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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
109/155

No.108 病みつきにナル

更新!



 一件落着?

 でいいよね。


「日本に帰る事になったので迎えに来た次第です」

「村の人たちは?」

「全員ではないですが生きていますよ」


 ドミニカさんはどう対処するだろうか?


「ムウ?」


 ドミニカさんはムウの名前を呼ぶと、ムウは無言で首を横に振った。

 それが何を意味するかはわからないが、予想はつく。

 ドミニカさんの家族の事だと思う。


「ハーデスよ」

「……はい」

「殺れ、1人残らずだ」

「子供はいかが――――」

「――――構わない」

「わかりました」


 ドミニカさんは、その場から動こうとしない。

 僕の家族は結局は生きてたけど、ドミニカさんはそうじゃない。

 でも、殺されたと思ってたから気持ちはわかる。

 いや、僕のは生きてたから、それで同情するのは(たち)が悪いな。


 僕は居たたまれなくなり、その場から逃げるようにハーデスの所に行く。


「これは」


 なんとも、「聖剣エクスカリバー」という名に似つかないほどの光景。

 村の人たちは体が斬られているにも関わらず、血は流れずに生きたまま。

 死んだ方が楽と思わせる姿になっている。


「どうした?」

「殺しきらないんですか?」

「そうだね、殺さないんじゃない。殺せないんだ」

「殺せない?」

「そう。“死の勇者”なんて呼ばれてるけど、それは人間を殺さないから、死から1番遠いという意味で使われてるんだよ。勘違いする人もいるけど。まぁ魔物の類いは絶対殺すマンだけどね」

「その節はすみません」


 なるほど、殺さない、死なせないから「死の勇者」なのか。

 でもなんで殺せないんだ?


「殺せないのはこの剣だからかな。悪は断ち斬る。人ならざるモノを斬る事が出来る剣だからね。だから人の命までは断ち斬れないの」

「それはそれで酷いですね。ドミニカさんは知ってるんですか?」

「知ってるよ。知ってる上で俺にお願いしたんだろうね」


 なるほど、ドミニカさんは辛くても冷静なのか。

 僕みたいに暴走する、なんていう失態は犯さないのか。


「えっ、でもドミニカさんは殺せって。殺さないなら貰ってもいいですか?」

「そ、そんなに殺したい衝動があるのかい? だ、大丈夫?」

「ち、違いますよ。シャルたちの練習台にって」

「鬼だ」


 ……言われてみれば鬼だな。

 いや、鬼灯(ほおずき)って名前に鬼が入ってるし、吸血鬼も鬼が入ってるし鬼に結構関連してるんだよな。

 もしかして、僕もムウみたいに鬼の角とか生やせるかな?


 まぁ、現実はそう甘くなかった。

 ただ、村の真ん中で「はぁぁぁぁあ」と言ってる恥ずかしいやつになってた。


「葛くん、何してるの?」

「あっ……ちょ、ちょっとね」


 見られた見られた見られた見られた!

 しかも、ムウは何をしているのかとハーデスに聞いて話の流れから何をしてるか理解して笑ってるし。

 それをシャルと桜に、


「ストーーップ。ムウ、チョコあげるから、()?」

「わかった!」


 よし、チョコに魅いられててよかった。


「カズラ、鬼にはなれないよ」

「わかってるよ!」


 馬鹿にしやがって。

 

「あっ、ドミニカさん。行きますけど大丈夫ですか?」

「問題ないよ」

「では、ついて来てください」


 僕はエリーの村に向かう。

 道中、虫型の魔物が出てきたが、シャルと桜の練習台にさせた。

 ただ思ったのは、ここじゃなくてもよかったよな、って事。

 虫って嫌じゃん?

