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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
1章 略奪者編
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No.011 時間とクウカン

構ってちょうだい、構ってちょうだい、構ってちょうだいな。



 僕は早速、寮で外出届を出してからドリーさんの家に向かう。

 僕の予想が正しければ、森のような人目につきにくい所からならドリーさんの家に行けると考えた。


 なので、人目のない路地裏へと入ってみると案の定と言うべきか、あの森にあった屋敷と同じ豪華な屋敷があった。


「失礼しまーす」


 扉が開いていたので、インターホンは鳴らさずにドリーさんの家に入る。


「あっ、ドリーさん。ローザスさんはいますか?」

「ん? 鬼灯(ほおずき)くんか。ローザスなら今買い物を頼んでいる」

「買い物……何を頼んだんですか?」

「ちょっとな。血を採らないと私も死ぬから」

「あっ……僕もですよね」

「そうだよ。君も血を定期的に採らないと死ぬぞ?」


 それは嫌だ。

 でも血を採るって人間からだよな。

 誰か都合よく血をくれる人なんていないしな。

 奴隷っていう手もあるけどそれは法律的によろしくない。

 それに血を吸うなら可愛い女の子がいいからな。


「ただいま戻りました。これはどうも、葛さん」

「ローザスさん、お願いがあるんです」

「なんでしょうか」


 僕はローザスさんにダンジョンカードを見せてから、事の事情を説明して偽造してもらう。

 その偽造はすぐに終わり、人間?ではなく人間になった。


「ありがとうございました、ローザスさん」

「いえいえ。これくらいは問題ありません」


 屋敷を出ると、さっき入ってきた路地裏に出ることができた。

 これなら寮の夜ご飯までには間に合うだろう。


 寮に戻ると、寮母さんが夜ご飯を作ってくれていた。


「ありがとうございます、寮母さん」


 ここの寮は一般人用の寮でA組の僕以外(9番はわからない)は通称貴族寮と呼ばれるいい寮で寝泊まりしている。

 まぁ、あんな人たちが集まったんだから当たり前と言えば当たり前だけど、僕はこっちなのに。

 吸血鬼で第二始祖なんだぞ。


 と、そんな事はどうでもよくなるくらい、寮母さんのカレーはとても美味しい。

 うん、こっちも悪くないから気にしない。

 明日から魔法とかの授業があるから張り切ろう。



 ※



 教科書とかの類いは魔法収納袋に入れて校舎に向かう。

 特に何事もなく、平和に教室につくことが出来た。

 まだ、誰も登校しておらず、1人の教室だ。


 今日の1時限目は魔法基礎学と呼ばれる、人間が魔法を使うための授業だ。

 そして、授業が始まる時間に刻一刻と近づいているのに誰一人として教室に入ってくる気配がない。


「もしかして教室を間違えたか?」


 そう思いクラスが書いてある板を見るも、『1年A組』、と書かれていて間違いではなさそうだ。


「どうしたの?」

「ん? えっと、始めまして。僕は第……鬼灯(ほおずき)(かずら)。君は?」

「私はA組の八乙女(やおとめ)和紗(かずさ)


 この娘が昨日欠席していた9番なのか。


「いや、もうすぐ授業が始まるのに誰も来ないから」

「知らないの? A組は別に授業を受けなくてもいいんだよ。テストでいい点採らないと下のクラスにいくけど」

「えっ、そうなの? 聞いてないよ」

「昨日寮で教えてくれたよ? 先生が」


 まてまてまて、僕は聞いてないんだが?


