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ループラインの軌跡  作者: リノ バークレー
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72/72

15-3(72)

 ひなの行動力、持ち前の明るさのおかげで客足が徐々に増え、

未だ借金完済とまではいかないが業績は確実に上がり始めていた。

 ひなの提案でメニューの種類を増やし、お店構えも以前の長テーブルに

代え丸テーブルを増設し、ちょっとおしゃれなカフェ風に変えたことが

功を奏したようだ。

 お昼のピーク時には満席になることが多く、たまに常連さんから店舗を

増やしたらなどアドバイスを貰うがどうも乗り気にならない。

 どうしてだろ? 以前なら敏感に反応していたはずなのに……。

 イートインスペースでは猫が堂々とした仕草でテーブルの間をゆったり

横切る中、ひなが風に飛ばされた紙ナプキンを必死に追いかけている姿が

目に映った。


「ふふっ!」


 そういうことか。

 答えが出たような気がした。

 上手く説明出来ないが僕はこんな心地いい毎日が大好きなんだ。


「そらちゃ~ん! 仕込み終わった?」

 ひなが笑顔でこちらに向かって駆け寄って来た。


「うん、もう終わりかけ」

「悪いんだけどお使いお願いしていい?」と買い物カゴを渡された。

「いいよ!」と僕はカゴに入っているメモを確認した。

「ひな、この羽の生えた魚って何のこと?」

「さ~ 何かしらね。そらちゃんは当然知ってると思うけど」

「……あっ! ひなってけっこう根に持つタイプなの?」

「さ~ね~ そらちゃん時間がないよ! 早く! 早く!」

「じゃ、いってきま―す!」

「寄り道しちゃだめよ!」

「うん、分かった!」


 初夏の風に吹かれコロコロ転がるわたぼうしの集団を巧みに

かわしながら僕はまるで子供のように全速力で駆け抜けた。




                              

                              終わり

       

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