 紫とか緑とか意味がわからない色の血が飛び散って僕が辛い。


「虫やだ、もうグロンダントには来たくない」

「だ、大丈夫。カズラは私が守るから」


 シャルはそう言って虫型の魔物を狩る。

 すると気持ち悪いドロドロとした血が僕について、


「あーー、もう。憤怒」


 雷を落としまくって目につく魔物から目につかない気配を感じる魔物まで全てを殺す。

 (のち)に、『世界樹の怒り』という名の厄災として歴史に残る事となる。



 ※



「じゃあ、皆準備はいい?」


 A組の皆と五帝神は無言で首を縦に振る。


「開け、世界を繋げろ」


 中空に鍵をさして扉を開ける。

 繋がった場所はもちろんワンダーランド城。


「なにここ?」

「凄いです! お城ですか?」


 グロンダントに行くときにここからだったから同じ場所に繋がった。

 時間を確認すると、1日しか経っていなかった。

 時間がズレてるのは大変だな。

 どうにかして、統一出来ればいいのに。

 それこそ神の力が必要だ。


「……そうだよ」

「どうしたの、葛くん」

「いや、世界同士で時間の流れが違うでしょ?」

「うん」

「それを統一させるには神の力が必要なんだよ。それで、理とかいうおかしな能力があるんだから、時間を操れる宝玉があってもおかしくないって想って」


 とは言ったけど、そう簡単に時間の宝玉を持ってる人が現れるか、と言われるとそうではない。

 でも、早めに時間を統一しないと色々と(設定が)面倒だな。

 

「とりあえずは学校に行きましょ! ね!」


 ココナ先生はどうしても早く学校に行きたいらしい。

 そういえば、A組の皆には色々と動いてもらいたいみたいで、早めに連れてこないと意味が無いとかそんな事が書いてあったな。

 あっ、勝手に見たからわかるんだ。


「葛くん、この城ごとでいいので至急学校に向かってください」

「僕じゃなくてドミニカさんに」

「あっ、はい」


 ココナ先生はドミニカさんにお願いしに行く。

 ドミニカさんがなんか城の設定変えるとか言ってる。


「カモフラージュ」


 な、なんだ。

 普通に見えなくするだけか。

 でもそれが無いと、色々と大変だもんね。

 だって、リアルラ◯ュタとかで報道されたら笑えないよ。


「カズラよ、方角を教えてくれ」

「これで」

「これは凄い! 古代遺跡か」

「うん、ユリエーエで言うところの古代遺跡だね」


 やっぱりスマホって凄いんだな。

 感謝しないと。

 ありがと、スティーブ。


「ムウ、チョコ」

「はーーい!」


 シュビッと音が鳴りそうなほど素早く現れた。

 ムウにチョコしか入ってない魔法収納袋を渡しておく。

 これで大人しくなってくれるだろう。


「ムウ、なんでカズラからチョコを貰ったの?」

「それはね、――――」


 終わった。

 シャルよ、なんで聞いちゃうんだよ。

 ……いや、ムウは嘘を言ったっぽいな。

 シャルがチラチラと照れた表情でこちらを見てくる。

 うん、結果よければ全てよし!


 後は、


「ドミニカさん、ちょっと」

「ん?」


 僕は皆の輪から外れてドミニカさんを呼ぶ。

 告白とかそんなんじゃないから。

 合法ロリだからって僕の好みではないからね。


「なんだ?」

「さっきは聞きそびれたので今聞きます」

「……?」

「透明の宝玉を持っていた女の子は?」


 何かしら事情があったと考える。

 ドミニカさんは人を殺したがる性格じゃないと思うし。


「死んだ……いや、殺された」

「やっぱり、ですか」

「あぁ。あの村は他の村から良く資源や人材を多く略奪していたらしい」

「それは何となく察してます。死体の山があったので」

「そう、それで私が1回村から出てカズラと行動した。それで、帰ってくると親を人質に捕られて私は捕まった。そして目の前で見せしめとして殺したのだ」

「そんな事が」


 あの村は本当に救えないな。

 まぁ、今ごろ魔物に襲われてる頃だろうから天罰は喰らったと考えるべきだな。



感想、ブクマ、ptぜひぜひくださいまし!

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