No.104 幸せのカケラ
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蕾を破壊しようと色々試す。
雷を撃ったり、凍らせたり、流したり、腐らせたり、溶かしたりしたがどれもダメ。
「そこで思い付いたんだよ。画期的な方法を」
「勿体ぶらずに言え」
「わかりました。では聞いてく……はい。根を掘ろうという案です」
睨まれたのですぐに言う。
もちろん怖かったとかそんな理由は少ししかなかった。
本当に少しだけ……少しだけ。
「土魔法 採掘」
「それいいな。魔術 採掘」
魔法で土を掘ると、それをドミニカさんは真似て魔術として昇華させた。
魔力の流れを見れる魔眼で確認しても魔法と同じ……同じだけど違った。
なんかわからないけど、干渉できなさそうな魔力だ。
「乱れろ」
魔力を乱れさせる手で軽く妨害するが効いてない。
うん、魔術よくわからん。
「あっ、根が見えた」
その瞬間、何処からとも無く声が聞こえる。
『やめて』
「「えっ?」」
辺りに響く少女の声。
そして、僕とドミニカさんは根から遠ざけるようにして吹き飛ばした。
「出てこい」
蕾に向かって殺気と言霊で威圧する。
が、さっきのように声は聞こえない。
それどころか、土は元に戻り始めている。
「炎」
指を軽く切り陰法を発動させて根を燃やしにかかる。
すると、蕾と違って弱いのか綺麗に燃えていく。
『やめて、私の友達を苛めないで』
「じゃあ姿を現して? じゃないと君の友達を傷つけないといけなくなるから」
『やだ』
「……」
『絶対嫌だ!』
耳が痛くなる高音の悲鳴。
それに答えるかのように、森の木々は色めきだし、虫型の魔物が現れる。
「面倒な」
「本当ですね、ドミニカさん」
「カズラ。私が魔物をやる。だから蕾は任せた」
「め、面倒な方を任せやがって」
まぁ、魔物を気にしなくていいなら楽、なのか?
「早く姿を現してくれ」
『嫌だったら嫌!』
「なら、そのお友達とやらも」
『それも嫌!』
ダメだ、完全なる駄々っ子だよ。
「もう、根を全て燃やしちゃえ」
もう、こっちだって嫌だ。
何が駄々っ子だ。
宝玉が使えれば別だけど、こっちは、これしか方法がないんだよ。
「混沌陰法 終焉火」
一点集中型火力。
根だけを燃やして蕾はボテっと倒れる。
そして、蕾から1人の女の子が投げだされた。
「痛てて」
その女の子は顔が溶けたかのように左半分が原形を留めていない。
更に、左手左足は黒っぽく変色していて女の子の後ろには透明の宝玉が浮かんでいる。
「やっぱり宝玉持ちか」
何となく、そんな気はしていた。
僕は女の子に1歩近づく。
「来ないで!」
心からの拒絶。
何を恐れているんだ?
何をそんなに怖がっているんだ?
「来ないで!!」
声に答えるかのように強風が吹いて雷雨となる。
女の子の後ろには赤色の宝玉がフワフワと浮かび上がる。
それでも僕は前に進む。
「来ないで!!!」
声に答えるかのように重力が強まり足を前に出すのも辛くなる。
女の子の後ろには桜色の宝玉がフワフワと浮かび上がる。
僕の宝玉を奪っているのか?
