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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
7章 大罪者編
150/155

No.149 帰るバショ

ブクマ増えてくれたので更新!

本日2話目になります



 男の手から氷が勢いよく僕を目掛けて襲いかかってくる。


「黒の太刀」


 黒鬼がドス黒く染まり、


「断絶」


 音も消して迫り来る氷を斬り割いた。


「なぜ!」

「さて、さっきの続きだ。以後なんて無いんだよ。だって、死んじゃうんだからね」

「黙れ! 私は女神護衛親衛隊1番のルグリスだぞ!」

 

 なにその頭の悪そうな隊。

 護衛隊であり親衛隊でいるってこと?

 その1番って1番強いのか、順番だけなのか、適当なのかどれだろう?

 僕としては1番強いであってほしい。

 だって、ルグリスの氷が「断絶」じゃないと斬れないほど固くて強さがおかしいんだもん。


「私の氷は“永久(えいきゅう)凍氷(とうひょう)”で、この氷の固さは女神様への愛を表しているのに! それを、それを易々と壊す反逆者め!」

「愛、か。色欲に魅せられ」


 桜色の宝玉が強く光輝き、


「私は鬼灯護衛親衛隊1番のルグリスです。何なりとご命令を、鬼灯さま」


 片膝を地面について頭を下げている。

 うん、言うほどじゃなかったな。

 何が女神さまへの愛だよ。

 こんな簡単に愛が移るとは何とも哀れな女神さまだな。

 これこそ、


「呆気なかった」


 一刀の下にルグリスの首を落とす。


「さぁ、これで気兼ねなくにげられます」


 もう1度扉を開いて獣族たちを逃がしてあげる。



 ※



 所変わってトラッシュの違う場所。

 ここにいるのは中の人の推しであるムウの所である。


「早く逃げてー。ほらほらー」


 ムウは「トランプの兵隊」を使って上手く誘導し、獣族たちを逃がしていた。

 そして、物陰に目を向けると、


「そろそろ出てきたら? いいの? 僕は逃がしてるけど」

「おやおや、子供だと思って侮っていましたがまさかこの爺に気がつくとは」


 白い髭を撫でながら腰を少し曲げている白装束の老人が現れた。

 今のムウの服装は黒を貴重としたマジシャン。

 端から見たら、ムウの方が悪に見えてしまうだろう。


「では自己紹介をさせてもらいましょう」

「いらないよ!」


 ムウは勢いよく飛び出しトランプをいくつか爺に投擲するが、それら全ては届く前に爆発してしまった。


「残念ですが、攻撃は届きませんね?」

「なーにが残念ですがだよ」


 ムウは鬼の角を2本生やして本気となる。


「トランプマジック ロイヤルストレートフラッシュ」


 ムウはまたもトランプを、K(キング)Q(クイーン)J(ジャック)10、そしてジョーカーを爺に目掛けて投擲するが、同じく爺に届く前に大爆発してしまう。


「それくらい、ですか?」

「今ので死ねばいいのに、な」


 ムウはそれだけ言って、一瞬だけ姿を眩ませ爺の首を落とした。


「人間のクセに生意気なんだよ」


 ムウはそう呟いてから、また獣族を逃がし始めた。



 ※



 戻ってトラッシュのある場所。


「なんで、なんで、なんで、なんで! なんで女神護衛親衛隊の尖鋭が簡単に殺られるんだよ。アイツら何者なんだよ。おかしいって」


 ブツブツと呟く1人の獣族。

 その獣族に近づくはこの物語の主人公であるこの僕!

