表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
4章 遊戯者編
100/155

No.099 不安よな、◯◯ウゴキマス

更新!



「成功だ」


 僕はそう声に出す。

 そして、安堵によってその場に経たり込む。

 他の吸血鬼の気配を多く感じるから成功したという事がわかる。


「逃げ切れたようだな。

 改めて、WonderLand.五帝神(ごていこう)、“憂鬱”の魔術師ことドミニカ・フィンゼル」

「WonderLand.五帝神(ごていこう)、串刺し候のヤード」

「WonderLand.五帝神(ごていこう)、不思議の魔術師のムウ・ハセ」

「WonderLand.五帝神(ごていこう)、将龍人のドラコ」

「WonderLand.五帝神(ごていこう)、死の勇者のハーデス・バルス」


 全員が全員、強者揃いだ。

 さて、こっちも挨拶をするべきだよな。


「改めて、吸血鬼第二始祖の鬼灯葛です」 


 僕はシャルに目配せする。


「わ、私はユリエーエ第一王女のシャル・ユリエーエです」

「私は大賢者さまと大聖剣さまの子孫、チル・デガードです」

「えっと。き、希望の神子と呼ばれてましたアイリスです」


 お互いの今後の方針を決めにかかる。


 僕はシャル、チル、アイリスを連れてドリーさんの所に行く。

 その後、必要な物を集めてこのワンダーランド城に戻って、五帝神を含めた全員で次の世界に行く、という事になった。


「それでは、戻って来るので」

「その子たちは連れてくのか?」

「言われてみれば」


 ドミニカに言われて思ったが、シャルたちは別にここで待っててもらってもいいのか。

 その方が僕も行動しやすいよな。


「なーに、人質とか考えてるか訳ではないから安心せい」

「あっ、その心配はしてませんでした」

「そうだな、ムウでも代わりに連れてけば良いだろう。使えるぞ」

「じゃあ、そうさせてもらいます」


 ムウは結構強いから足手まといの心配も少なくてすむ。

 次こそ、


「行ってきます」


 僕は海を走って日本に向かう。


「カズラはなんで飛ばないの?」

「高所恐怖症だから」

「高いところ怖いんだ」


 ムウはニマニマと笑いながら「魔法の絨毯(じゅうたん)」にジェットコースター並の回転をつけて乗っている。

 よく、怖くないな。

 それに振り落とされないのも凄い。


「おっ! あれ?」

「うん、そうだね。アレが日本だ」


 多分日本。

 これで、グロンダントとかだったら泣くからね?



 ※



 あれから無事に日本に到着して日付を確認すると、僕がユリエーエに行ってから1週間も経っていた。

 世界を渡る時に時間がおかしくなったんだろうな。

 でも、そんなに経ってなくてよかった。


「カズラ、凄いね! 古代遺産がたくさんだよ」

「まぁ、そうなるよな」

「でも、町の様子が変じゃない?」

「そうか?」

「あまり活気がないって言うか」


 言われてみれば、そんな感じがする。

 どこか浮かない顔の人がちらほらといる。

 やっと使えるスマホでニュースを確認すると、『多くの低級から中級のダンジョン攻略者が職を失い、人より力があることをいいことにテロを起こした』とあった。

 言われてみればダンジョン攻略者はダンジョンがあってこその仕事だ。

 そんな急に他の仕事なんて出来ないだろうし、雇ってくれる所が少ないだろう。

 上級はそれなりにお金があるから困らないって訳ね。


「まずは、ドリーさんに挨拶に行かないとな」


 僕は適当な人目の付かない路地裏に入る。

 すると現れるのがドリー邸なんだけど、どうやってるんだろう?


「ドリーさーん」

「お、お邪魔します」


 僕は豪快にドアを開けて中に入る。

 ムウは、吸血鬼を親になんて教わったか知らないけど恐る恐るって感じだ。


「おぅ、案外早かったな。んで、どこに繋がった?」

「ユリエーエでした。もう消えましたけど」

「知っている。帰ってきた時に記憶をちょちょっと見せてもらったからな」


 じゃあなんで聞いた!

