No.107 光とヤミ
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強いつよーーいイッヌによって僕の侵入がバレてしまった。
おう、バレてしまうとは情けない。
――――ワンワンッ
――――ワンッワンッ
――――ワンワンワンワンッ
「マジかよ」
沢山の犬が解き放たれて、僕を匂いだけで場所を教える……じゃないのね。
「黒鬼。陽法 朱の太刀 乱舞」
見えない僕に噛みついてくる犬の腱を上手に斬って動けなくさせる。
「この辺だ」
「網だ。網を準備しろ」
「早く、犬ッコロの相手をしてる内に」
犬は次から次へと襲いかかってくる。
に、しても数が多すぎだろ。
「20」
もう、あっという間に20匹は動けなくさせた。
それでも犬の波はおさまる気配がない。
「ミスリル糸の網だ」
マジかよ。
そんな豪華なのを使うのね。
宝玉を出していつでも大丈夫なようにしておく。
「「「「せーーの!」」」」
「陽法 新・朱の太刀 嵐風」
ミスリルの網を雨風雹霜雷霧、起こりうる気象災害を僕中心として発動させる。
ミスリル網は風に煽られ変な方向に飛び、味方を捕らえている。
雷や霜にやられて倒れる人もチラホラ。
ここまで来たら正体を現してシャルたちに5人を助けてもらう方がいいかもな。
または、この村の人たちを全員殺して他に被害が出ないようにするか。
「おい、まだ早いかもしれないがアレを準備しろ」
「おっ、アレだな」
「そうか、アレを使うのか」
アレアレアレって凄く気になるじゃん!
なに? そういう作戦でくるの?
これさ、正体を現して待ってるべきだよね。
「僕はここだ!」
ここで、思った訳よ。
ついさっき、変な空気に流されて出ちゃったけど……なんで出たんだろう?
馬鹿だよね、僕って馬鹿だよね。
「おい、アイツ本当に出てきたぞ」
「俺だって信じらんねぇよ」
「待ってwさw流石にw笑いが我慢ww出来ないよw」
おいおい、最後の。
流石に笑いすぎだろ?
僕的にはもう、精神的に大ダメージが入ってるんだよ。
「憤怒の力よ」
自分に対する怒りか、煽られた怒りかわからないが、兎に角怒りに任せて雷を落としまくる。
何発も何発も何発も何発も落としまくる。
「はぁー、スッキリした」
鬱憤晴らしはこれで終了。
次は、
「そこ!」
世界樹でシャルたちの方に逃げようとしていた人を捕まえて近寄る。
何をするかって?
もちろん、事情聴取だよ。
決して拷問なんていう酷いことはやら……やらな……やると思う。
「質問です。地下の広間に捨ててあ――――」
「――――死ねぇぇぇぇえ」
「黙れっと」
地形操作で大きな落とし穴を作り落とす。
「仕切り直して、地下の広――――」
「――――くたばれぇぇ」
「マジで、邪魔しないでよ!」
小さな世界樹を村の中心に生やす。
すると、今攻撃しようとしてた人たちも、武器を取りに行ってた人たちも一斉に世界樹へひれ伏した。
「次こそ、地下の広間に捨ててあった人たちは何?」
「あわぁぁ――――グァバ」
投げられたナイフによって死んでしまった。
僕に向けられた殺意じゃなかったから気がつかなかったな。
に、してもなんで仲間を殺したんだろう?
世界樹に対してひれ伏さないからか?
「皆、アイツは神樹さまに対して礼儀がなってない。殺せ」
「「「うぉぉぉぉお!!」」」
いや、結局さっきと同じじゃないか。
「例のアレ、準備出来ました」
「皆のもの、距離をとれーーーー」
ザッと砂を蹴る音と共に村の人たちは僕から離れていく。
さて、例のアレが物凄く気になって仕方がないから後追いはせずにアレが来るのを待つ。
「殺れ、アイツは神樹に仇をなす敵だ」
「……」
アレは1歩、また1歩と近づいてくる。
そのアレは、人形で、更に言うとおかしな格好をしている。
白を貴重としたマジシャンの姿で背丈は小学生くらい。
そして、村の人からは顔が見えないだろうけど、すっごい笑いを我慢している。
ここは、
「む、ムウなのか? なんで!」
うん、我ながら最高の演技だ。
てか、ムウの肩がプルプル震えちゃってるよ。
「はっはっは。そのムウとやらが、1番落ちるのが早かったからな」
「お、落ちた、だと?」
ムウとの距離は後5mくらい。
もしムウが操られているとしたら今の時点で攻撃してるか角を出してるだろうな。
「そうだ。我らが薬、“これ、もっとないのヤク”を使ったからな。これがないとヤバくなるんだ」
うん、絶対それ薬物やん。
薬物ダメ絶対。
てか、ムウって鬼だから大丈夫とかなのかな?
それとも、五帝神全員がある程度耐性を持ってるか。
「どうした、驚いて声も出ないか?」
「……」
どうすれば1番面白いだろうな。
よし、決めた。
「来い!」
僕の後ろには村の人の誰かの切り株の家がある。
もうお分かりだろう?
「トランプ・ボム」
何枚かのトランプが僕目掛けて飛んでくる。
それを大きく避けて次の家に移る。
もちろん、僕の後ろにあった家は、
――――ドゴーーン
「それじゃあ、僕を殺せないぞ、ムウ!」
「トランプ・ビッグボム」
さっきよりも大きく避ける。
するとさっきよりも大きな威力で爆発して隣の家まで巻き込んでいった。
「な、何をしている! 早く仕留めんか」
「い、家が、オイラの家がぁぁぁ」
「私の家も壊れちゃったー。大事なブロッサムのブロマイドがあったのに」
最後の人、めっちゃ気になる事を言うな。
誰だよ、ブロッサムって。
なんか、男でも女でもどっちもあり得そうな名前だし、どんなブロマイドなのか気になっちゃうじゃん
「シャルー、桜ー。結界ー」
大きな声でお願いする。
僕的にはもう少し楽しみたいからね。
すぐに村を囲うほどの結界が張られて、来るもの拒まず、絶対出さない結界が完成していた。
「こ、こっちに逃げてくるな!」
「トランプ・チップ」
村の人たちがいる方に逃げて、ムウは爆竹並の爆発で驚かせる。
その後もムウを蹴ったフリをして吹き飛ばし家を破壊したり、大きな岩をムウ目掛けて投げたりした。
例えば、僕がムウに投げた岩をムウが避けたとする。
そして、そこにはたまたま村の人たちがいて、
「うわぁぁぁ」
「やめてぇぇぇ」
「助けてぇぇぇ」
口々に叫んで、ある程度は無事だった。
「はぁーーー、楽しかった」
「カズラ、遊びすぎ」
「ムウだって最初に意図を理解して乗った癖に」
この村の家々は全て壊れて、逃げようにも村の外に出られないという状態。
「シャルー、桜ー、入ってきていいよー」
すぐにシャルと桜は来てくれた。
よし、今の内に残りの4人を助けちゃおう。
地下の牢屋に行き、4人の繋がれている鎖を破壊する。
「……これは凄い」
僕はその鎖を魔法収納袋に仕舞っておく。
なんでかって?
「能力封じ」がついてたからだ。
主に魔法やらを使えないようにする物だった。
それに、きちんと魔術にも対策してあった。
「助かった。流石に、家族を人質に捕られては」
「よかったです。皆さん無事で」
とりあえずは一件落着?
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