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ループラインの軌跡  作者: リノ バークレー
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2-6(7)

 土日の休日は僕にとって唯一心が休まる瞬間で今日も1人で東京 

の町を歩くことにした。

 寮を出て電車、バス等利用せずひたすらアテもなく歩いていると

当然行きかう人とすれ違うがどこか人影がうっすら透明で、僕1人

孤独に歩き続けてるような……そんな寂しさに襲われ始めた。

 東京の町は冷たいという固定観念は僕が地元関西にいる頃雑誌や 

テレビを通して植え付けられたが実際は少し違うようだ。

 お互いあまり過度な干渉はしない、むやみやたらに本心を見せない、

本音を言わないというのが描写として適切なのかもしれない。

 つまり心の玄関でお話しはするがリビンングには中々案内されない

という事か。

 しかし僕にいたっては上京し既に1ヶ月以上過ぎたのにリビングどころ

か玄関すら入れてもらえないし、会社では自身の能力不足で役に立つ

どころか反対に迷惑かけてる現状を踏まえるとはたしてここ東京にいる  

意味があるんだろうかと思ってしまう。

 せっかくの休日なのにすっかり落ち込んでしまった僕はその後、上京

して初めての立ち食いそば屋さんに立ち寄った。

 食券を買いおばちゃんに渡すとものの数分でお出汁が黒いおそばが 

出てきた。

(これか~)

「ホントに関東は黒いんだ」とつい声に出してしまった。

 すると店員のおばちゃんが「お兄さん関西?」と気さくに声を掛けられ

ちょぴり嬉しい気分に。

「みんな最初びっくりするんよ。食べてごらん、美味しいから」

 半分疑いながらも一口すすると見た目よりお出汁がサッパリ

していて、その味わい深さに驚いた。

「美味しい! 大盛りにすればよかった」

「お兄さん、ウチ大盛りないんよ、フフッ」

 おばさんとの何げない会話のお陰で先ほどまでの寂しさ、孤独感 

みたいなものがスーっと消えてなくなったように感じた。

 そんな中ふと斜め前の若いカップルがお互い楽しそうにそばを 

すすってるのを目の当たりにした瞬間ある一筋の光を感じた。

 そうだ彼女を作ろう!

 彼女……、でもどうやって作ったらいいの?

 会社のOLさん?

 ダメだ、ダメだ、ほどんど相手にされてないし……。

 考えに考え抜いた結果、僕は人生初の出会い系パーティー参加を  

決意し早速ネットを通し明日のアポイントを取ることにした。


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