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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
117/155

No.116 音なるホウへ

更新なのデス!



 ――――ゴクリッ


 誰かが固唾を飲み込む音が静寂を際立たせている。

 クイクイとシャルが心配そうに僕の裾を引っ張ってくる。

 「大丈夫だよ」と目で伝えてると、安心したのか少し笑顔を取り戻してくれた。


 誰も静寂を破ろうとはしない。

 いや、


 ――――コツン    コツン


 何が近づいてくる音がする。


 ――――コツン    コツン


 妖怪たちは道を音を消して道を明け始める。


 ――――コツン    コツン


 それは姿を現した。


 人間だと思っていたソレは人間ではなかった。

 妖怪でもない。

 ドワーフでも、エルフでも、獣族でもない。

 ムウのような鬼族でもなく、ヤードのような多手族でもない。


「久しぶりだね、葛。いや、宝玉の吸血鬼さん」

「クリス・シュトール」


 なんで気がつかなかったんだろう?

 コイツは人間じゃない……天神族だ。


「そうだよ、クリスだよ」

「1つ訂正、宝玉の吸血鬼は僕だけじゃないよ?」

「知っているよ。君の弟、だろ?」

「……」


 さも会ったかのように話してい……る。

 もしかして、


「安心するといい。殺してはいない」

「殺しては?」

「うーん、宝玉だけ奪ったと言えば良いかな?」

「ッ!」


 1つだけわかった事がある。

 それは、


「グロンダントの無色の宝玉。あれはクリスのだな」

「ご名答ーー。いやー、あの子じゃ奪えなかったみたいでね」

「俺の宝玉を奪いたい、と?」

「うーん、それはまぁ結果的にそうなるかもしれないってだーけ」

「何が言いたい?」


 クリスの目的が何かを理解出来ない。

 情報量が少なすぎる。


「そうだな……色々と気になっているでしょ? だから3つの質問に答えてあげる」

「随分と良心的だな」

「そりゃもちろん。だって……いや、なんでもない」

「なら1つ目。ここは?」

「随分と抽象的だな。ここは? か。ここは妖怪たちの住まう裏世界。そして、神に背きし者が集まる場所」


 神に背きし……クリスは神の事を恨んでいるのか?

 いや、そもそもの問題として、宝玉持ちの天神族がなぜこっちに居るんだ?

 全員連れてかれたんじゃないのか?


「ほーら次の質問は……あっ、皆はいつも通りでいいよ」


 クリスがそう声をかけると、ぎこちなくも音が聞こえ出す。


「2つ目の質問。クリス、何者だ?」

「そうかそうか、そう来るか。うん、言うなれば“遊戯(ゆうぎ)者”かな」

「遊戯者?」


 遊ぶという事か。

 さっぱりわかんないや。


「3つ目の質――――」

「――――時間切れーー」


 ふと、シャルに向けられる殺気を感じて守るように刀をつき出す。


「なんで邪魔するの!」

「桜? なんで?」


 なんで桜がこんな所に?

