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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
6章 免罪者編
144/155

No.143 指名、ハイリマシタ

更新!



「ねぇ」


 僕はフードを深く被ってある人に話しかける。


「鬼灯、かな?」

「正解。少し話がしたいんだけど」


 ターニャに合わせるようにして歩く。

 話を聞くにはもってこいの人……天神族だ。


「じゃあ場所を移さないとね」


 ――――パチンッ


 ターニャが指を弾くと一瞬にして景色が変わった。

 パステルカラーの空に雲……ユニコーンやペガサスといった幻獣がいる。


「す、凄い」


 雲はフワフワと乗れている。

 あの、エクスターチで出した雲よりも心地良い。


「気に入ってくれた?」

「あぁ。少しね」

「で、話って何かな?」

「こっちはどういう風に能力が配られたのか教えてほしくって」


 だって神の力を持ってる人が多い……弱いものから強いものまで様々だけど。


「欲しければ貰える、って感じだったよ。鬼灯の方はダンジョンの報酬だっけ? しかも1番最初の人にしかくれないって」

「うん。まぁ、宝玉を持ってれば他の所で最初じゃなくても貰えるけどね」


 そのおかげでいっぱい手に入れられたんだ。

 多分だけど、日本のダンジョンが7つあった中で1番難しいと思う。

 じゃないと、強さの証明にならない。


「そうだ。ターニャの力は?」

「メルヘン。それが私の能力だよ」

「ふーん、じゃあなんで能力があるのに連れてかれなかったの?」

「神になってこれっぽっちも興味が無いからね。ただの自衛用に能力は貰っただけだし」

「流石、傍観者と言うべきか」


 本当に無害でありがたい。


「そういう鬼灯も神の力をたくさん貰ってるよね?」

「僕も自衛のためだよ。後は守る力が欲しかったからね」

「なら、一緒なんだ。もう話は無いかな?」


 僕が頷くのを確認すると、パチンッと指を弾いて元いた場所に戻っていた。


「じゃあ」

「うん、ありがと」


 僕はターニャと別れて1人町を歩く。

 すれ違う人、1人1人が、ピリピリとした空気を出して、何かに怯えながら歩いているように見える。


「君、ちょっといいかい?」

「……」


 なぜ気づかれた?

