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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
6章 免罪者編
142/155

No. 141 全てをウバウ

寝る前に更新!



「お客さん、そろそろ帰ったら? 夜も遅いし」

「ん? ごめんなさい。寝てたみたいですね」

「いいって事よ。何か辛いことがあったんだろ?」


 僕はどうやら酒場で寝てしまったようだ。

 辛い事、か……1人になったという事くらいかな。

 今頃、A組の皆はアメリカ組と仲良く食事でもしてるだろうし。


「そうですね、辛いことです」

「せめてお酒が飲めればな。そんなナリだからな」


 見た目は本当に成長してくれないから諦めてますよ、はい。

 どうせ僕は子供です。


「帰れるか?」

「大丈夫です。ご馳走様でした」

「おう。そうだ、気を付けて帰れよ。最近物騒になってきてるから」

「わかりました」


 僕はお店の外に出て……?

 おかしい、おかしいぞ。

 僕は今も認識阻害の陰法をかけている。

 なのに、あの店主にはバレてた。

 てか、姿が見えていた?


「あっ、吸血鬼か」


 後ろを見るとお店は無くなっていて、ただの壁になっている。

 路地裏も路地裏で、人影が1つも無……誰か来た。


「おい、例のブツは持ってきたんだろうな?」

「当たり前だ」


 僕はどうやら、何かの引き渡し現場を目撃しているらしい。

 近づいてもバレないから近くで見ると、小さなトランクにいっぱいの白い粉が入っている。

 大丈夫だ、わかっている。

 こういう時の流れは、麻薬じゃないパターンだ。


「しかし、よくこんなに集めたな」

「あぁ、大変だったぜ。本当にこれで作れるんだろうな?」

「もちろんだ。任せてくれ」


 どうしよう。

 面白そうな匂いがプンプンしている。

 これは尾行するべきだよね?



 尾行すること数分。

 僕が泊まってるホテルとは違う、ボロく廃れたホテルにやって来た。

 そのまま、2人の男はエレベーターに乗ったので、僕も慌ててのる。

 そして、5階、6階、2階、5階、7階と順に押して、


 ――――チーン


 ホテルには地下の表記が無いが、エレベーターは下に向かって進んでいる。

 これはいよいよ面白くなってきた。


「しかし、お前どうやって集めたんだ?」

「なーに、簡単な事だ。ちょーっと中国まで行って買ってきた(狩ってきた)だけだから」


 さっきの粉は中国に売っているのか。

 にしても、その粉で何を作るんだろうか?



 ついた所はTHE研究室という感じで、白に統一された壁や床などが清潔感を出している。

 人も何人かいて、全員が全員、白衣に身を包んでいる。


「これが完成品だ」

「おう、ありがたく頂こう」


 さっきの2人は白い粉と交換している。

 丸薬、なのか?

 赤っぽいメントスって感じで飲み込むよりは噛んで使う丸薬だろうか。


「試させてもらおう」

「あぁ、いいぞ。だが、ここで暴れるようなら命は無いからな」

「わかってる」


 1人の男は丸薬を口に入れてからガギッと噛んだ。

 すると、みるみる内に姿を変えて人の形の龍に、ドラゴニュートと呼ばれる者の姿に変化した。


「凄い、凄いぞ! 力が溢れてくる」


 ちゃんと喋ってるから、意識はきちんとあるようだな。

 けど、これって五帝神(ごていこう)のドラコさんと同じ感じ……というより、近しい何かを感じる。


「いやー、まさか龍の骨や鱗を砕いた物でこんな代物が出来るとは」

「なーに、素材を持ってきてくれたから容易い事だ」


 龍の骨や鱗?

 それって普通にアウトだよね。

 けど、僕としてもその龍の骨や鱗は欲しい。

 それがあればギャンに行く事が出来るはずだから。

 なら、もちろん奪うのみ。


「どうも」

「だ、誰だ」


 男はしっかりと僕と対峙しながら、敵が来たことを知らせるボタンを押していた。

 偉いけど、


「嫉妬に狂い」


 部屋ごと空間を切り取って外には被害が出ないようにする。

 次に、


「その白い粉は中国で買ったんですよね?」

「あ、あぁ。これは狩ったな」

「なら、売ってください。僕が出せる分は出しますので」

「……りょ、良心的だな」


 そりゃそうでしょ。

 別に殺して奪ってもいいけど、お金の方が後腐れ無いし、ペトラに言う時も気持ちが楽だ。


「な、ならこれでどうだ?」

「うん、いい。なら」


 ダンジョンカードで支払を済ませる。

 それなりの値段になったが、鉛筆の芯をダイヤに変えるという錬金術で稼いだおかげもあって懐は痛くなかった。


「ありがとうございました」

「ま、まさか本当に払えるとは……」


 僕はそのまま家に瞬間移動してから作業にとりかかる。


「お帰り、カズラ」

「シャル! 帰ってたんだ」

「うん。ここならカズラがいると思ったから」


 よかった、よかった。

 サリエルたちと食事をしてたけど、何も無かったみたいだし。


「さて、傲慢な世界に」


 錬金術で、龍の骨や鱗を媒体として「世界を渡る鍵」を作る。

 それは一瞬にして完成した。


「それは?」

「ギャンとかがある獣族がある世界に通じているはず」


 けど、僕1人で行くのは危ない可能性がある。

 もし、他の大陸に繋がって他の神からの力を持った人が現れた時に対応できない、かもしれないからだ。

 

「今から行くの?」

「いや。ココナ先生の話では修学旅行を中止にするみたいだから、日本に帰ってからかな」


 それに、五帝神の皆も連れてく約束をしている。


「で、素材ってなんなの? いつ手に入れたの?」

「素材はさっき手に入れたんだよ。ちゃーんとお金で買ったから問題ないよ」

「そっか。でもぼったくられてない?」

「いやー、適正価格がわからないから何とも言えないな」


 そうだよ。

 僕が自分で中国に行って買ってくればよかったじゃん。

 その方が安かったかもしれないな。


「そういえば、ココナ先生が明日の10時に集合だって」

「用件は?」

「わかんない」


 まぁ、行ってみればいっか。



 ※



 日も昇り、日付が変わる。


「カーズラー」

「うわぁ」


 シャルは寝起きに勢いよく体当たりをして僕の上に乗っかってくる。


「どうしたの?」

「ううん、何となく」


 何となくでするか?

 別にいいけど。


「ココナ先生の所に行くんでしょ?」

「シャルもじゃん」

「そうだけど、カズラは死んでるから」

「死んでることになってるだけ」


 そう、死んでることになってるだけであって、死んでる訳ではない。


「あっ!」

「ん?」

「サリエルがね、カズラが生きてる事を知ってたの」

「サリエルが?」


 それまた何でだ?

 あの第二始祖は裏切らなそうだし、バレる理由がわからない。

 なんか、物凄い面倒な事が起きる匂いがする……否、シャルのいい匂いしかしない。



 ココナ先生が指定した10時になり、ホテルのココナ先生の部屋にはA組の全員が……南条以外が来ていた。

 また面倒な事をしているのか?

 一応は聞いておこう。


「ココナ先生、南条はいないんですか?」

「南条さんは……誰か知りませんか?」


 あっ、ココナ先生も知らないんだ。

 尚の事、南条が面倒な事をしている可能性が高まっていくな。


「南条なら来ないと思うよ」

「義宗は知ってるの?」

「葛は昨日は死んでたからね」

「勝手に殺すな」


 でも大体はわかった。

 サリエルと何かあったんだろう。



さぁ、感想とかプリーズなのです!

ptもプリーズなのです!

そしてブクマも!

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