 聞く意味がないじゃん。


「次に必要なのはこれだろ?」

「魔石、しかもこんなに」

「やる。だから、もっと面白い世界を見せてくれよ?」

「はい。ありがとうございます」


 これだけあれば、行き来できる鍵が1つ作れるはずだ。

 それが出来れば資源に困らないし、いいことずくめだ。


「んで、そっちの子は?」

「僕はWonderLand.五帝神(ごていこう)、不思議の魔術師のムウ・ハセです」

波瀬(はせ)、波瀬、波瀬。鬼族(きぞく)か」

「はい、はっ」


 ムウは力を溜めて鬼の角をはやす。


「懐かしい。波瀬のガキが匿ってくれって超超超上から目線で言ってきたから追い返したのを思い出したは」


 あっ、もしかして、吸血鬼が嫌われてるのって匿ってくれなかったからか?

 納得だな。


「これからすぐに行くのか?」

「いやー、食材をあっちで結構使ったので」

「そうか。なら1つ、面白い情報をやろう」

「……」

「なんて言ったかな……そう、北星(ほくせい)(なぎさ)っていただろ?」

「はい。なんか転生? したらしいです」

「その原因だが、(とおる)が蘇らせては殺して蘇らせては殺してを繰り返したからだと考える」

「な、なるほど」


 知ってはいたけど、改めて聞くと透が思いの外ヤバイことをしてたんだ。

 そういえば、透がいないけど、どうしたんだろう?


「透ならテロ集団を葬りに行ってるぞ」

「あ、あはは」


 心の中は読まないでほしいな。

 でも、テロがあるからそういうのが必要になるのか。


「更に言うと、ダンジョン専門国立高等学校は今、名前を変えて魔法専門国立高等学校になった。主にテロ組織を潰すために学ぶ学校だ。これをココナという人間に渡してくれ」

「わかりました。で、校長が元理事長の宮内先生がやってるとか?」

「正解だ。そして、内密だが四大財閥の南条(なんじょう)家、北星(ほくせい)家、東町(ひがしまち)家、西曜(せいよう)家の4つは解体された」

「それは、また。いいザマァだ」


 さて、そろそろ買い出しに向かいますか。


「次は往復出来るように鍵を作るのでまた来ます」

「別に来なくてもいいぞ」

「それでも来ます」


 ドリーさんは僕を吸血鬼にしてくれた親みたいな存在だからな。

 言うなれば、第2の親……いや、ドリーさんが僕を殺しかけてこうなったんだけどね。



 ※



 買い出しに来た場所は、◯スト◯。

 ちなみに、◯には同じ言葉で「コ」が入るからね。


「凄い、凄い広い! しかもいっぱいある」

「なにか欲しいのがあったら言ってね」


 僕はカートを押しながら物色する。

 少し、周りからの視線がおかしいように感じるが、気のせいだよね?

 僕の背が中2くらいで、ムウの背が小4くらいだからな訳ないよね。


「これ何?」

「お菓子。1つね」

「これは?」

「それもお菓子。1つね」

「これは、これは?」

「それも、それもお菓子。1つずつね」


 最初から、ゴディ◯のチョコ、柿の種、ハリボ◯のグミとロッ◯のガムだ。

 お肉をたくさんと、野菜もたくさん。ついでに使えそうな物を片っ端からカートに入れていき、カート10個分となった。

 お値段のほども結構な物となったが、払えない額じゃない。

 いや、ね。

 張り切って買いすぎて全財産の半分になっちゃったよ。 

 錬金術で金作って売ればいっか。

 鉛筆を1本100円で重さが5g。

 それを金に変えると約50,000円になるからボロ儲けだ。


「よし、ワンダーランド城に帰るか」

「結局、海の上を走るのね」

「うるせい」


 僕は海を走ってワンダーランド城を目指す。



感想、ブクマ、ptぜひぜひくださいまし!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