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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
1章 略奪者編
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No.014 示されたニゲミチ

今日も1日頑張るゾイo(`^´*)



「それじゃあ、先生とお話でもしましょうか」


 保健室まで八乙女(やおとめ)を連れてきた僕はなぜか、八乙女が起きるまで待つことになった。


「それで、何があったの? 後、今日は保健の先生は休みよ」

「えっと、決闘をして僕が勝った感じ……保健の先生じゃない?」

「そう、私はこの学校の理事長をしているの。本当の事を言ってちょうだい。私は第七始祖の宮内(みやうち)(かなで)。あなたは何者? 第三始祖が負けるなんてあり得ないもの。第十始祖さん。本当はいくつ?」

「こう、周りに吸血鬼がいると驚きだよ。僕は第二始祖の鬼灯(ほおずき)(かずら)。この事は口外しないでね。後、僕は生徒だからね」

「わかったわ。なるほどね。その上で女の子になにしたの?」

「えっと」


 「生徒だからね」と言った手前、先生として聞かれたから答えるしかなくなった。

 それにこの理事長、ニコニコしてるから絶対楽しんでやがる。


「えっと、吸血しました」

「えっ! 吸血鬼から吸血?」

「はい、とっても美味しかったです」

「それは考えたこと無かった。でも、それでも問題ないのか? でも、危険はある。例えば……」


 理事長は僕の首元をじっと見つめている。


「いや、いやですよ。でも君は和紗(かずさ)ちゃんに無理矢理吸血したのよね?」

「ウグッ。で、でも、第二始祖として――――」

「――――私と君は先生と生徒。ね?」

「はぁー。わかりました。どうぞ」


 首を(かし)げて噛みやすいようにする。

 チクッと歯が刺さり、血が少しずつ少しずつ吸われていく。

 その時に、体がむず痒くなり、快感で……


「ストップ、ストップ」

「あら、残念。けど凄いわ。力が溢れてくるみたい」


 なるほど、下位の吸血鬼が上位の吸血鬼の血を吸血すると力がもらえるのか。

 でも危ない。

 危うく、僕も八乙女と同じ道を辿っていたかもしれない。


「これは八乙女に悪い事をしたな」

「えっ、それって吸血が気持ちいいの? やっぱり」

「やっぱりって?」

「鬼灯くんは最近だよね? 吸血鬼になったの」

「はい」

「私は長くて大体500年くらい吸血鬼してるのよ」

「そ、そんなに」

「そう。それで、吸血すると毎回気持ち良さそうに失神するのよ」


 なるほど、初めて(・・・)が八乙女だったからわからないが、沢山経験していると、そういう事もわかるのか。

 あれもした方がいいよな。

 僕は八乙女のベッドに近づいてから、


(なんじ)に我、第二始祖の鬼灯葛の名において、吸血鬼となる力を授けよう。眷属(けんぞく)陰法 血統(けっとう)血鬼(けっき)


