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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
5章 破壊者編
121/155

No.120 終わりのウワサ

更新、なのです!



 多分だけど、南条はこれだけじゃ心は折れないだろう。

 それどころか危害を加えてくる可能性がある。

 否、危害を加えてくると断言できる。


「カズラ、あのままで良かったの?」

「なんで? (なぐさ)めるでもするべきだった?」

「ううん、逆で南条って子の目は死んでなかったから」

「それはちょっと危険かな? って考えてる」


 いくら財閥が解体されたからと言って、全財産が無くなった訳ではないらしい。

 それ相応の財産は余っているだろうし、北星のように家族に危害を加える可能性がある。

 てか、僕に勝てないならそれが1番だろうし。


「はぁ、一等地のマンション買ってそこに住んでもらうか。後は吸血鬼の護衛をつけたいから……アイリスに――――」

「――――それはアイリスちゃんが可哀想だよ?」

「そうだよな。まぁ、マンションは確実として、五帝神はついてくるから護衛をお願い出来ない。ドリーさんも無理。っとなると」


 やっぱり吸血鬼が1番だな。

 それも奴隷陰法で逆らえないようにしよう。


「カズラ、この世界には奴隷はありませんよ」

「……そうだね、そうだよね」


 チッ、適当に吸血鬼を捕まえるか。


「「あっ(!)」」


 いた、吸血鬼だ。

 しかも、ある程度使えるな……(とおる)に任せよ。


「行こ」


 シャルの手を引いて、その吸血鬼の脇を抜ける。


「って無視かよ!」

「なにか?」

「お前の弟には散々迷惑をかけられた」

「だからなに? 透は第二始祖だからね。君がいくら頑張っても無理だから」

「おい、そこの女!」


 吸血鬼は標的を僕からシャルに移した。

 でもシャルって、


「第三始祖、“虚飾(きょしょく)の吸血鬼” シャル・ユリエーエです」

「だ、第三始祖だと……」

「あなたは? 名乗らないのは上に失礼とカズラに教わりました。礼儀がダメだったら始末しても問題ないとも」

「わ、ま、待て。名乗るから。私は第五始祖の雨宮香輪だ」


 早口で自己紹介をして逃げるように行ってしまった。

 なんか(みじ)めだったな。

 いや、そんな事よりも僕は透にメッセージを送っておく。

 拗ねてはいてもお願いは聞いてくれる、可愛い弟だ。

 僕より背が大きくなったから見た目は可愛くないけど。



 ※



 朝の学校。

 多くの生徒が登校してきている。


「君が噂の葛くんかな?」


 ネクタイとバッジの色から3年生か。


「先輩がなんのご用意で?」

「いや、君に悪い噂が流れててね」


 さも演説するかのように、大きな声で周りの生徒に聞こえるように話始める。


「その噂が本当なのか確認しようと思って元を辿ったんだ。そしたらなんと!」

「なんと?」

()財閥の南条家のご令嬢である南条暦が流した噂だったんだ」

「それはまた」


 流れるのが早いな。

 噂はそういう物なのか?

