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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
113/155

No.112 修行のセイカ

更新!

改稿終わった……



 ダンジョン協会の不正防止科の桜井は僕の経歴を見て唖然としている。

 それどころか、1秒事に顔色が変わり続けている。


「どうかしましたか?」

「ど、どうもしま――――」

「――――言わせてもらうと、ここを一瞬にして壊せる力は持ってますので。後、ただで済むと(・・・・・・)思うなよ(・・・・)?」


 殺気と言霊の2段構えで念を押しとく。

 もちろん笑顔で。


「ここか!」


 扉が勢いよく開かれた。

 その顔を見た桜井はそれはそれは傑作だったとだけ言っておこう。


「桜井、どういう事だ。説明しろ」

「こ、これは何かのミスです」

「何がミスだ! これを観ろ!」


 その人が観せたのはスマホの画面。

 そこにはさっきの1部がネットで流れていた。

 更に言うと、僕たちの顔にはモザイクがかかっているものの、説明つき。

 やれレベルSダンジョン攻略者だの、やれユリエーエの王女さまだの、やれ宮野病院の箱入り娘だのと。


 ちなみに監視カメラはついていない。

 と、いうことは……誰の仕業だ?


「お前! 卑怯だぞ!」


 桜井は僕の胸ぐらをつかんで持ち上げる。

 背的にも、体重的にも持ち上げやすいだろうけどさ、


「離した方がいいよ」


 桜井の首にはシャルの大きな鎌と、桜の輝くメスが当たるか当たらないかのギリギリに近づけられている。

 命の危険を感じたのか、流石に僕から手を離す。


「シャル、桜、仕舞っていいから。そこの人ってトップ?」

「そ、そうです。ご迷惑をかけて――――」

「――――黙認してたよね?」

「えっ? な、なんの事ですか?」


 そう言いながらも、チラッと後ろを目配せして秘書らしき人が遠ざかって……いかない。


「ありがと、桜。どこに行くんですか? 誰も動かないでください。怒りのあまりこの建物事壊しちゃうかもしれないので」


 そう言って、自慢であろうこの部屋の壁を殴って壊す……つもりが、思ったよりもイライラしてたようで、外の景色が見えるようになってしまった。


「娘は、娘は無事か」

「関係者以外入らないでください」「止まってください」


 これまた凄い人が来た、てか、桜の顔が引きつってる。


「こ、これはこれは、宮野(ただし)さま。こんな所まで――――」

「――――桜! 大丈夫か桜? 変な事はされてないな?」


 トップの話を遮り、押し退けて桜に抱きついた。

 うん、なんで可愛がられてないと感じたんだろう?

 それともあれか?

 忠さんの仕事が忙しくてかまってもらえなかったからか?


「ここですか?」

「ここらしいよ」


 1人だけ、後者の方が場違いな声がする。

 ヤードとムウが来たようだけど、なんでだろう?


「私はユリエーエ国(うら)尖鋭(せんえい)騎士ヤード」

「……僕は?」

「あなたは付き添いです。このスマホ?というのがよくわからなかったので」


 ほうほう、ドミニカさんがやってくれたのかな?

 これはいい助っ人だ。


「おーー、葛くんは相当暴れたようだね」

「ど、ド――――」

「――――エリザベスです」


 エリザベス?

 てか、目配せで「静かに」って言われた。


「あ、あの齢30にして、長年続く大富豪の資産を受け継いだという」


 あー、何となく設定がわかったぞ。

 ドリーさんは2000年くらい生きてるだろう。

 だから、貯めたお金を赤の他人(自分自身)に相続することを繰り返しているのだろう。

 そして、今生きてるドリーさんのアレがこのエリザベスなのか。


「葛くん、壊しちゃうことを許可するよ」

「なら、私からも」

「ふむ、それだけの力があるのか? なら乗っからせてもらおう」


 ドリーさんが指示を出して、ヤードと(ただし)さんがそれに乗っかる。


「わかりました。なら、僕の近くの方が安全なので寄ってください。あっ、お前らは邪魔」


 ドリーさん含め、忠さんの付き人やムウたちを近くに呼ぶ。

 ちゃっかりダンジョン協会トップや桜井が近づいてきたので陰法で風を起こして軽く吹き飛ばす。


「では、宝玉の力よ。暴食よ、理を喰らえ。この建物は砂だ。簡単に崩れる脆い砂だ」


 建物という概念を喰らい、砂という事にする。

 すると、あーら不思議、建物は一瞬にして崩れてしまう。

 中にいた人は砂に押し潰されていくだろうな。


「あの動画ってドリーさん? ドミニカさん?」

「私だよ」

「ドリーさんか」


 まぁ、おかげで大義名分が出来て堂々と壊す事が出来た。

 あっ、砂にしたから被害は大丈夫なの?って心配してる人がいるかもだから言うと、問題ない。

 地面を世界樹で掘ったから綺麗に収まっている。


「君は凄いんだね! そういえば、デートと言っていたが君なのか?」


 ヤバいヤバいヤバい。

 今、この場所にはシャルもいるわけで、流石に許されはしないよな。


「ん? あぁ、そうか。モテる男は辛いな。で、だ」


 何を言われるんだ?

 と、思っていたら、高いところが怖いから早くおろしてほしいという事を耳打ちされた。

 言われてみれば……高いね、うん。

 僕も高いところが苦手だから急いで地面におりる。

 今度、克服しよう!


「ヤードたちもありがと」

「いえ、ドミニカの指示だから。次の世界も連れてけよ、ですって」

「わかりましたって伝えといて」

「了解です。では」


 ヤードはムウのだした「魔法の絨毯」に乗って行ってしまった。


「じゃあ、私も失礼するよ」

「俺も帰るとするか。君、いつでもいいから、1度家に来てくれ。家内も会いたがると思うから」


 ヤードさんと忠さんはそれだけ言い残して帰っていった。


「えっと、続きをするっていう雰囲気でもないね」


 周りには野次馬が集まってくる。

 それどころか、動画であった事が本当か確かめるために警察も出動していた。


「じゃあ、このまま解散だね。今日はシャルはどうするの?」

「私はー」


 僕と桜を交互に見てどうするか悩んでいる。


「ドリーさんの所だけど行こ。チルとアイリスもいるから」

「うん」

「それに、桜はお父さんとちゃんと話をした方が良さそうだし」

「そ、そうだね」


 顔色が悪い、というよりは、困惑しているという感じで朝と同じだ。

 僕はシャルと一緒に桜を家まで送ってから近くの路地裏に入る。

 するとドリー邸が現れるので、


「ただいまー。チルー、今日はシャルがいるよー」

「本当ですか! って言わないでください!」


 チルは昨日、シャルと離れただけで寂しそうにしていた。

 アイリスは、


「カズラ、お帰り」

「ただいま、アイリス」


 甘えん坊な妹が出来た感じだ。

 これは可愛いけど、恋愛感情は芽生えないんだよな。

 アイリスはちょっと違うみたいだけど。


 その後はダラダラと過ごした。

 いや、ね。

 義宗とかA組のみんなからはダンジョン協会の事について質問されたから「ついイラっとしてね」って返した。

 そしたら絶句されまして、はい。


「そりゃ、怒ってもいいでしょ。鬱憤晴らしとして」


 色々こっちにだってあるんだから。



感想とptが欲しい今日この頃……

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