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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
5章 破壊者編
120/155

No.119 一日のオワリ

更に更にブクマが増えてて嬉しい限りです!

更新!



 シャルと一緒にタクシーで追う事30分。


「カズラ、停まったよ」

「うん。羊ヶ丘って所か」

「知ってるの?」

「情報だけね。はじめて来たよ」


 追跡デートも中々悪くない気もする。


「カズラ、チルたちの撮ってるあの銅像って?」

「あーー、あれね。クラークさんって言って」


 何をした人なんだろう?

 全くもって知らないな。


「カズラ、夕陽が綺麗だね」

「うん、綺麗」


 紅く赤く空を、雪を照らして輝いている。

 それ以上に、隣にいるシャルが夕陽に見惚れている姿に僕は見惚れてしまった。


「そうだ、シャル。エクスターチって言ってね、ドワーフの世界には行けるよ」

「そうなの? この前にろ、ろー、なんだっけ?」

「ロードね。ロードに何かを貰わなくても、1度は行った事があったからね」


 そう、「嫉妬の宝玉」を手に入れたから、行った事のある場所には簡単ではないけど行ける。

 まぁ、問題はギャンがある獣族よ世界だ。

 獣族には色々な種族がいて、ドラコさんも獣族出身らしい。

 それと、妹への愛が結構強く、僕に会わせようとしているけど正直怖い。


「カズラ、チルたちがいなくなったよ」


 あぁ、チルたちね。

 そういえば僕はすっかり忘れてたけど、


「シャルさま。こちらで何をしているかお聞きしても?」

「へ? ち、チル! ど、どうしたの? 私たちはデートをしていただけだよ」

「そうですか」


 どうやらバレてしまったらしい。

 ハーデスはそこまでだけど、チルは結構ご立腹な様子。


「ハーデス、行きましょ」

「いいんですか? シャル嬢と一緒じゃなくて」

「いいんです。彼方(あちら)もデートみたいですから、私たちも楽しみましょ!」

「……う、うん。そうだね」


 ハーデスは嬉しそうに微笑みチルの後についていく。


「バレましたね」

「バレちゃったね。シャルはどうする?」

「なら」


 シャルはスマホを操作して調べ始める。

 そして、


「これ! これが食べたい!」

「わかった。行こっか」


 シャルのスマホに写されていたのはパフェの写真。


 それからシャルといくつかのパフェを(はしご)した、パフェデートを楽しんだ。

 その後、瞬間移動で家に帰り、グロンダントへの道が開けるか確認する。


「開け、エクスターチへの世界」


 うん、成功だ。

 試しに1人で来てみたけど、そんなに時間が経ってないのか全然変わってなかった。

 町並みしかわからないけど。


「戻るか」


 戻ると、エクスターチで過ごしたほんの少しの時間しか経過してなかった。

 うん、「強欲の宝玉」のおかげで時間問題も解決だ。


「カズラ、どこに行ってたの?」

「ちょっとエクスターチまで」

「出来たの?」

「うん、もちろん」


 これで皆に知らせられる。

 皆に「話があるから明日は学校に来てね」とお願いをする。

 まぁ、皆は優しいから誰1人としてバックレるなんて無いだろう。



 ※



「よーし、皆いるね?」 


 皆は、(鬼灯葛)、シャル・ユリエーエ、ムウ・ハセ、エリー・L・トワイライト、一松(いちまつ)文鷹(ふみたか)石上(いしがみ)ドーラ、浅間(あさま)義宗(よしむね)、ペトラ・ンラ、チル・デガードの9人……9人?

 あれ?

