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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
7章 大罪者編
146/155

No.145 考えてもウカバナイ

更新!

本日2話目



「準備はいい?」


 僕は不思議の城で皆に確認する。

 やっと行けるのだ、獣族の世界に。

 皆が頷いたのを確認してから、


「開け、世界を繋ぐ鍵」


 宙空に鍵を刺して回すと、辺りは一瞬にして……



 ※



 アメリカへの修学旅行は変則的に終わりを向かえる。

 それもそのはずで、まずは軍が一夜にして壊滅状態に陥る。

 ついで、希望者だけが日本に戻る事になった。

 この希望者はもちろん、


「じゃあA組とF組だけ日本に戻すか」


 こんな状態じゃ飛行機なんて出ないし、アメリカはどんどんと荒れていくだろう、僕の手によって。


「な、なんで私たちも連れてってくれないんですか!」

「そうです! 戻るなら全員で戻るべきでは?」


 B、C組の教師や生徒は口々、文句を僕に対して言ってくる。

 そう、言ってくるだけだ。

 皆が皆、僕の力を理解してくれてるおかげで、無駄に攻撃されずに済んでいる。

 で、


「私たちはB組の方たちに残るよう指示されたんです」

「どうか私のクラスだけでも」


 D、E組は修学旅行の継続を他クラスのせいにして、自分だけでも助かろうと必死になっている。

 僕としては、D、E組も同じく連れていく気は更々無い。

 てか、僕は急な掌返しが大の嫌いだから連れていく気になれないのが正しいか。


「それでは、僕たちは先に学校で待っていますので」


 優雅にお辞儀をしてから日本に、ダンジョン高校改め魔法学校の校庭に転移する。


「えー、では修学旅行を終わります。解散!」


 ココナ先生が代表して簡単に()める。


 で、僕たちA組は教室へと向かう。

 その理由はもちろん、僕が言う時を間違えた獣族の世界について、だ。


「葛、行けるのか?」

「確認はしてないけど、多分ね」

「それって」

「うん、文鷹の思ってる通り、どこにつくかはわからない、という事」


 全員の沈黙が重なる。

 あれ?

 やっぱり1人で行って確認はしてくるべきだったか。


「ま、まぁ。だから今から皆で行こうと思ってね」

「今から!」

「じゃあ1時間後にここ集合で」


 さて、今の内に五帝神たちに連絡をしておかないと。


「転移」


 不思議の城に転移してから、


「ドミニカさーん。ドラコさーん。ヤード。ハーデスさーん」

「なんで私だけ呼び捨てなんですか?」

「えっと、最初に会った時が会った時だったから?」

「そう、ですか。で、なんの用ですか? 生憎とドミニカたちは外出してるので」

「なるほど。じゃあ――――」


 とりあえず、1時間後に集合出来るように伝言をお願いしておく。

 この城ごと世界を渡った方が、住居にも困らないし、防衛もしやすい。


「わかりました。1時間後、ですね」

「そう。お願いね」


 それから教室に戻る。


「カズラは準備は?」

「大丈夫だよ。特に今回は消費してないから、新しく補充する必要がないの」


 教室にはシャルしかいない。

 てか、結局アメリカから日本に戻ってきたけど最後の最後までチルがいなかったな。

 多分、1時間後には来てくれる、よね?

 連絡は心配だから入れておこう、うん。


「シャルはチルがどうしてるか知ってる?」

「まだドラコさんと一緒にいるんじゃないの? チルも嫌じゃないみたいだし」

「そっか」


 いやー、相手が見つかってよかったな。


1番(いっちばーーん)!」


 元気よくムウが教室の扉を開け放つ。

 いやいやいや、待ってくれ。


「ムウって準備する必要ってあるの?」

「なに言ってるの、カズラ。あるに決まってるじゃん」

「ちなみに何を?」

「これ」


 そう言って広げたバッグにはチョコがたくさん詰め込まれていた。

 もうカカオ中毒だろうな、これ。


「あー、私たちは2番か」

「競争なんてする必要ないだろ?」

「えー、そうかな。文鷹つまんないの」


 次にエリーと文鷹が来た。

 って、まだ20分経ったくらいだ。

 1時間後って言ったのにな。


「おっ! やっぱり皆早いな」

「だから言ったじゃん。早くしよって」


 次にドーラと義宗がやって来た。

 2人とも早い方がいいって言ってるけど、そんな事は無いんだよ?


