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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
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No.106 探しものはヒカリ

更新!

ブクマが増えてマジで嬉しい、ありがとなのです!



 野宿をする事になったのだが、桜とシャルは2人でお話を、主に僕の事に関する情報交換を始めちゃって話に入ることが出来ない。


「そうだ、シャルちゃんは葛くんの血を吸ってないよね?」

「うん」

「あれね、一瞬だけど力が溢れるんだよ」

「そうなの?」

「あっ、やってみたいって顔してる。私が気を引くからその内にね」

「いいの? ありがと、桜ちゃん」


 耳を澄まして聞いていたら何やら物騒な会話をしているではないか。

 吸血されるのは快感だからという逃げようとしない僕と、恥ずかしいという理由から逃げたい僕が戦っている。

 てか、戦ってるなら前者の勝ちじゃん。

 だって、


「葛くん」

「な、なにかな、桜」


 桜はジリジリと距離をつめてくる。

 しかも、手をワキワキさせてるしちょっと怖い、いや、かなり怖い。

 でも、こっちが(おとり)ってわかってるから、


「うし……ん!」


 シャルはバレるとわかっていて行動していたらしい。

 僕が後ろを振り向くと唇を奪われた。

 最初は僕からで、次はシャルから。


 シャルはその瞬間に出来た隙をついて、僕の首に歯を立てる。

 そして吸血される。


「んッッッッ」


 全身に電気が走ったかのような快感。

 それから1分ほど吸血されて力が抜けた状態。


 それに追い討ちをかけるかのように桜が吸血をしてくる。

 もう1度、全身に電気が走る。

 そして、体がムズムズするが気持ちよく、そのまま僕は気絶してしまった。



 ※



 朝、昨日の記憶が蘇ってくる。

 それと同時に、両の腕が重たくて柔らかいのを感じる。


「2人とも」


 って、まだ寝ているらしい。

 悪くはない。

 一切合切悪くはないけど、あまり遅すぎると皆に疑われる。

 てか、文鷹とか義宗なんかは絶対に馬鹿にしてくる。


「んぁ? おはよー、カズラ」

「うん、おは……」


 なんで?

 シャルが急に大胆になったんだけど。

 何かが吹っ切れたかのようにキスをしてくる。


「桜ちゃん、起きてください」

「うーん、後5分」

「桜ちゃん、あまり遅いとカズラに迷惑がかかりますよ」

「後10分」

「桜ちゃん、増えてます!」


 その後、なんとか桜を起こして、ドミニカがいるであろう村に入る。


「この村になんの用だ」

「知り合いが来ていると思いまして」


 門番に声をかける。

 この村はエリーの村と違ってツリーハウスじゃなく、地について家が建ててある。

 家って言うか、大きな大きな切り株を彫って作った家って感じだ。


「なんて名前かを聞いても?」

「うーん、ドミニカさんかムウかヤードかドラコさんかハーデスか」

「ッ……残念だが、そんな名前の人たちはこの村にはいないな。他の村なんじゃないのか?」

「へぇー、そうか」


 僕はそれだけ言って村から離れる。

 どーした物かな。

 ここにいる事はほぼ確定だろうし、あの門番は知ってて嘘をついていた。

 脈の乱れが起きてるんだよ、騙すならもっと上手く騙せよな。

 ここまであからさまだと逆にイラってくるから。


「憤怒の力よ。地形操作 敵城の模型」


 地面に家がついているおかげで、能力が使いやすい。

 これで村の全体像が土で出来る。

 更には人の動きも人形でわかるようになっている。


「なにこれ?」

「これはあの村の模型だよ」

「なんで? いないって言ってたよ」


 桜はわかってないのか。

 流石は病院の箱入り娘だ。


「桜ちゃん、あの村の門番は嘘をついてました」

「そうなの? なんでわかるの」

「王族としての勘です」

「か、勘なんだ。でも葛くんもそう思ったって事だよね? なら、私だけわかってなかったんだ」


 なんか落ち込んじゃった。

 よし、


「桜。桜の家は病院だろ?」

「う、うん。そうだよ」

「なら脈を目で確認する事が出来るようになってるからそれで、嘘をついた人は脈が不自然に乱れるのを覚えておきな」

「そうなの!」

「うん。まぁ、乱さない人もいるけど」

「わかった」


 桜は僕の手を凝視して脈を見ているのだろうか。

 まぁ元気になってくれたならいいや。


「カズラ、ここに変な空間と人がいます」

「どれどれ」


 そこに力を入れるとより鮮明になっていく。

 そこは牢屋のようになっていて、子供の背丈が2つ、大人の背丈が3つあり、どれも何かに繋がれている。

 ドミニカさんたちだよね。


「考えるに、5人の能力が有能で利用しようとしたら、ムウとドミニカが村を抜けたから拘束して逃げられないようにした、とかかな」

「でもなんで5人の力が必要なの? 5人は戦闘にこそ特化してるけど、他はあんまりな感じがするよ」

「そこだよ。戦闘に特化しているからこそだよ」


 普通に、他の人を村に入れようとしない事からも後ろめたい事があるのだろう。


「葛くん、こっちは?」

「どれどれ」


 桜が言った場所には大きな空洞があり、そこにいくつもの人形(ひとがた)の物が山積みになっている。


「死体、だよね?」

「死体だな」


 こんな物が出てきたら疑う以前の問題だ。


「本格的になにかありそうな村だな」

「乗り込みますか? カズラが行くなら私も行きます」

「わかってるって。でも、その前に2人には武器が必要だよね」


 そう、2人には陽法を使うための武器がない。

 陽法は基本、武器を介して力を引き出したり、結構特殊だけど僕みたいに技を出したり。


「どんな武器がいいとかある? 無ければ僕が決めるけど」

「葛くんが決めたので」

「私も」


 うん、妄信的だな。

 まずは桜のはあれだな。


「桜、メス」

「はい」


 何処からか出したメスをもらう。

 てか、本当に何処に仕舞ってたんだ?

 まぁ、今はいっか。


「次に髪の毛を1本と血を少し」

「はい、とこれ」

「錬金術 神器生成」


 髪の毛と少しの血とメスで武器を作り出す。

 大きなメスが完成した。

 これを薙刀のように使ってもらおうという算段だ。

 次にシャル。


「シャルはなにか武器を持ってる?」

「持ってきてないです」

「わかった」


 僕は魔法収納袋を漁って、適当な武器を取り出す。

 うん、物を腐らせる事が出来る鎌か。


「シャルも髪の毛と血を少しちょうだい」

「うんしょ。はい」

「錬金術 神器生成」


 シャルの髪の毛と少しの血と鎌を混ぜて武器を作る。

 それは、シャルの背丈くらいの大きな大鎌になった。 


「これで2人の武器は大丈夫だね。危なくなったら呼ぶから、そしたら攻めてきてね」

「また1人で行くの?」

「その方が隠密はいいから」


 なるべくバレないように行って、ドミニカさんたちに話を聞きたい。

 その上でこの村の人たちが敵か味方かを判断したいからな。


「じゃあ、お願いね。混沌陰法――――」


 僕は姿を隠して村に侵入する。

 村の人たちは、皆が皆殺気だっていて、よくない腐ったような臭いがする。


 ――――ワンッワンワンッ


「な、なんだ、侵入者か?」

「敵だ、敵が入ってきた」

「警戒体制だ」

「探しだせ。探して殺せ」


 こうも呆気なくバレてしまうとは。

 また「殺せ」とは残酷な。


 イッヌ強し。



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