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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
6章 免罪者編
143/155

No.142 奪うシメイ

更新!



 詳しく聞こう。

 報告、連絡、相談の報連相は大事だからね。


「義宗、何があったの?」

「サリエルが葛と縁を切れって言ってきたんだ」


 僕は皆の顔を見るが、断ってくれたみたいだ。

 別に断らなかったら僕も縁を切るだろうけどね。


「で、それに南条が乗っかったって訳ね」

「そういう事」


 南条は僕の敵になりうる人に付く習性でもあるのか?

 てか、南条に気に入られたヤツは敵と見做そう。

 その場合は、


「どうしたの、カズラ」

「いや、ムウは敵かどうかを見定めようと思ってね」

「えーー、ただ面白そうな方につくだけだよ?」

「なら裏切れないようにした方がいいのかな?」

「冗談だって。カズラにはこの世界に連れてきてくれたじゃん。もしあのままWonder(ワンダー)Land(ランド)にいたら死んでたかもだから」


 良くある、亡くなってた命だから一生ついてきますってやつかな?

 でもまぁ、今の所は敵対してないし、ムウ1人なら何とかなるから大丈夫だろう。

 こういう油断が命取りにならなければいいが。


「そろそろ本題に入ってもいい?」

「ごめんなさい。お願いします」


 僕のせいで話を遮ってた。


「じゃあ、まずは修学旅行について。他の先生と話した結果、続ける事になった」

「理由を聞いても?」

「うん。多数決になったんだ。A組とF組は帰る方向に、BCDE組はそのまま、という方向になってね」

「それで、修学旅行は続行、と」

「理由はあると思う。BC組の先生たちはプライドが無駄(・・)に高いんだ」


 そこを強調するほどなのか?


「多分だけど、襲撃が来たときに活躍したのってA組だけで、それが許せなかったんだと思う」

「それはまた……」

「葛くんも指示を出しに行ったからわかると思うけど、F組は素直だったでしょ?」

「言われてみれば」


 F組は僕の指示に従ってくれたから、治療がスムーズに出来た。

 主に言うことを聞いて無かったのは、僕たちの代わりに南条とA組にいた転入生たちや、C組とD組の生徒だったな。

 先生に似て、生徒も無駄(・・)にプライドが高いんだな。


「なら僕はこのまま姿を眩ませておいた方がいいですね」

「そうなるかな」


 はぁ、やっと獣族の世界に行けると思ったのに。

 いや、行ってもいいのか?

 でも今行ったらココナ先生の仕事放棄という事になりかねない。

 とりあえず、この修学旅行が終わるまでの辛抱だ。


「じゃあ僕は帰るので、何かあったら連絡ください」

「私もー!」


 僕はシャルと一緒に家に帰る。


「シャルはサリエルに何かされた、よね?」

「ううん、ムウが守ってくれた……よ?」

「なんでそこで疑問系なの」

「いや、どっちを守ったのかなって。サリエルが私に危害を加えたらカズラは怒るでしょ?」

「そりゃもちろん」


 当たり前だけど、そもそもシャルに危害は加えられないようになっている。

 もし、危害を加える場合は僕から攻略しないといけないという、シャルは難攻不落の女の子になっている。


「ムウが止めてくれたけど、それが私を守ったのか、サリエルを守ったのかどっちかなーってね」

「なるほど……ムウの事だからサリエルを守ったと思うよ」


 何となくだけど。

 でも、本当に面倒だな。

 サリエルは僕が生きてる事を知ってるって事は何かしらを企んでる可能性はある。

 それと、吸血鬼にしたエレメー教授も少しだけ気になる。


「シャル、僕はちょーっと外に行ってくるね」

「いつ頃帰ってくる?」

「なるべく早くは帰るから」


 シャルは快く見送りをしてくれた。



 ※



 アメリカのとある牢屋。

 

「混沌陰法 誘惑の霧」


 認識阻害の陰法をかけておく。

 けど、同格の吸血鬼や、力が強い人には効果が無いのが難点だな。

 「暴食の宝玉」で理を書き換えたら、本当にこの世から僕が消えそうだし……。


「おい、あのエレメーってやつなんで捕まったんだ?」

「知るか。ほら、お前の番だぞ」

「上は教えてはくれねぇからな」


 看守なのだろう。

 3人はカードゲームをしている……仕事をしろよ。


 まぁ、いっか。

 僕はエレメー教授の気配を辿って、


 ――――ウー! ウー!