 桜がいないな。


 ――――ガラガラガラ


「皆さん揃ってますね」

「ココナ先生、どうしたんですか?」


 ココナ先生が慌てた様子で教室に入ってきた。


「えっと、宮野桜ちゃんは転学しました」

「「えっ!」」


 まぁ、それもそうだろう。

 と、僕を含めた全員が思う。

 この前は触れなかったけど、桜は操られていた時の記憶が残っていた。

 そして、「幼馴染みなのに」という検討違いに言った事も覚えていた。


「それで、なんだけどね……」

「ココナちゃん先生、言いにくそうだけどどうしたの?」


 エリーが心配そうに声をかける。


「A組に1人上がってくるから」

「あーー、そっか、そうだよね」


 皆、納得したかのようにウンウンと頷いている。


「それで、もう少ししたら来るから」

「じゃあ先に話しちゃおう。エクスターチのあるドワーフの世界に行けるようになった。旅行だ~」

「「「おーーーー!」」」


 皆興奮したかのように声をあげる。

 その中、義宗は若干の緊張気味な表情をしている。

 逆に石上はこの中で1番嬉しそうな表情だ。


 ――――ガラガラガラ


 扉が開いて1人の女子生徒が教室に入ってくる。

 その女子生徒を見た僕とシャルとチル以外の顔が引きつる。

 それもそのはずで、教室に入ってきた女子生徒は、


南条(なんじょう)(こよみ)です。またよろしくお願いします」


 そう、僕には目もくれずに挨拶をした。

 が、誰1人として返さない。

 まぁ、シャルとチルは僕に挨拶をしない不届き者と思っただろう。

 ムウは丸っきりの無関心で、どちらかと言うとドワーフの世界に早く行きたいのかソワソワしている。

 他の皆は色々な気持ちがあるんだろう。

 もちろん僕にだってある。

 特に1年の時の京都(2章)の事とかね。


「皆さんが揃ってるというのは何かがあったんですか?」


 南条が質問を投げ掛けるも誰も答えようとしない。

 多分、元々A組だった皆は僕の顔色を伺ってる感じかな?

 それとはお構いなしに、


「カズラ、いつ行くの? 今から? 今から?」


 ムウが無邪気に聞いてくる。


「うん、皆の準備が大丈夫ならいつでも。じゃあ、また明日で。明日なら大丈夫だよね?」


 皆は頷いてくれた。

 それを南条は面白くなさそうに見てる……いや、睨んでくるの方が正しい。


「ココナ先生はどうしますか?」

「私は仕事があるので今回は大丈夫です」

「そうですか。気が変わって来たければ明日教室で」

「ありがとうございます、葛くん。でもだ、大丈夫ですよ? 別に置いてかれそうで悲しいとか全然ないですから。けど、ちょっと、ほんのちょっとだけ行きたいから校長に許可を取ってきます」


 そう言うと、急いで教室を出ていった。


「み、皆さんはどこに行くんですか?」


 意地でも僕の方を見たくないのか皆に質問する。

 義宗が「言っていいか?」って顔をしてたから頷いておく。


「葛がドワーフの世界に連れてってくれるって言うから行くだけだよ。まぁ、目的はいくつかあるけど」


 わかると思うけど、義宗の目的は石上家に正式に挨拶をすることだ。

 

「ほ、鬼灯さん?」

「シャル、早く帰ろー」


 南条の言葉を無視して帰ろうとすると、


「鬼灯さん! 無視しないでください!」


 心の叫び。

 B組で、財閥が解体された事がバレて誰にも相手にされなくなったんだろう。

 だから、無視される、というのが相当辛いんだな。


 まぁ、僕は聖者ではないから。

 どっちかと言うと宝玉からとって「大罪人」だろうな。


「なにか用? こっちは一切用は無いんだけど」

「わ、私は用があるんです!」

「あのさ、人を価値がないだのクソ野郎とか言っといて都合がよすぎるんじゃない?」


 それまで、シャルは少し南条に同情していたようだが、僕のその言葉で一転、物凄い剣幕で睨んでいる。


「で、用があるんだっけ?」

「わ、私も連れて――――」

「――――いってくださいなんて言うなよ? 僕が何をした? なんでクソ野郎呼ばわりされなくちゃいけない? 僕には価値がないんだろ? だったら僕なんかに構ってる時間は無いんじゃないかな」


 それだけ言い残して教室を出た。



マージで嬉しい!

感想とかも出来たら欲しい……


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