 鬼灯葛である。


「何してるんですか?」

「えっ! な、なんでここに! さっきまでルグリス様と戦ってたはずじゃ」


 そう、僕は今さっきまで本当に戦ってた。

 で、怪しい気配があったから飛んできたら本当に怪しい人だった、と。


「戦ってたけど? 逃げないでいいの?」

「そ、そうだな。ありが――――」

「――――質問に答えてからね」

「な、何を答えれば?」


 獅子の獣族なのか、(たてがみ)があるのだが汗か訳のわからない物によってビッショリとしなだれている。


「どうしてそんなに濡れてるの?」

「こ、これか? これは仕事が大変で汗をかいたんだ」

「そんなに」


 さっきにも増して下に水溜まりが出来てるよ。

 脱水症状で死ぬんじゃないの、そのうち。


「次に……女神護衛親衛隊について教えて?」

「め、女神護衛親衛隊は女神さまより力を与えられた10人の使者の事だ」

「その10人の内、1番強いのは?」

「き、聞いた話だとルグリスさまという絶氷の魔術師が1番強いらしい」


 なにその名前!

 めっちゃ厨二病っぽい……いや、僕も技名つけてる時点で同じか。

 しかも「宝玉の吸血鬼」って……はぁ。


「最後に女神ってどこにいる?」

「め、女神さまは――――」


 ――――ピキピキピキッ


 獅子の獣人は言い切る前に、文字通り砕けて崩れさった。


「女神さまに会いたいらしいですね?」

「そうだけど……」


 どこかで見たことのある顔立ちをしているような気がする。

 まぁ、思い出せないんだけどね。


「そうですか……目的は?」

「その女神とやらの殺害、と言ったら」


 そう口にしただけで僕の事を砕かん勢いで殴ってくる。

 いや、当たったら本当に砕けてしまうっぽい。

 その女が殴った空間その物に亀裂が入っていて、そこに触れただけで危なそうなのがわかる。


「黒鬼」

「そんな剣なんぞ砕いてくれる!」

「新・紫の太刀」


 剣じゃない……刀が紫色に染まる。

 その状態で刀と敵の拳とがぶつかり、互いに拮抗し合う。


「砕けろ」


 女はそのまま力一杯に拳を振り切った、僕の神器である黒鬼を粉々に砕いて。


「負けた……か」

「ふん! 武器が無くなったが次はどうするんだ? 私の女神さまから授かった“星砕き”の前にはどんな力も無と化す!」


 うん、結構強力なのはわかった。

 別に対処が出来ない訳じゃないし、更に言えば波は僕に来てるから。


「宝玉の力よ」

 

 僕じゃない声が響く。

 僕以外に宝玉を持ってるのは、知る限りシャルとドミニカさんだ。


虚飾(きょしょく)の吸血鬼。シャル・ユリエーエです。以後お見知りおきを」

「……何しに来た? 人間風情が1人増えた所で変わらないんだよ」


 敵は僕に的を絞ったまま殴りかかってくる。

 それをわざと受けながらカウンターで思いっきり殴り飛ばす。


「な、なぜ砕けない! め、女神さまが私の事を見放したとでも言うのか!」


 シャルの「虚飾の宝玉」の力、神殺し。

 神の力を殺してしまうという、なんでこんな能力があるのかわからない力だ。


「許さない」


 そう、何度も呟きながら少しずつ。

 否、着実に姿形(すがたかたち)を変えていってる。

 その姿はまさに竜……竜?

 って事は龍人で、僕は見たことがあるような気がしてたのは


「ドラコさんの妹か?」


 ピクッと音がなりそうなほどの勢いで僕の方に首が向く。

 そして睨みを効かせている。


「お兄ちゃんを知ってるのか?」


 恐る恐るといった様子で聞いてきた。


「知ってるも何も」


 (「クーン」)

 遠くの方から声が聞こえる。

 てか、そっちの方向から大爆発が起きてたけど大丈夫なんだよね?


「クーン」

「お兄、ちゃん?」


 いつの間にか、竜の姿から人の姿へと戻っていて、声のする方を見ている。


「クーン、だよな!」

「お兄ちゃん! お兄ちゃんなんだよね!」


 2人は抱き合って感動の再会を果たした、と言っていいんだよね?



ブクマが増えてくれる喜び!

それとpvが後、ほんの少しで30,000いく!

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