 上書きできるか怪しいが、吸血鬼にさせるための儀式をする。

 血を口元に垂らしてから口づけ。


 これで大丈夫だろう。

 成功した。

 八乙女の先生と呼んでいるやつから解放して、僕の吸血鬼にする。

 初めて吸血鬼にしたからワクワクだ(元々吸血鬼だったけど)。


「起きて、八乙女」

「私は、ハッ」

「これから僕が君の親だから」

「親?」

「そう、君は僕が吸血鬼にした」

「それって」

「そういうこと」

「あ、あ、ありがとう」


 物凄い勢いで飛びつかれて、後ろに倒れこむ。

 うん、可愛いけど、可愛いけどね。

 流石に恥ずかしいよ。

 先生見てるから。

 スッゴいニコニコしながら見てるし、更にはスマホ取り出して写真を撮り始めたよ。


「八乙女、下りて。とりあえず下りてあのスマホからデータを消しなさい」

「はい、葛さま」


 嬉々として理事長からスマホを奪い取り、データを移行している。

 誰のにかって、それは八乙女にって、


「違ーう。なんで八乙女はそれを貰おうとしてるの?」

「だって、記念に?」

「止めて、消去して」


 それを言ったら、渋々といった形でとはならたかった。

 理事長が八乙女に何かを耳打ちしてから、


「葛さま、ダメ?」


 待て、待て、待て。

 落ち着け、僕。

 いくら年齢(イコール)彼女いない歴だからって惑わされちゃいけない。

 そう考えていると理事長は更に耳打ちで何かを伝えてから。


「お願い、葛さま。なんでもするから」


 僕の手を掴み胸に引き寄せてお願いされる。

 く、クソゥ。


「わ、わかった」


 僕は折れた。

 第三始祖に負けたんだ。


「和紗ちゃん、こんなのもあるよ」

「ぜひください」


「ちょっと待って、僕にも見せて」


 見せてもらった写真は僕が八乙女をここに連れてきて、お姫様抱っこをしているヤツだ。


「待って、お願い八乙女。僕が恥ずかしくって死ぬから止めて」

「どうしても、ダメ、ですか?」

「ウッ、グッ。わかった。もう勝手にして」

「ありがと、葛さま」

「その葛さまって止めて。また僕の良からぬ噂がたつから」

「ではなんとお呼びすれば?」

「なんでもいいよ」

「なら葛くんとお呼びします」

「敬語もなしで」

「はい、その代わり……私の事は和紗って呼んでね」

「はぁー。そのくらいならいいよ和紗」


 花が咲くかのような満面の笑みを浮かべて喜んでいる。

 大層お気に召したようでなによりだ。


 そうだ、和紗の元先生について聞かないといけないな。


「和紗、記憶を見せてもらっていい?」

「は、はい」


 とても怯えていて、まるで過去に嫌なことがありすぎた感じか。


「それじゃあ、こっちに来て。って、なんで僕が膝枕をしてるの?」

「だって記憶を見るために頭を触りますよね?」

「そ、そうだけど」

「ならいいでしょ」

「まぁ、和紗がいいならいいけど。眷属(けんぞく)陰法 記憶の廻廊(かいろう)




 *****



 あまりにも(むご)いから割愛して話そう。


 まず、和紗は親の借金の影響でとある吸血鬼に5歳の時に買い取られる。

 奴隷のような生活をさせられた。


 それから10年、体が成熟してはいないが、その吸血鬼がロリコンだった影響もあり、吸血鬼にさせられる。

 それから、第一始祖を見つけ出す為に色々な事をさせたらしい。

 そして、ノルマが達成出来ないとお仕置きと称して性的な事をされる日々。

 はたまた、成功したとしてもご褒美と称して性的な事をされる日々。


 その後、ダン高が怪しいとなり、入学させられた。

 と言うのが、大まかな和紗の過去になる。


 肝心の第二始祖の吸血鬼の顔は靄がかかっていてわからなかったのが、残念だ。



 *****




「ありがと? って寝ちゃってる。それと理事長、なんで写真を撮っているんですか?」

「だってそうでしょ? 王子さまの膝の上で眠る姫。絵になるわー」

「理事長は知っていたんですか?」

「入学する前に、私にも協力するように言われたから承諾した」

「なら、第二始祖の僕の名で破棄してください」

「構わないけど、あなたが狙われるのよ?」

「それは大丈夫です。ドリーさんにどうにかしてもらうので」

「ドリーさんって?」

「第一始祖です」

「まさか本当にダン高と繋がっていたなんて」

「どこから漏れたんでしょうか?」

「わからない。けど、気を付けてね、としか言えないわ」


 それにしても、和紗は大変だったんだな。

 性奴隷としての過去……でも必死に抵抗してたから、あまり無理には襲わなかった謎の第二始祖。

 あれは遊んでいた。

 顔に靄はかかっていたが、遊んでいるのだけはわかった。

 ゲスな笑みを浮かべていたから。


「それにしても和紗って可愛いな」


 つい僕は頭を撫でながらそんな事を口にした。

 まさか、理事長に録音と隠しカメラで動画を撮られているとも知らずに。



第一始祖とか第二始祖って、『終わりのセラフ』かな?w

自分でもそう思ってるし、カクヨムの方でもそう言われたw

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