「ねぇ、八乙女さん?」

「和紗でいいよ」

「じゃあ和紗、君も貴族寮なの?」

「そうだけど? って葛くんは違うの?」

「だって僕一般人だもん」

「そ、そうなんだ」


 少しずつ、少しずつ距離を開けていく和紗。

 これは完全に避けられてる、一般人という理由だけで。

 

「そ、そうだったー。私は用事があることをすっかり忘れていたよ。じゃあね鬼灯」


 超がつくほどの棒読みで、さっきは「葛くん」だったのに「鬼灯」って苗字を呼び捨てにされた。

 そこまでして、一般人が嫌な理由ってなんだろう。

 それと八乙女和紗は何が有名なのか知らないから後で調べてみよう。

 と、その前に授業が始まる。


「おっはよー。うん、今年は1人も受けてくれるんだ」

「ココネ先生、去年とかって」

「そう、ゼロだよ。じゃあ授業を始める。鬼灯くんって入試の時に魔法を使ってたよね? それと入学式でも」

「それは違います。入学式では使ってないので、見間違えでは? それと、入試の時のは僕じゃなくて雨宮って娘が使ったんです」

「そうか、入学式のは見間違えか。実は私も噂で聞いた程度だったんだ。では魔法を教えよう。魔法とは、空気中にある魔力という物を媒体として現象を起こす」


 陰法と似ているんだな。

 陰法は吸血鬼の血を媒体としている。

 なら、魔力さえ感知出来れば簡単にできそうだ。


「それで、これから魔力が見えるようになる特殊な薬をあげる。それは一次的だから感覚をなるべく早く掴むように」


 そう言って、赤と白のカプセル型の薬を貰った。

 口に放り込み、陰法で水を出し飲み込む……。


「ココネ先生は何も見てませんよね?」


 僕はどうしても学習しないようだ。

 これでは魔法が使えると勘違いされかねない。


「ごめん、なにかしたのか?」

「いえ、見てないなら大丈夫です」


 少し接してわかったが、ココネ先生は結構ドジな所がある先生だろう。

 それと、身長が140cmくらいしかないから子供みたいだ。


 薬が効いてきたのか、(もや)がかかったのが一瞬見えた気がしたが、もう見えなくなった。


「ココネ先生、一次的ってどのくらいですか?」

「だいたい10分そこらだよ」


 わかった、吸血鬼の力で解毒したのだろう。

 でも、靄が濃かったから、この辺は練習しやすいように魔力が集まっているんだろう。


「どうだ? そろそろ見えてきたか。そしたら火を出してみろ」


 さっき一瞬見えた靄をイメージして、火を作り出す。

 うん、陰法と同じで簡単だ。

 しかもこっちは血を使わないでいいから結構いい。

 けど威力は弱い、人間としてならこっちでも問題ないか。


「よし、出来たようだな。ちなみに鬼灯くんは武器を持っているかな?」

「はい、持っています」

「ならB組と合同授業をするか」


 それから僕はココネ先生と大修練場に移動した。


「それでは、B組の中で鬼灯葛くんと戦いたい人。そうか、いないか。なら勝てたらptをやる。決闘として行うぞ」


 そうすると、我先にと結構な生徒が手を上げた。

 その中によく見知った、とまではいかないが、知っている人を見つけた。

 同じ中学だった白石(しらいし)剣悟(けんご)だった。


「ココネ先生、僕から指名してもいいですか?」

「別に構わないよ」

「なら」


 と、白石に(ゆび)()し、指名する。


「では、白石剣悟 対 鬼灯葛の決闘を始める」

 

 お互いに挨拶はしないで、フィールドに入る。

 このフィールドは外に被害が出ないようにするための物で、とても大事で高価だ。


「お互い準備はいいね、始め‼」


「黒夜叉」

「魔法剣 (ほむら)


 ふむ、あの時と同じ武器か。


「あの鬼灯ってヤツ、A組の10番なんだろ?」

「馬鹿だよな、B組のエースを選ぶなんて」

「白石羨ましいぜ、上のクラスに行けるんだから」


 ほうほう、白石はB組の中でもトップなのか。

 なら、白石の心を叩き折ろうではないか。



今は50話くらいまで完成してるから怖いもの無し。

あるとしたら設定ミスで直すことかな……。

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