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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
5章 破壊者編
128/155

No.127 乙女のネガイ

更新なのです!



「ここでいいですか?」

「あぁ、大丈夫だ」


 ドールさんに許可をとり、部屋の一角を借りて、そこに地球へと繋げるゲート……扉を作る。

 これで自由にドーラが行き来出来るようになるからね。

 さて、ここから地球のどこに繋げるか。


「これはあれだな。皆にお金を出してもらって家でも買うか」

「皆のシェアハウスって事?」

「そんな感じ。そこにグロンダントに繋がる扉とかギャンに繋がる扉を作ればいいでしょ?」

「凄いな、葛はそんな事も出来るのか」

「まぁね」


 義宗に誉められて鼻が高くなる僕!


「じゃあ、また繋げに来ます。開け、世界を渡る扉」


 空中に鍵を刺して回すと景色は一転して、2年A組の教室へと戻ってきた。


「じゃあ……エリーと文鷹の2人に家の購入は任せて皆は解散でいいよね?」

「あぁ、家は一軒家でいいんだよな?」

「うん。部屋が沢山あればなお良し。お金は領収書を僕名義でお願いね」

「わかった。行こう、エリー」


 文鷹はエリーを連れて行ってしまった。

 文鷹たちが家を買わないと次には進めないので、皆とはここで解散となった。


「シャル、どこか行く?」

「うーん、特にないかな。でも……」

「ん? 何かあるの?」

「うん。ガンマターチって荒れてたでしょ?」

「まぁ、少しね。空気も汚れてたし……気になったのは植物の類いが全然なかった事かな」

「そうなの。私もそう思ったから、カズラならどうにか出来ないかな?」

「出来るよ。シャルが望むならやろう! まずはホームセンターで苗木や植物の種をいっぱい買わないとね」

「うん!」


 と、言うわけで僕はシャルとホームセンターに行き色々と買ってから、先にエクスターチに戻った。


「じゃあガンマターチに行こっか」

「何で行くの?」

「船は」


 港に来てみたが、海が荒れていて、とても船を出せる状態じゃないとの事。

 けど、飛空挺なら大丈夫だと教えてもらったから、飛空挺乗り場へと行く……うん、


「なんでこんなに混んでるの?」

「兄ちゃんは知らないのか?」

「は、はい。知りません」


 ドワーフの1人が懇切丁寧に教えてくれた。


「なんかガンマターチは今、就職者を多く募集しているらしいんだ。なんでも、急に何人もの人が倒れちゃって大変だからって」

「原因はわからないんですか?」

「あぁ、原因はわかってないらしいけど、商業大国だからな。行かない方が損って物だ」


 なるほど、原因はわからないけど、(ドワーフ)が倒れちゃってる、と。

 原因不明なのは嫌だな。

 面倒な事が起こらないといいんだが。


 順番を待ってから1時間くらいでやっと飛空挺に乗る事が出来た。


 それから、優雅な空の旅を楽しんでからガンマターチに到着した。


「うっ、なんだこの臭いは」

「気持ち悪いな」

「やべぇ、やべぇよ」


 飛空挺から降りた人たちが口々にそんな事を漏らす。


「シャル、大丈夫?」

「うん。でもきつい臭いだね」

「1日2日でこんなに変わる物か? とりあえず、結界陰法 神聖なる砦」


 色々な物から守ってくれる結界を張って、臭いを抑える。


「これで大丈夫?」

「うん、ありがと! で、カズラは苗木とか買ったけどどうするの?」

「うーん。この大陸ってさ、見た目から緑が見えないじゃん? だから、勝手にこの大陸の回りに木を生やそうと思ってね」

「でも浜辺とかでも育つの?」

「それはもちろん」


 宝玉の力に頼るから問題ないんだ。

 