 床は少し沈んでサイレンが鳴り響く。

 これは完全なるやらかしだ。

 まさか重力感知板が仕掛けられているとは。


「侵入者だ!」

「探せ! S棟にいるはずだ」


 ここはS棟と言うのか。

 って、関心してる場合じゃない。


「お前が侵入者か?」

「あちゃー、バレたか」


 まさか、本当に僕の姿が見える人がいるなんて。

 運が悪すぎて嫌になる。


「隊長、いたんですか?」

「ん? お前たちには見えてないのか。なるほど、中々の力を持ってるようだな」

「ほ、本当にいるんですか? 何か見えちゃいけない物が見えてるんじゃ?」

黙れ(・・)!」


 空気をビリビリと揺らすほどの殺気を振り撒いてる。

 お仲間さんたちは白目を剥いて気絶してるし。

 それに牢屋に入ってる人たちも何人か倒れてるし。 


「さて、死ぬ前に名前を聞いてやろう」

「死にはしないけど名乗るよ。宝玉の吸血鬼、鬼灯(ほおずき)(かずら)です。以後、お見知りおきを。とは言っても死ぬのは貴方ですが」


 僕が死ぬなんてちゃんちゃらおかしい。

 だってそうだろ?

 主人公……なんだから。


「で、貴方は名乗ってくれないんですか?」

「死に()く人に教える必要がどこに? そろそろです。死になさい」

「……」


 男は「死になさい」とは言ったものの、何かが起きる訳でもなく至って普通。

 何にも起きない。


「えっと」

「……? な、なぜ!」


 何かした……のか?

 でも、特に不可視の攻撃が来た訳でもないし、精神も至って正常のはずだ。


「なぜ死なない!」

「いや、逆になんで死ななきゃいけない?」

「チッ」


 舌打ちと共に男の手には紫色のグジュグジュした球体が現れた。

 液体っぽいんだけど球体を維持してる……毒、だよね、多分。


「死ね!」

「黒鬼」


 毒を刀で斬りにかかるが、一瞬にして気化してしまい刀は宙を斬る。

 で、毒はどういうわけか僕には効果が無い。

 流石、吸血鬼スペックだ。


「なぜなぜなぜなぜ!」

「もう1度自己紹介を。宝玉の吸血鬼(・・・)、鬼灯葛です。灰の太刀 (朧月)」


 男の後ろに文字通り一瞬にして移動し首を斬り落とす。

 呆気ない……というか、毒を振り撒いたせいで囚人たちが死にまくってる。

 なんとも可哀想だな……(よみがえ)らせないけどね。


「気分はどう、エレメー教授?」

「……」

「死んでるのな、精神的に」


 吸血鬼という高スペックによって拷問とか色々されたのだろう。

 治りきれてない傷痕がいくつもある。

 いくつかエレメー教授に聞きたい事があったけど……、


「黒の太刀 断絶」


 一太刀の元に首を落とす。

 証拠隠滅と楽にしてあげるの6:4の割合だ。

 証拠は吸血鬼という事を研究させないためでしかない。


 でも色々聞きたいから……話をしてくれそうな人はいるな、1人だけ。

 傍観者という丁度いいのが。



夜に更新の方がpvが伸びてくれる。

おかしなラブコメである【俺はどうやら『一目惚れ症候群』らしい】も更新しましたので読んでください!

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