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ループラインの軌跡  作者: リノ バークレー
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 明くる日の朝、昨夜の影響か車内では新聞も読まず流れる景色を眺め 

再び独り言が……。

 初出勤から今日まで確信はまだ持てないがなんとなく分かった事、

それは大人社会では目立ってはいけないのかもしれない。

 もしかすると人とは違う行動をとってはいけないってことなのか?

 ……まだよく分からないけど大切な事は常に場の空気を読んで 

気を使い、周りに馴染む努力をしなければいけないって事……だよね。

きっとそう、だって僕は社会人なんだから。

 そういえば社内の会話も当たり障りがないっていうか、あまり社員さん

が言い争ってるとこ見たことないし、確か昨日取引業者さんが来られた

時もお互いにこやかに談笑され帰り際「また近いうちに食事でも!」 

って言ってたけどホントに行く気あるのかな? 

 そう、いつも最後の言葉はあのおきまりフレーズだ。

 ホントに食事するしないはさして関係なく、お別れの”締め言葉”

みたいなものかな?

 僕だったらきっと「いつにしましょうか?」なんて言ってしまいそう。

 そういう部分が読めないから浮いてるのかもね。

 いやそれだけじゃない。

 残業もしないで早々に帰宅する行為は大人の暗黙の掟に

確実に反しているに違いない。

 それにしても入社時僕が強烈に感じた事は他の社員さんとの 

明らかな能力差で僕程度のレベルでは仕事は任せられないと

きっとほとんどの方が感じてるはずだ。

 しかも年齢のわりに子供っぽくちょっとした世間話でさえ  

ギクシャクしお互い話が噛み合わないんだから普段あまり

話かけられないのは当然と言えば当然の事か。

 ……分かったよ。

 僕は会社にとって不必要な人間なんだ。

 確かに謎は解けたがそんな気持ちで開ける営業部のドアは昨日

より確実に重く、僕は床目線で気配を消しながらそっといつもの  

席に着いた。


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