「でも勝手になら怒られない?」

「シャル、バレなければ問題ないんだよ」


 というダメな考えは良くないな。

 せめて植えるだけの理由が無いとだよな。


「よし!」

「なにか思い付いたの?」

「うん。ガンマターチって謎の病が流行ってるでしょ?」

「うん、みたいだね。人が倒れちゃうって」

「そうなんだよ。だからその原因を探って解決出来る木を植えれば大義名分を得られるんだよ」

「そっか。でも原因が」


 わからない。

 原因がわからないけど、怪しい所はある。

 行き忘れてしまった時計台。

 そこに原因があると踏んでいる。


「まずはこの空気が怪しいよな」

「うん。気持ち悪い空気だもんね」


 「強欲の宝玉」からの情報によれば、この空気は工場から出るガスが原因との事。

 それだけじゃなく、海に流されている汚水やガンマターチ特有の有毒ガスも原因らしい。


「工場を潰すのは悪手だよな」

「うん。働けなくなる人が出てきちゃうよ」

「でも、原因の8割が工場なんだよ。残りの2割のガンマターチ特有の有毒ガスと混ざって最悪の事態を引き起こしているから、工場さえ潰せれば」


 またはガンマターチの性質を変えるか?

 でも大きな大陸だから超が10個じゃ足りないくらい大変なんだよな。


「カズラ、原因はわかったんだよね?」

「うん。そうだけど?」

「だったらそれを打ち消す木を作るんだよね?」

「……はい、その通りです」


 なら後は簡単だな。

 世界樹の力で育てればある程度はおかしな機能がつくだろう。

 よし、そうと決まれば、


「すみません。この国で1番偉い人って誰ですか?」

「偉い人か? アビスさまだな」

「そ、そうですか」


 大変だ。

 アビスは僕が殺したから今はもういない。

 なら、


「その次くらいに偉い人は?」

「その次か。ドボルさまだと思うよ」

「あ、ありがとうございます」


 ドボルも僕が処分した。

 これって最悪だ。

 トップがいなくなった国ってどうなるんだろう?


「カズラ、どうするの? 許可をとらなきゃいけないのに」

「うーん、とりあえずは時計台に行こう」


 対策とか色々と未来の僕に任せよう。

 なんとかしてくれるはずだから。



 ※



 時計台の前に来たはいいものの、やっぱり入り口は見当たらない。

 それに、第一特区が少しだけ騒がしい気がする。


「アビスさまはいなくなったのか?」

「ドボルさまはどこに行ってしまわれたんだ」

「あぁ、私たちはどうすれば」


 もうアビスとドボルがいない事に気がついてしまっている。


 ――――ギギギギ ガコン ガコン


 歯車が回転する音が聞こえる。

 それと同時に地面は揺れて声が聞こえる。


『入ってきて』


 その声は脳に直接語りかけてきている。

 その声に従い、開いた時計台の中に入っていく。



 歯車や色々な絡繰(からくり)が剥き出しになった通路を進んでいく。

 すると、目の前に女の子の絡繰人形が現れた。


『それについて来て』


 声の主が何者かはわからないが悪い人ではない気がする。

 だから絡繰人形について進んでいく。


 薄暗い通路は……いや、襖や木で出来た廊下、歯車の類いや絡繰も木で出来ていてお化け屋敷のようだ。

 否、絶対に意識してるだろ。

 だって提灯まであるんだよ?

 こんなのおかしいよ。


「ここ?」


 ついたのはエレベーター。

 ただのエレベーターじゃなくて、妖怪がでてくる温泉のやつみたいなエレベーターだ。

 絡繰人形はコクンッと頷いてから消えた。

 文字どおり消えた。


「いやいやいや、なんで消えたの?」

「カズラ」

「な、なに?」


 シャルの顔が仏のように穏やかだ。


「考えたら負けだよ」

「あっ、はい」


 なるほど。

 疑問があっても考えない、と。


 そのままエレベーターに乗り、1つの部屋の前へと来た。



感想、ブクマ、ptぜひぜひくださいまし!

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