 そもそも、なんで宝玉を持ってるんだよ。


「うーん、葛が今気になっているだろうから3つ目の質問として答えるよ。俺って宝玉を失敗して1つしか持てないんだよ。だから桜ちゃんに預けてるんだ」


 紫と金の宝玉だ。

 あのグロンダントの時の天神族も金の宝玉は持っていたな。

 能力はわからないけど。


「桜、なんでこんな事を」

「なんで? そんなの簡単だよ、葛くんは幼馴染みなのに私を選んでくれなかったから」

「えっ?」


 いや、まて。

 先に断言しよう。


「僕には幼馴染みなんていない!」


 いや本当はいるけど。

 城ヶ崎(じょうがさき)香蓮(かれん)っていう3話に出てきた幼馴染みがいるけど。


「あはは」

「刷り込み? いや、洗脳の類いか」

「いやー、ね。楽しく遊ぶ上では人を駒のように使う必要があるから」


 だから桜に洗脳のような事をした、と。


「葛くん! お願い、邪魔をしないで」

「無理だよ。シャルは僕が守るんだから」


 桜は宝玉の力を使わないのか、普通に戦えはするけど、僕は桜を攻撃できるはずもなく、防戦一方になってしまう。


「葛、俺からも質問だ。1つ目、色欲の宝玉は満足した?」

「ど、どういう意味だ」


 クリスがここで割り込まれると流石に辛いので、耳を傾けながら桜を抑える。


「簡単だよ。ユリエーエに行ってから宝玉に魅せられた子がいただろ? そういえば日本に来ていたね」

「チルに宝玉を渡したのはお前なのか」

「どうやらお気に召したようだ。2つ目の質問。“天使の笛”は満足してくれたかな?」

「それもかよ。どんだけ面倒な事をさせるんだ!」


 あの笛は厄介だった。

 関係ない人は巻き込まれて、こっちも下手をしたら死ぬところだった。


「これもお気に召したようだ」

「いや、全然お気に召してないよ」

「そうか? 足りなかったという事か。そうかそうか」

「あーー、もう。お気に召しました。最高最悪お気に召したよ」

「それは良かった。3つ目、知ってると思うけど、グロンダントのは満足だったかな?」

「あぁ、最悪という言葉をいくつつけても足りないほど満足だよ。お気に召しましたよ」


 クリスは楽しんでやがる。

 それに狂ってる。

 流石、「遊戯者」と言うだけはある。


「キャッ」

「シャル!」


 目の前にいたはずの桜はいつの間にか回り込んでいて、シャルを傷つけようとした。


「桜。流石に手加減はしないよ」

「そうやって、そうやって和紗ばっか見て!」


「桜ちゃん、1回待ってね。なんでシャルちゃんは傷ついて無いんだい?」

「あれ? 本当だ!」


 クリスが不思議そうに疑問を口にした。

 そういえばシャルにも言ってなかった事があるな。


「契約陰法の裏。相手に秘密で、自分が不利になる契約をすることが出来る」

「は? 契約陰法の裏? そもそも契約陰法ってなんだよ」

「僕がした裏契約は、シャルを殺す場合、僕を殺してからじゃないと何人たりとも攻撃できない」


 そう、これが契約陰法の真の力だ。

 あれ? なんで契約陰法は継続されてるんだ?

 もしかして、常時発動する物は大丈夫とかかな?

 けど僕は宝玉の力を受け付けないと理を変えたはずだ。


「俺の質問には答えないと言うのか?」

「僕はちゃーーんとクリスの質問に3つ答えたよ」

「調子に乗るな! 桜ちゃん、宝玉を使っていいよ」


 桜が使うなら僕も使えるだろう。

 流石に、誰かを1人縛るというのは強い、強すぎる。


「「宝玉の力よ」」


 桜と僕の声が重なる。

 桜は瞬間移動で翻弄してくる。

 でも関係ない。

 そもそもアレだな、宝玉の力がどんな能力かはクリスも知らないんだ。

 だって使えるようにしちゃったんだから。


「暴食よ、(ことわり)を喰らえ!」


 食べる理はもちろん決まっている。


「桜は宝玉なんて持っていない。持っているのはこの僕だ」


 桜の後ろにあった金の宝玉と紫色の宝玉は砕け散った。

 そして、僕の後ろに新しく金の宝玉と紫の宝玉が現れる。


「な、そんな! つ、強すぎるだろ」

「僕もそう思う。けどね、欠点としては使う代償としてお腹が一杯になって気持ち悪くなるか、お腹が空くかのどっちかなんだ」


 そう言って、シャルの首に歯を立てて吸血させてもらう。


「ンッッッ……ハァァ」

「ごめんね、シャル。ありがと」

「うん」


 目を蕩けさせて経たり込むシャル。


「な、なんで。なんで私にくれた力は? これで葛くんを取り返せたのに」

「影を喰らえ」


 頭の中に膨大な量の情報が流れ込んでくる。

 どうするのがいいのか、どう行動すればいい結果がついてくるかが物凄いわかる。

 桜とクリスは動けなくなる。

 声も出せず、なにもする事が出来ない。

 もちろん、クリスに宝玉を使わせない為の処置だ。



ブクマとptと感想が欲しい。

とりあえず全部欲しいということです、はい。

後、もし誤字脱字があったら報告してほしい。一応は確認しているけどミスは多々あるから。

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