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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
5章 破壊者編
122/155

No.121 噂のウラギリ

遅くなった……てか更新したと思ってた



 とりあえずは観光としてやって来たドワーフの世界。

 泊まる場所は石上家を貸してもらう事となった。


「吸血鬼よ」

「その呼び方は止めてくださいよ。なんですか、ドールさん?」

「いや、そのだな。頼みたい事があるんだが」

「わかりました。出来ることならなんでも」

「そうか? なら頼むとしよう」


 ドールさんの頼み事か。

 素材集めとかそんな感じなのかな?

 それとも誰かの暗殺とかを頼まれるのかな?


「頼みというのは偵察だ」

「偵察、ですか?」

「そうだ。エクスターチの隣にある大陸、ガンマターチに行って情勢を見てほしいんだ」

「ガンマターチ……」


 ガンマターチに関する情報が色々と入ってくる。

 歴史から特産品から犯罪係数と本当にたくさんだ。


「わ、わかりました。それで、どんな事を?」

「こっちが作った物を丸っきりコピーして、こちらに売り付けてくるんだ。素材から意匠まですべて同じで、しかも安価ときた。こっちの商売が上がったりだよ」

「それはまた」


 なんとも面倒な事で。

 絶対にダルいじゃんって思ってるけど、他の大陸に行けるのは楽しみだ。


「ガンマターチ行きの船はとってあるから気にするな」

「あ、ありがとうございます」


 行かせる気満々だったんですね、そんなに用意周到で。


「ちなみにチケットは何枚?」

「6枚だ」

「わかりました」


 なら、僕とシャル、後は誰がいいだろう?


「カズラ、楽しそうだね」

「ムウも来るか?」


 戦力としては申し分ないし、悪くない。

 ドミニカさんとドールさん2人が宝玉持ちだから何があってもある程度は大丈夫なはず。


「よし、後は3人か」


 うーん……よし、皆を集めて行きたい人を連れてくか。


 と、言うことで皆に集まってもらった。


「ドールさんから依頼でちょっと隣の大陸、ガンマターチに行くんだけどついてきたい人? 今は僕とシャルとムウが行くから」


 ペトラが小さく手を挙げては下げる、挙げては下げるを繰り返している。


「ペトラは決定な」

「う、うん」


 反対はしないよな、流石に。

 手を挙げようとしていたんだから。


 次にドラコさんもついてくるらしい。

 後は……


「いいや。心夜先輩行きましょう」

「えっ、俺がかい?」

「嫌ですか? 僕的には心夜先輩がどのくらいの強さなのかを把握したいと思っていたので」

「それは葛くんが力を見せてくれるという事かな?」

「それはどうでしょう?」


 僕は肩を竦めて答える。

 よし、6人は決定した。

 チケットを確認して……


「後20分で出発しちゃう」


 僕がそう言うと5人(シャル、ムウ、ペトラ、ドラコさん、心夜先輩)は急いで準備を始める。


 全員が軽装。

 僕はいつも通りの貴族みたいな服。

 シャルは制服が気に入ってるのか制服。

 ペトラも制服姿。

 ムウはいつも通り胡散臭いマジシャンの格好。

 ドラコさんは着物で、似合っててカッコいい。

 そして心夜先輩は、黒い陰陽師感のある服装。


「シャルとペトラ以外統一性が無いね」

「そうだね」


 僕とシャルとペトラは普通に走り、ムウは魔法の絨毯に、ドラコさんは翼を生やして少し飛びながらついてくる。


「心夜先輩、頑張ってください」

「な、なんで、皆は、大丈夫なの?」


 走るのが心夜先輩だけ遅い。

 僕とシャルは吸血鬼だから疲れないし、スピードも速い。

 ペトラは獣族、それも猫で負けず劣らず。

 ムウとドラコさんは言わずもがな。


式神(しきがみ) (うま)


