から言うとダメだった」

「何かあったってことだよね?」

「うん、まず敵は大きな組織だろうってこと」

「? ごめん、話の流れがわかんないや」


 首をコテッと傾けて困惑している様子がなんとも可愛い、じゃなくて。


「ドリーさんを殺そうとしている組織のこと。さっき、と、知り合いが第三始祖になっていた。第三始祖は第二始祖がいないと出来ないから――――」

「――――待って。それは違うよ」

「えっ、そうなの?」

「うん。もしも第四始祖に生まれたとして、親、または他の第三始祖を倒せば第四始祖だった子は第三始祖へと上がることができるの」

「し、知らなかった」

「だからもし私が葛くんの事を殺せれば(・・・・)私は第二始祖になれるって訳」

「なんで殺せればってとこ強調したの?」

「私がいくら頑張っても葛くんには勝てないから」

「なるほど、力を(わきま)えていると言うわけか」


 と、ふざけて和紗の頭を撫でてみる。

 1回こういう上から目線をやってみたかっ……


「や、やめて。その上目遣い。僕が悪かったから」

「よ、よろしい」


 お互いに顔を赤くしながらも、目を見ることなくダンジョンに行く準備を始めた。



 ※



 横浜海底ダンジョン。

 そこは、そう呼ばれるだけあってもちろん海底にあり、そこに行くには酸素ボンベか、巣潜りで30分耐えるかのどっちかの方法しかない。

 もちろん後者を選べる人はいないに等しい。

 いや、いることにはいたりもする。

 白銀林檎と呼ばれる特殊能力開花の林檎で巣潜りを会得することもあるからだ。



 ~~1階層~~


 前置きはおいといて、ここは横浜海底ダンジョンの1階層。

 ここまでどうやってきたかというと、もちろん巣潜りです、はい。

 入ってわかった事、人少ない。

 否、いない。

 だからダンジョン前にはなにもない。

 そもそも海のなかだから魔石を買い取ってくれない訳だ。

 そして2人っきり。


「これって、デートみたい」

「ダンジョンデートか、楽しいね」


 ボソッと漏らした僕の言葉を和紗は拾って可愛く答える。

 うん、デート、楽しい。


「敵は魚に足がはえたのとか、海月みたいなのが多くて気持ち悪い」

「でも弱いから楽でいいね」


 気持ち悪いの所に賛成しなかったのは、和紗がこういうのを可愛いと思っているのかな?


「あったよ。ボス部屋?」

「本当だね。けどボス部屋なのか。もしかしたら1回1回リセットされるヤツだから転移魔方陣が無かったのかもね」

「なるほど、それは厄介だね」

「でも聞いた話、1回クリアされた階層のボスは弱くなってるらしいよ」

「なら葛くんで1発か。いや、1発じゃないことなんて見たことない」


 いや、それがあるんだよ?

 つい昨日は仕留めきれなくて逃げられたんだからね?


「よし、行こっか」

「うん」


 少しの休息をとってからボス部屋へと足を踏み入れる。


 ボスはTHE・海って感じのクラーケンだった。

 このクラーケンはタコさんで、少し、本当に少し可愛いと思ってしまった自分がいる。


「黒夜叉。陽法 紺の太刀 戯れ」


 いくつかの斬撃は足を斬り飛ばして、1つは核を破壊した。

 決して可愛いと思ってしまった腹いせに先制で仕留めた訳ではない。


 はい、嘘です。


「葛くんどうしたの? いや、倒してくれたのは嬉しいけど」

「ちょっと思うところがあって、つい」

「そ、そっか」


 タコのクラーケンの魔石を回収して魔法収納袋にいれる。

 うん、思ったけど10kgなんてそんな入らないって。

 


 ~~2階層~~


 1階層より少し難しいかな程度で問題なく進む。

 このダンジョンに入ったのがお昼の12時頃。

 それから1時間のペースでここまでこれてるのか。


「ここのボスはなんだと思う?」

「僕はイカのクラーケンだと思うよ」

「なるほど、イカさんか」


 ボス部屋の扉を開き、ボスの(もと)へと行く。


 結論から言わせてもらおう。

 イカのクラーケンで瞬殺でした、はい。

 魔石はもちろん魔法収納袋にいれて次の階層に進む。



 ~~3階層~~


 ここは打って変わって水中に戻ってしまった。


「混沌陰法 水の声」

「我、第三始祖の八乙女和紗が命ずる。水の力を今一度統べる力を、混沌陰法 水の声」


 これで2人とも水の中でも会話をすることが出来るようになった。

 ただ、問題なのは刀を、黒夜叉を振るスピードが物凄い落ちているということ。

 水の抵抗があり、攻撃を喰らう事が多々あった、痛くないけど。


「魚だから水の中だと動きが速すぎでしょ」


 水の中というフィールドのせいで相性も悪く、陰法を使って殲滅していった。



 1時間もしないうちにどうにかしてボス部屋前まで来ることが出来たが、精神面での疲労が半端無かった。


「少し休憩しよっか」

「うん。葛くん大丈夫?」

「なんとかね。陰法を使いすぎたから貧血気味で」

「私も少しそう」


 陰法は強い、強いけど血を消費するから貧血になりやすいのが難点だと思う。

 それに水中だと魔力がないから魔法を使えない。

 そのせいもあって、このダンジョンはめっちゃ面倒だと、今までで1番面倒だと思う。


 5分くらい休憩してからボス部屋に足を踏み入れる。


「サメ。それも顔が1、2、3、4、5、6、7個も」

「ねぇ、葛くん。陰法は使わない方がいいと思うの」

「奇遇だね、和紗。僕もそう思ってたんだ」


 サメが血に反応するとか結構有名な話だもんな。

 それにしても天井付近をグルグル動いてまったく攻撃してこない。

 もしかして、怪我をしてこのボス部屋に入ったらいきなり襲われてたとかそんな感じかな。


「黒夜叉。陽法 紫の太刀 冥灰道」


 空間を玉のように斬りそれを飛ばす。

 進みはゆっくりだったが運よく当たり顔を4つほど抉り取った。

 一撃で仕留めきれなかったから気がつかれ、こっちに、


「陽法 黄の太刀 一閃」


 刀を前に突きだし、そこから1発で射抜く。

 丁度、心の臓を射抜けたのかサメさんは動かなくなり、魔石が落ちてきた。

 それと同時に水が引けてきて普通のダンジョンへと変わった。


「まだこの階層はクリアされて無かったみたいだね」

「なんでわかるの?」

「1回クリアすると簡単になるって言ったじゃん? それは水が無くなるって事だからだよ」

「なるほど。流石、葛くん」


 それから次の階層へと進んだ。



 ~~4階層~~


 やっぱりと言うべきか、水中に繋がっていた。

 水中はなんだかんだ武器が使いにくいから早く終わらせたい所だけど、そう簡単には終わらないのがダンジョンの辛いところだ。


「和紗、ここに安全ポイントがあるからそこで1回休もう」

「うん。ご飯の準備するね」


 安全ポイントはなぜか空気があり、ご飯を食べたり睡眠をとるには持ってこいの場所だった。

 焼いたソーセージとパン、それとチーズで作ったホットドッグを食べた。

 もしも、もしも食文化が進んでなければこんな物食べれないだろうな。

 例えば干し肉とか堅パンとかになりそうだし……。



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