それでも僕は前に進む。
「来ないで!!!!」
声に答えるかのように足を土が絡めて前に進ませまいと邪魔をしてくる。
女の子の後ろには茶色の宝玉がフワフワと浮かび上がる。
今のところは僕の持ってる宝玉だけだ。
「来ないで!!!!!」
声に答えるかのように地面から世界樹の根が動きを止めようと縛りあげてくる。
女の子の後ろには緑色の宝玉がフワフワと浮かび上がる。
また僕の持ってる宝玉だ。
「来ないで!!!!!!」
その言葉に反応するかのようにして、僕の後ろに黒い黒い宝玉がフワフワと浮かび上がる。
よし、
「理を喰らえ。僕は暴食の加護により他の宝玉の力を受けない」
パリンっとガラスが割れるような音と共に、女の子は倒れ、後ろにあった無色の宝玉を含めて粉々に割れる。
そして、僕の後ろに宝玉が戻ってくる。
「錬金術 万能霊薬・エリクサー」
世界樹の葉から飲むだけでどんな病も治すと言われる霊薬を作る。
それは一瞬にして完成して、女の子に飲ませる。
すると、黒っぽく変色していた左半身は綺麗で健康的な体に戻り、顔も多分元通りになった。
女の子はアイリスくらいの背丈で、見た目は石上に似ているからドワーフかな?
「世界樹」
まだまだ来続ける虫型の魔物を世界樹で串刺しにすることで一掃する。
「お見事だな。で」
「この子が犯人でしょう。ドワーフ、ですかね?」
「そうだろうな。で、宝玉持ちだったようだが?」
「あれは壊れました」
奪えなかった。
宝玉の力を封じれるって強いのに。
「では、女の子はこっちで預かろうか?」
「お願いします」
僕よりも女性である……女の子であるドミニカさんにお願いした方がいいだろう。
「殺す、とかはしませんよね?」
「あぁ、そんな事はしない」
それからドミニカさんと別れて村に帰る。
訳だが、これはまたなんとも。
「弱い。カズラと比べれば弱すぎる」
「通して、カズラの所に行くの!」
「葛くん1人で抱え込もうとしてるから!」
ムウがシャルと桜の2人を食い止めてる。
ムウの額からは鬼の角が2本ほど生えてて、僕の吸血鬼だけの力と同等か少し下くらいの強さだ。
「ムウ、ありがと」
「帰ってきた。終わったの?」
「うん、無事にね。ドミニカさんの所に行っていいよ」
「わかった」
ムウは鬼の角を仕舞うと魔法の絨毯に乗って行ってしまった。
さて、
「ごめんね、勝手に行ってて」
「「なんで!」」
わぁ、2人の声が重なるか。
「なんで、って言われても」
理由は巻き込みたく無かったからだし、宝玉を封じるなら宝玉持ちの可能性……神の可能性だってあったんだ。
まぁ、神なら勝てないだろうけど。
「いいじゃん、無事に戻ってこれたんだから。それに……宝玉の力よ」
僕の後ろに5つの宝玉がフワフワと浮かんでいる。
ちゃんと発動することが出来る。
「じゃあ皆を呼んでくれ」
「夜なのに?」
「夜だけど、だ」
その後、夜というのもあってか皆が揃うのは1時間が過ぎてからだった。
「解決したから帰れる準備が出来ました。それで、今の日本は……日本だけと言わず地球は元ダンジョン攻略者たちが暴れてる状態だ。今は少し落ち着いてるけど」
「なら危ないのか?」
「危なくはない。上位のダンジョン攻略者たちがこれを鎮圧してるからな。お金に困ってる下の方のヤツらがやってると思ってくれ」
本当に早く法の整備を急げ、ってんだよ。
いや、聞いた話、北星渚がお偉いさんの中でも自分の言うことを聞かない人を殺しまくったんだっけ。
だから上手く回らないのか。
「で、次にダン高は魔法学校として変わった。魔法を使って悪さをするヤツを捕まえる為に力をつける学校だ。今から日本に戻るけどその学校に入るか? 一応、皆の分の席はあるから」
元理事長で現校長の宮内先生が席を取ってくれたらしい。
と、言うよりも元々ダン高の生徒だからいつでも歓迎するよ、って事だろうな。
「皆はどうする?」
僕は皆に問いかけた。
☆☆☆☆☆を★★★★☆にしてくれると嬉しいな。
何となく自分のやつは★5は強欲すぎる……でも欲しいw