 僕としては認識阻害である程度……ある程度じゃないのか。

 それなりの強さがあるのか。

 なるほどな。


「先輩、誰に声をかけてるんですか?」

「あれ? お前には見えていないのか。ここにいるヤツが」


 そう言って、軍服を着た男は僕の肩に手を回してくる。

 が、後輩であろう方は僕の姿が見えていないから、パントマイムをしているようにしか見えないだろう。


「先輩、なんか人が本当にいそうな感じで上手いですよ! パントマイムが」

「違う! 俺の能力はパントマイムだが、ここにいるの。マジでいるの」

「先輩。友達がいないからって空想の友達を作っちゃうのは止めた方がいいと思いますよ?」

「おい、やめろ。その目を、可哀想な者を見る目をやめろ!」


 なんか2人で楽しそうにしてるな。

 まぁ、実際に楽しいんだろうけど。


「で、君は何者なのかな? フードもそんなに深く被って」

「家に帰るだけです。お構い無く」

「そうはいかないんだよ。最近、怪しいヤツを探しててね」

「どんな人なんですか?」

「ん? 丁度君みたいな背丈で、性別は男。名前は鬼灯葛という事しかわかってないんだ」

「なるほど、厄介ですね。特長がわからないなんて」


 いや、ガッツリ僕の事じゃん。

 僕以外の何者でもないじゃん。

 逃げようにも、がっちり肩を押さえられてるし、見えない壁が出来上がってる。

 だから、黒鬼か宝玉を出す以外に逃げ道が見当たらない。


「そうだ。まだ名前を聞いてなかったね? でも、その前にその見えないのを解除してよ」

「その必要が?」

「うん、あるよ。ここにいる俺の後輩は嘘発見器だからね」

「なるほど」


 ここは解除しないと尚更怪しまれるよな。

 その嘘発見器くんが僕に効かない事を願って認識阻害を解除する。


「うわぁ! 本当にいたんですね? 先輩が可哀想な人かと……いや、パントマイムが見えるようにまで進化したんだ」

「おい、俺の事を日頃どう思ってるか聞く必要があるな。で」


 男は僕の方を向いた。

 名前を言え、という事だよね。

 ここはカッコいい名前がいいけど、


鬼灯(きとう)(くず)です」


 読み方を変えただけ。

 どうだ?


「大丈夫です。嘘はついてないので」

「そうかそうか。じゃあ、一応、人間か?」


 次は睨みつけてくる。

 そんなに混ざってる血が嫌いなのか。


「人間ですけど何か?」

「大丈夫ですね」


 ふぅ、よかった。

 てか、嘘発見器って緩すぎでしょ。

 そんなんで大丈夫なのだろうか?


「ごめんね、呼び止めて。協力ありがと、(かずら)くん」

「いえいえ……」

「……」


 男はニコニコと僕に満面の笑みを浮かべている。

 こんな単純なのに引っ掛かるなんて。


「えっと」

「ププッ。馬鹿なの? 馬鹿なんですか? こんな単純なのに引っ掛かるなんて、本当に、おかしい」


 男は引き笑いをしている。

 すっごいムカつくんだけど?


「黒鬼」

「殺ると言うのですか? 大人しく殺されてくれると楽なんだけど」

「生憎とまだ命は惜しくてね」


 僕は距離をとろうと後ろに下がるが、見えない壁に阻まれてしまう。

 何とも面倒だけど、よく考えるとパントマイムだよね?

 なら、


「対した事ないんじゃない、とか思ってる?」

「なんでわかる!? まぁいい。翠の太刀 飛雲」

「無駄だって」


 男の言う通り、壁に阻まれ不可視の斬撃は消えてしまう。


「まだまだ! 紺の太刀 戯れ」

「まだわかんない? 無駄なんだよ。どんな攻撃も効かないから」


 うんうん、どんな攻撃も効かないなんて(ルール)なんてぶち壊せばいいんだけどね?


「新・黒の太刀 絶壊(ぜっかい)

「だから……」


 見えない壁は、相手にしてみても見えてはいなかったみたいで、僕の攻撃は壁も男も斬る。

 とは言っても、男はギリギリで距離をとったから傷は浅いが。


「無駄じゃなかったね? 宝玉の力よ」


 僕の後ろに7つの宝玉がフワフワと浮かんでいる。


「それ1つ1つが力だと言うのか」

「ご名答。まーずは、怠惰に生きよ」


 世界樹が男と後輩を縛って動けなくさせる。


「1つ。1つ質問するから答えてね。お兄さんたちは軍の中で偉い人?」

「偉くはない」

「ありがと。じゃあ殺さないでいいや」


 何となく、気分が慈悲深い気分だったから見逃してあげる。

 そういう気分の時もあるんだよ。


「じゃあ」


 僕は手をヒラヒラとさせて、家の鍵を宙空に刺して回す。



 ※



「お帰り」

「ただい……ま?」


 シャルの顔はどこか浮かない。

 何かあったのだろう。


「どうしたの?」

「これ」


 シャルが見せてくれたのはエリーから送られて来たであろう映像。

 まずはチルがいない。

 てか修学旅行中ずっと見てないな。

 ドラコさんと一緒にいるという情報が入ったからいっか。


 椅子に縛られて動けなさそうなエリーとドーラとペトラ。

 目を虚ろにさせて生気を無くしている義宗と文鷹。

 そして、なんでか凄いニコニコ顔の椅子に縛られたムウ。


 最後に、首に紐が巻かれて吊り上げられてるココナ先生。




寝る前に更新!

マジで眠い

僕の書いてるラブコメも読んでみてください!


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