「はぁ。後はココナ先生とペトラか」


 それとチルも。


「そういえば葛」

「なに、義宗」

「その鍵の素材って何なんだ? 獣族の世界に関係ある物なんだよね?」

「うん。龍の……な、何でもない」


 嫌な予感がする。

 そして、こういう時の嫌な予感って当たるんだよな。

 「強欲の宝玉」に聞くとすぐに答えが帰ってくる。

 龍族の骨と鱗から出来ている……と。


「ヤバイ」


 いや、ヤバイなんて物じゃない。

 やらかしも良いところだ。

 ん?

 追加で情報が届いた。

 寿命で亡くなった龍族の……骨と鱗。

 埋葬してないけど、大丈夫かな?

 いや、そういう文化が無いことを願おう。


 そのまま時間が流れて定刻となった。

 ココナ先生は来たけど、チルとペトラは来ていない。

 チルは何となく大丈夫だけども、ペトラが心配だ。


「誰か繋がる?」

「ダメ」

「私も出来ない」


 皆で電話やらをするが、一向に繋がらない。


「とりあえず、手分けして探そう」

「2人1組?」

「いや、1人でも大丈夫でしょ」


 ムウの質問に答えてから解散する。

 まぁ、僕はペトラの居場所をわかってるんだけどね。

 えっ?

 じゃあ何でさっきに皆と一緒に行かなかったかって?

 そんなの、聞かれたくない話があるかもしれないだろ……普通は僕にも聞かれたくないか。

 でも、来ちゃったし。


「時間だよ」

「知って、る」

「何か不満でも?」


 辺りは綺麗にライトアップされて、動物園らしからぬ雰囲気を出している。

 周りを見れば、カップルや子連れが多い。


「じ、時間が心配で」

「うーん、基本的に獣族って長生きだよね?」

「うん。な、長生きだ、よ?」


 100年くらいなら大丈夫だと思うけど、それ以上となると流石に怪しいよな。


「なら、なるべく早く行かないと」

「でも!」


 目には涙を浮かべている。

 無理矢理解決する方法はある。

 ペトラの家族を生き返らせたり、と。

 でも、それじゃあ根本的な解決にならないからな。


「行く! 私は行く! 行ってダメだったら……その時は葛に養ってもらう!」

「おいおい。いや、お金的には問題ないけど、一応は王族なのにいいの? そんなんで」

「もしもの話。さ、皆の所に連れてって」

「わかったわかった」


 ペトラに揺らされながら、僕は不思議の城にA組の皆を転移させる。


「あれ? ここって」

「不思議の城だ!」


 さて、全員いるよな。


「よかった。チルもいる!」

「シャルさま。そんなにはしゃいでどうしたんですか?」

「チルがいなくなってたから」

「ごめんなさい。ドラコに連れ回されたので」

「そっか。楽しかった?」


 シャルとチルは楽しそうに話している。

 女の子同士がこう、仲良く話しているのってなんだかとっても和むな。


「さて。皆、準備はいい?」


 僕は不思議の城で皆に確認する。

 やっと行けるのだ、獣族の世界に。

 皆が頷いたのを確認してから、


「開け、世界を繋ぐ鍵」


 宙空に鍵を刺して回すと、窓の外の景色は一瞬にして変化させていく。



更にブクマが増えて嬉しいデス!

このまま減らなければ夜にも更新するか、明日2話更新になります

感想、ブクマ、ptぜひぜひくださいまし!

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