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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
6章 免罪者編
136/155

No.135 写真をヤブル

更新!



「エレメー教授! 流石にそれは良くないです!」


 僕がエレメーを問い詰めるより先にサリエルが注意に入った。

 そのせいで僕は強く出れない状態になってしまったな。


「さっきは降参の声を上げようとしたココナさんの口を塞ぎ、挙げ句には自ら殺そうとした!」

「黙れ! お前には関係の無い事だろ!」

「それに、ザグーに相手側を攻撃させただろ!」

「お前に何がわかると言うんだ。それに相手だってこっちに攻撃をしてきただろ!」


 うーん、おじさんとサリエルの喧嘩なんて興味ないんだよな。


「サリエル、少し。エレメー教授、先に降参してくれませんか?」

「なぜしなくてはいけない。まだザグーは殺されてないぞ!」

「ザグーはエレメー教授の死兵じゃないと思いますが?」


 殺せばいいのか?

 無抵抗の今のうちの方がいっか。

 それに甦らせれば良いだけだし。


「ほ、鬼灯、何を」

「大丈夫だから、サリエル。僕を信じて」


 ザグーに近づいてから首を落とす。

 死体が綺麗な方が治す労力も少なくて済む。


「鬼灯、キサマ何を!」

「待って、サリエル。これしか方法は無さそうだし早いから」

「だからって人を殺していい理由にはならないぞ!」


 サリエルは持っていた剣を抜き放ち、斬りかかってくる。


「チッ。ムウ」

「チョコレート」

「わかった」


 僕がこのまま戦ったらイライラのあまり手が滑ってしまうかもしれない。


「逃げるな!」

「君の相手は僕だよ」


 ムウは遊ぶようにサリエルの相手をする。

 さて、


「エレメー教授、これで僕の勝ちですよね?」

「人殺し」

「どうしてですか? これは不慮の事故です。誰かさんが自分の身可愛さとプライドで降参をしなかったんだから。もしこのままだと、僕は殺される可能性だってあったんだし、なんの問題もありませんよね?」


 いや、普通の人間には僕の事は殺せないだろう。

 てか、一撃で僕の事を(ちり)残さず殺さないと、「嫉妬の宝玉」で何度でも甦ることが出来てしまう。


「認めてください」

「わかった、認める」

「よし。なら」


 僕はザグーに近づいて、


「待て、ザグーは死んだのにまだやる気か!」

「煩いよ? カズラはそんな事をしないから安心しな」

「出来るか! だって殺したんだぞ? 人殺しだぞ?」


 おかしいな、アメリカは軍国ルベルトと戦争していたんだよね?

 なら人殺しなんてそこらじゅうにいるよね?

 それは許されるの?

 それよりも、


「嫉妬に狂い。輪廻転生」


 ザグーを甦らせる。


「あれ? 俺は気絶してたのか?」


「な、生き返った!」

「そんな魔法聞いたことない」

「凄い!」

「へぇー」


 ターニャ以外は驚いてくれた。

 肝心のエレメー教授は、


「こ、国宝級だ」


 目をギラギラと輝かしている。

 いやな目をしてるな。


「サリエル、これでいいだろ?」

「……だからって殺す必要はあったのか?」

「それじゃないと決着がつかないじゃないか」

「だからって!」


 何がそんなに許せないんだろうか?