 てか、先輩が「元」を凄い強調して言ってる。


「そこで、色々調べていくとわかったんだ。葛くん、君が南条家は解体されたと言ったそうだね?」

「はい」

「それを怒ったんだろう」


 いや、違うと思います先輩。

 それも原因の1つだろうけど、昨日のが絶対にトリガーですから。


「くだらないデマを流したんだ。いやー、まさかこの学校にそんな噂を、デマ(・・)を信じてる生徒なんていないよな」


 そしてチラッと周りを歩く生徒たちに目を向ける。


「いやー、声が大きかったね」

「いえいえ、気にならさずに。でもありがとうございます」

「いいんだよ」


 なんとも気さくな先輩だ。

 軽く頭の中を、過去を覗いてみたけど、黒い所はなく好青年って感じだ。


「それで、物は相談なんだけど」

「はい、えっと」

「あぁ、そっか。俺は3年のA組1番、六道(ろくどう)心夜(しんや)だよ」

「六道先輩の相談って?」

「心夜でいいよ。俺の相談はね、ちょっと小耳に挟んだらんだけど、ドワーフの世界に行くんだよね?」

「は、はい」

「それに連れてってほしいなーってね」

「そんな事ですか?」

「あれ? いいの?」


 別に悪い人じゃなくって、過去とかも問題ないから構わない。

 僕はシャルと心夜先輩と一緒に教室に向かう。


「あっ、葛くん。私も行って大丈夫な事になりました」

「よ、よかったですね、ココナ先生」


 ココナ先生はその場でピョンピョン跳ねて、「子供か」とツッコミたくなるような喜び方をしている。

 さて、A組も五帝神も皆いるな。


「えーと、3年生のA組で1番の六道心夜先輩です。この度ついてくる事になりました」


 僕が連れてきたなら、という感じで拍手で迎えられた。

 そこまで信用されているのか、恐怖からこうなってしまったのか。

 出来れば……じゃない。

 絶対に前者であってほしい。


「じゃあ行きましょう。開け、エクスターチへの世界」



 ※



 そこはエクスターチの港。

 僕たちが初めてエクスターチに来たときに降り立った場所だ。


「帰って、きた」


 石上は感動のあまり泣き出してしまった。


「あれ? ドーラちゃんか? か、帰ってきたのか?」

「本当だ! ドーラちゃんだ」

「お帰り。どうやって帰ってきたんだ?」


 石上は本当に好かれているらしく、前の時みたいに歓迎された。


「葛くん、ちょっといいかい?」

「どうしました、先輩?」

「言葉が皆わかるようなのだが」

「あぁ。暴食に喰え。言葉の壁という理を喰らえ。これでどうです?」

「凄い! 凄いよ。言葉がわかるなんて」


 気に入ってくれたようでよかった。

 さて、石上家にお邪魔させてもらお――――


「――――ドーラーーーー!」


 泣きながら1人のドワーフが物凄いスピードでやって来る。

 流石にこのままぶつかれば危ないと思い1歩足を前に出したが、それよりも早く義宗が飛び出していた。


「危ない!」


 石上を抱き上げてその凄い者から避けると、


 ――――ドッボーン


 大きな水柱をたてて海に落ちた。


「大丈夫ですか、ドールさん」

「おぉ、久しいな、吸血鬼よ」

「その呼び方はちょっと」


 ドールさんに手を貸して海から引き上げる。


「ドールさんに貰った黒鬼、とっても使えます」

「そうか、それは良かった。んで、ドーラーー!」


 次は走らずに石上の、ドーラの所に行く。


「いやー、流石にさっきので当たったら危なかったな。ありがとうよ」


 義宗にお礼を言われて照れている。

 てか、早く降ろしてあげなよ、ドーラを。

 顔まで真っ赤に染まってるのにソロソロ気がつけ、バカップルが。


 その後、石上家にお邪魔ましたのだが、部屋がいくつか増えてて広くなっていた。

 A組の皆がグロンダントに行ってからも錬金術で色々と作って売れたらしい。

 特にエクスターチ以外の国に高く売り付けて収入がとても増えたとか。


 んで、今は報告の最中。

 いわば修羅場? には1歩届かない感じのやつだ。


「ほう、ドーラと付き合っていると」


 ドールさんは義宗に睨みを効かせる。

 それを普通にしている義宗は本当に人間か?


「そっか、そっか。ドーラがやっと彼氏を連れてきてくれたのかぁ」


 雰囲気が一転、ドールさんが泣き出す。


「お父さん、余計な事は言わないでいいから」

「む? わ、わかった。娘をよろしく頼むよ」

「はい!」


 怒鳴られたりしなくてよかったな、義宗。



感想とかブクマとかptとかくださいまし!

中の人のモチベに繋がって、頑張って書けるので

_φ(゜Д゜ )

後……★を……

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