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ひなの行動力、持ち前の明るさのおかげで客足が徐々に増え、
未だ借金完済とまではいかないが業績は確実に上がり始めていた。
ひなの提案でメニューの種類を増やし、お店構えも以前の長テーブルに
代え丸テーブルを増設し、ちょっとおしゃれなカフェ風に変えたことが
功を奏したようだ。
お昼のピーク時には満席になることが多く、たまに常連さんから店舗を
増やしたらなどアドバイスを貰うがどうも乗り気にならない。
どうしてだろ? 以前なら敏感に反応していたはずなのに……。
イートインスペースでは猫が堂々とした仕草でテーブルの間をゆったり
横切る中、ひなが風に飛ばされた紙ナプキンを必死に追いかけている姿が
目に映った。
「ふふっ!」
そういうことか。
答えが出たような気がした。
上手く説明出来ないが僕はこんな心地いい毎日が大好きなんだ。
「そらちゃ~ん! 仕込み終わった?」
ひなが笑顔でこちらに向かって駆け寄って来た。
「うん、もう終わりかけ」
「悪いんだけどお使いお願いしていい?」と買い物カゴを渡された。
「いいよ!」と僕はカゴに入っているメモを確認した。
「ひな、この羽の生えた魚って何のこと?」
「さ~ 何かしらね。そらちゃんは当然知ってると思うけど」
「……あっ! ひなってけっこう根に持つタイプなの?」
「さ~ね~ そらちゃん時間がないよ! 早く! 早く!」
「じゃ、いってきま―す!」
「寄り道しちゃだめよ!」
「うん、分かった!」
初夏の風に吹かれコロコロ転がるわたぼうしの集団を巧みに
かわしながら僕はまるで子供のように全速力で駆け抜けた。
終わり