 それがわからないから諭す事も出来やしない。


「まぁまぁ、サリエル。そのくらいで、ね?」

「でもターニャは許せるの? 殺したんだよ、人を」

「多分……初めてじゃないよ。それに戦争で私たちも何人かは殺したじゃん」

「あれはしょうがなかったんだよ。でも今は違う。話し合いで解決出来たはずだ」


 おいおい、マジかよ。

 サリエルも戦争に参加してて、更には人を殺した事もあるのかよ。

 それなのにこっちの人殺しはいけないって。


「鬼灯、君は無害の人を殺したんだぞ!」

「サリエルだって戦争で殺したんでしょ?」

「そうしないとこっちが殺されてたからだ!」

「それなら僕だってそうだよ。殺さないと殺されてた。それにA組を殺そうとしたのを認めたでしょ? それは悪じゃん」

「それは今は関係ない! いいか、鬼灯。そうやって話を逸らして逃げようとするな!」


 あー、もう。

 全然話を聞いてくれないし、変な価値観があるせいで面倒な流れになってるよ。


「サリエル、そのくらいでいいじゃん。ね? ザグーも生きてるんだから」

「そんなの関係ない! 殺したという事実のみが大事なんだ」

「じゃあ私たちの戦争での殺し合いは?」

「その話は今は関係ない! が。はぁー、ターニャに免じて許してやるが、次は無いと思え」


 それだけ言い残してサリエルは行ってしまった。

 他のアメリカの子たちはサリエルにはついていかないものの、居心地悪そうにしている。


「鬼灯くん、君は凄い! 凄いよ!」

「え、エレメー教授?」

「さっきの蘇生魔法は見事だったよ」

「それはどうも」

「それで何だが、是非うちの学校に来ないか?」


 清々しいほどの掌返しだな。


「遠慮しておきます」

「そう言わずにさ。ね? 待遇も良く出来るよ」

「なら先に聞かせてください。僕に何をさせようとしてるんですか?」

「そんなの、普通に学校生活を送ってもらうだけだよ? 君みたいな優れた生徒がいれば周りの士気の向上にも繋がるしね」


 一瞬だけ脈が早くなったから、嘘だとわかる。

 面倒な事を押し付けられ兼ねないな。


「それに汚れた血と一緒にいる必要はないんだぞ?」

「汚れた血とは?」


 わかりきってる事だが、一応聞いておく。

 もしかしたら僕のような吸血鬼を指すかもしれないしね?


「汚れた血は汚れた血だ。人間ではない下等で卑劣な種族たちよ。そんな汚れた血と一緒にいる必要がな――――」

「――――口を慎め(・・・・)


 「見事」としか言えない動きで、エレメーの首元に小刀と銃の形にした手が当てられる。

 特に、文鷹の殺気は凄まじい。

 義宗の殺気も負けず劣らず手には魔力が貯められている。


「な、何をする。私はアメリカの魔法教授だぞ! そんな事をしてただで済むと思うなよ!」

「汚れた血だ? 下等で卑劣な種族だ? 誰が決めたよそんな事」


 義宗はそう言うと手の魔力が一層強いものへと変化していく。

 文鷹は小刀を抑えようと頑張っているのがわかる。

 それだけ馬鹿にされて辛いんだよね?

 でもね、それは君たちだけじゃないんだよ?


「人間ではない下等で卑劣な種族、ね」


 義宗と文鷹は僕の殺気に当てられ冷静になったのか少しだけ、間合いのギリギリまで離れる。

 「人間ではない(・・・・・・)」という部分が重要だ。

 それに「下等で卑劣な種族(・・・・・・・・)」とは何とも嘆かわしい。

 人間よりも遥かに上等で完璧な種族だと思うけどな。


「それがどうしたと言うんだ! 汚れた血は全て殺すべきなんだぞ!」


 よし、ここは悪い吸血鬼っぽく、


「人間。お前の方が下等で卑劣ではないのか?」

「何を言う! 私はアメリカの魔法教授にして第四分隊の大佐だぞ!」


 アメリカの魔法教授はまだしも、第四分隊の大佐は偉いのかよくわかんないな。

 でも、


「1つ訂正をしよう。僕は人間ではない。吸血鬼第二始祖の鬼灯葛。以後、お見知りおきを」

「吸血鬼?」

「それを下等で卑劣とはよく言ったものだな」

「そんなハッタリが効くとでも思ったか!」


 エレメーは本気でハッタリだと思ってるようで、勝ち誇った笑みを浮かべている。

 こういう時って自分を吸血鬼と証明する方法が無いんだよな、残念ながら。


昨日更新しようと思ってた……

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