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ループラインの軌跡  作者: リノ バークレー
67/72

14-2(67)

〈コン!〉〈コン!〉


「宮下さ~ん!」

「おはようございます! お変わりありませんか?」

 いつものように女性スタッフが窓のカーテンを開け、いつもの

セリフが続くかと思われたが今日は違った。

「宮下さん、郵便物が届いてたのでこちらに置いておきますね。

それでは何かありましたら遠慮なくおっしゃって下さい」

と女性スタッフが部屋を後にした。

 私はベッドからゆっくり手を伸ばし郵便物を手に取った。

 郵便物は3通あり1通目は生命保険の案内、2通目はお墓関連の

ダイレクトメール、そして最後の3通目は見慣れない封書だった。

 差出人はⅬ&Ⅼ? そして【大切なお知らせ】と記された中身を

早速確認すると、そこには思いもよらぬ内容が記載されていた。



『この度の弊社ループラインの運行廃止について予てからお知らせ

させて頂きましたが最終運行日、及び権利失効日が近づきましたので

再度お知らせさせて頂きます。


――――――

――――――

――――――


 運行廃止に伴い満期となるお客様の返還日数は以下のとおりです。

 尚、弊社の都合による廃止故、少しばかりではありますがエキストラ

ポイントを贈呈させて頂きましたのでぜひ最後のご旅行にお役立て

下さいませ。


 宮下様の満期による返還日数:  16958日

 エキストラポイント:        365日

               計 17323日



             *最終運行日及び権利失効日は裏面に記載』



「えぇ――――っ!」


 と、という事は……、ペナルティーで取られた日数が満期で帰って

来るってこと?

 え~っと17323日ってことは……え~ 私は震える指で電卓を

叩き、はじき出された答えによると私は27歳に戻るようだ。

「27歳か…… あれ!」

「当時最後のループラインの利用が確か31歳ってことはひなに

もう一度会えるかもっ!」

 私はあまりの嬉しさに体全体が震えた。

 しかしその後ふと裏面の記載を確認した途端、先ほどの上機嫌は

何処へやら私は一気に青ざめることとなった。


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