 1枚の紙から馬が現れる。

 うん、よくわからないけど、魔法と似ている。

 否、魔術と似ているな。

 干渉できない特殊な魔力を使っている。

 なんか「強欲の宝玉」が物凄い説明してくるけど意味がわからない。


「これで遅れをとらないね」

「凄いです! 魔術を使えるのが僕以外にもいるなんて!」


 ムウは興奮した様子で馬の周りを飛んでいく。



 ※



 船には普通に間に合った。

 心夜先輩も流石はA組と言うべきだろう。


「あー、俺だけ弱い感じがするな」

「そんな事ありませんよ」

「いやいやいや、普通に走ってる葛くんとシャルちゃんがおかしいんだって。本当に人間?」


 あっ、そういえば言ってなかったな。

 ドールさんはちょくちょく言ってたけだ聞いてなかったみたいだし。


「僕たちは吸血鬼ですよ?」

「吸血鬼? そ、そうなのか。通りでおかしいわけだよ」


 納得してもらえて良かった。


 いやー、にしても凄い船だ。

 装甲はミスリルをたっぷり使ってるし、スピードも速い。

 そして、なんと言っても最高なのが砲台。

 海の生物や海賊に襲われた時の為についてると言われてる砲台。

 ここ10年は1度も使われていないらしい。


「にして速すぎだろ」


 甲板に出てみた訳だが、風や海水が凄い。

 特に海水の、水飛沫の勢いが強くて人間だと普通に痛いだろう。


「ん?」


 僕の視界にはいくつかの船がこっちに向かっているように見える。

 間違いじゃないだろうな。

 うん、船だ。

 しかも海賊船ときた。


『ただいま、盗賊の存在が確認されました。速やかに船内に入り、乗組員の指示に従ってください。くりかえします――――』


 対応は迅速にいかないとだもんな。

 とりあえずは指示に従いたいけどここにいよう。

 えっ、ここは率先して止めにいかないのかって?

 そりゃ止めたいけど僕にもちゃんとした理由があるんだ。


「君、こんな所にいないで船内に入ってくれ」

「お願いします! 煩くしないので、砲台が撃たれる所を見せてください!」


 そう、これが僕の理由。

 10年前のでどのくらいの強さなのか知りたいし、外にいた方が後々の始末が楽だからね。


「ダメだ。危ないから下がっててくれないと困るんだよ」

「どうしてもダメですか?」

「あぁ、どうしてもダメだ」


 ちぇっ。

 お兄さんの必死な懇願を聞いて、しょうがないから船内に入る。

 ダンジョンカードでも見せてたら違ったのかな?


「えっ……」


 船内に入ったのはいい。

 けど、これは酷いとしか言えない。

 だって、乗組員たちが殺されているんだもん。


「おかしいと思うべきだったんだ」


 さっきの乗組員は1人しか外に出て来なかった。

 数は3人、抵抗の後や暴れた後が見られないからほぼ即死だろうな。


「良かったね、僕がいて。宝玉の力よ」


 僕の後ろにフワフワと7つの宝玉が浮かんでいる。


「嫉妬に狂え。輪廻転生」


 3人は次第に息を吹き返す。


「大丈夫ですか?」

「わ、私は」

「気を失っていたので治療しました」

「そうか、君は魔法を使えるんだね。ありがとうよ」


 最初に目が覚めたのがおじさんな乗組員。

 ちゃんと受け答えも出来てるから、蘇生は問題無さそうだな。


「そうだ! アイツを止めないと」

「何があったんですか?」

「大丈夫だよ、気にしないで。こちら2班。マリクが裏切り行動の後、何かをたくらんでいるもよう。至急応援を」


 無線で一気に説明している。

 気絶して(死んで)いたのによく状況がわかるな。


 ――――バチッ バチチッ


 そんな音をたてて、電気が消えた。

 そして、船のスピードが緩やかになるのを感じた。



明日は卒業式……らしい。

ブクマとかptください!

☆を★にするとpt入るので……

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