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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
6章 免罪者編
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No.139 行動のケッカ

気分で更新!



 僕の事を真似て造られたホルムンクスは、第一諜報部隊の施設をかき回してかき回して滅茶苦茶にしていく。

 死人は出ないものの、重傷者が後を絶たない。


「失敗した、か。なんで吸血鬼のスペックで造ってしまったんだ……しょうがない」


 デイビットは立ち上がりホルムンクスの所に向かう。

 本当に何してくれてるんだか。

 ムキムキ筋肉のドジっ子属性とか誰が喜ぶんだよ、マジで。



 数分して、デイビットはホルムンクスを見つけて対峙している。


「はじめまして、ぼくはきゅうけつきだいにしそのほおずきかずらです」

「ホルムンクスのくせに自己紹介かよ。我、第二始祖のデイビット・ジョーカーが命じる、闇をも照らし、塵すら燃やし尽くす地獄の炎。混沌陰法 ヘルフレイム」

「混沌陰法 水弾」


 デイビットの炎は虚しくホルムンクスに消されてしまう。

 てか、勝てないのかよ。

 なら、僕が行くしかないのか?

 偽者を流石に止めないとだよな。


「宝玉の力よ。嫉妬に狂い」


 蝙蝠の目から見えてるから、寸分違わずホルムンクスの首の空間をズラす。

 すると断面が綺麗に首が落ちるが、


「だれだ! だれがぼくのくびをおとした!」

「鬼灯、か? なら聞こえるだろ? このホルムンクスは燃やせばすぐに消える。が、燃やそうとしても元々の吸血鬼としてのスペックがあるからどうにもならないんだ」


 周りに軍の人はいない、ということで僕に聞こえるように言ってくれた。

 炎で燃やす、のか。


「傲慢な世界に。錬金術 聖炎」


 ライターの火を錬金術で聖なる炎へと変化させる。

 それをホルムンクスに投げると一瞬にして炎に包まれて、


「よくも、よくも、よくも、よくも! ぼくをころしたやつはゆるさない!」


 僕の分身というか、コピーな訳だけどなんか嫌だな。

 もし力が無ければ敵に殺られる時にこうなってた、かもしれないのか。


「鬼灯葛は殺した。直ちに他の部隊に通達。繰り返す――――」


 これで僕は死んだことになったけど、大丈夫なんだよね?

 このままA組には被害が出なければいいんだけど。


「……フラグ立てた」


 とりあえずはA組の皆に連絡しておこう。

 普通に考えて何も無い訳ない。

 何かしら面倒な事が待ち受けてるって考えるべきだ。


 てか、自分で蒔いた種があったんだった……。


「混沌陰法 誘惑の霧」


 認識阻害で、他人から見えなくさせる。

 これでホテルに戻っておけば、いざというときに行動しやすいからね。



 ※



 ホテルに戻ったが、特に何も起きない。

 ただ、僕に割り当てられてた部屋は綺麗に片付けられていた。

 軍が来て、僕の物を持ってこうとした。

 が、生憎と言うべきか僕はホテルに物を一切置いてなかったから無駄足になった。


「カズラ、何やってるの?」

「む、ムウか。角までだして、何かあった?」


 白いマジシャンハットを持ち上げるように2本の可愛い角が生えている。


「ちょっと、ね。安心してよ。カズラの悪いようにはしないから」

「わかった。ならいいや」

「そうだ! ココナ先生がどういう状況か教えてほしいって。後……なんだっけ? あの僕たちを下等で卑劣な種族って言った人」

「エレメー教授のこと?」


 エレメー教授は吸血鬼にご執心(しゅうしん)だから特に問題は起こさないだろう。

 後、下等で卑劣な種族って言ったのはサリエルだけど、


「そう、その人。その人がなんか軍に連行されたよ」 

「へぇ、連行されたんだ」


 なぜだ?

 思い付くのは、僕に負けたから……または下等で卑劣な種族とバレたから。

 まぁ、どっちにしても僕にさえ被害が出なければ別にいいけど。


「ありがと。とりあえずココナ先生の所に行くよ」

「うん。また後で」


 僕はムウと別れてココナ先生の泊まっている部屋に向かう。

 もちろん、バレないように姿は隠しているから、途中A組の皆ともスレ違ったりした。


 ――――トントントン


 ノックをすると、中から「どうぞ」と聞こえたから入る。


「どうも。殺された葛です」

「大丈夫?」

「はい。ココナ先生は吸血鬼に階級があるのは知ってますか?」

「そうなの?」

「はい、そうなのです。で、僕の階級が2番目に偉い……って感じなんですけど僕を連れてった人も吸血鬼の2番目に偉い人だったから、見逃してくれました」


 多分だけど、僕がデイビットよりも階級が下だったら潰しにかかってただろうな。

 階級とか凄い気にしそうだし、下に負けるのは嫌とか考えそう。

 まぁ、僕も第三始祖以下には負けたくないな。

 てか、負けるなら死を選ぶよ……多分。


「で、ココナ先生の用はなんですか?」

「葛くんの意見を聞きたいんだ。そろそろ日本に帰るべきかどうかをね」

「日本にですか? 帰ってもいいなら帰る方がいいと思います。僕的にはサリエルと関わりたくないので」

「わかった。じゃあ、修学旅行は中止にして日本に帰れるように掛け合ってみるよ」


 あっ、流石にココナ先生の独断では決められないのね。

 でも、出来たら早めの方がありがたい。

 僕は早く行った事のないギャンがある獣族の世界に行きたいんだ。


「葛くんはこれからどうするんだい?」

「僕は姿を隠してウロウロしています。特にシャルを守るためにね。A組の皆も守らないとシャルが悲しむので、ついでで」

「素直に友達を守ると言えばいいのに」

「は? いや、1人だけ友達じゃないいぶ……なんでもないです」


 影口はよろしくない。

 敵なら未だしも……否、南条は何だかんだ敵だな。

 そうだよ、敵なんだよ。


「皆は今、食堂にいるから葛くんも一緒に食べてきたら?」

「いや、そしたら騒ぎになりますよ。僕が殺されてないって」

「そうかな? 葛くんならA組の皆にしかバレないように出来ると思うけど?」


 えぇ、えぇ、出来ますとも。

 そのくらい僕には、お茶の子さいさいで屁の河童ですよ。


「回復陰法 限定解除」


 A組の皆を対象に、僕にかかっている「混沌陰法 誘惑の霧」の効果を無効にしておく。

 これで、晴れて皆の元に行けるようになった。


「では、僕はこれで」


 急いでレストランに向かう。

 もうね、速すぎて僕が通った所に突風が吹き荒れる。


「うっわ……」


 レストランにはついたが、A組の皆の所にアメリカ組がいる。

 しかも、目が覚めたのかサリエルまでいるし。

 これじゃあ皆の所に行けない……別に悲しくなんてないですよ。

 大丈夫、何ともないよ。

 何ともないけど泣いちゃうよ……赤い犬が頭の中に出てきた。

 

「まただ」

「ん? あぁ、ムウか」

「皆に顔は見せないの?」

「いや、だってアメリカ組がいるじゃん」

「そうだね、いるね。まぁ、カズラの選択は正しいよ。あのサリエルが、エレメー教授を軍に差し出したんだから」

「そんなに強かった?」

「いや、エレメー教授がカズラみたいに吸血鬼の力を使いこなしてないだけ」


 なるほど、人には向き不向きがあるからね。

 なら、尚更出にくい状態だな。

 サリエルは簡単に軍に連絡する手段があるんだから。


ブクマが沢山欲しい今日この頃。

いや、感想もptもいっぱい欲しいけど……。


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