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周りの視線が怖くそして冷たく感じる中、それをかき消すように一心不乱
に自社本を読んでいると「ぐぐぐ~」と急にお腹が鳴り出した。
気づけばもうお昼過ぎ、僕は思い切って同僚にランチのお誘いをした。
「よければお昼いっしょにどうですか?」
「悪い! これからお客さんと約束があるんだ、またなっ!」
「そっ、そうですか……」
もう1人声を掛けてみた。
「あの~」
お昼のフレーズを言う前に断られてしまった。
仕方なく12階の食堂で1人ランチしていると周りは楽しそうな
会話で盛り上がってるが、僕はそれほど辛いとは思わなかった。
なぜなら小、中、高と体験した殴る蹴るなどの暴行に比べれば
ひとりぼっちや無視される事なんて全然マシだからだ。
午後もひたすら自社本を読み営業に使えそうなポイントなどを
まとめているとあっという間に時間が過ぎ、退社時間の5時に
なったがひき続き作業を続けることにした。
入社当初5時になると特に切迫した仕事がないのでそそくさと
帰宅していたが同僚からするとどうもそれが気に食わなかった
らしくボソッと嫌みを言われたことがあった。
それ以来たとえやる事がなくてもある程度の時間椅子に座り
続けてはいるがやはり早く帰りたい。
周りを見渡すと6時をとっくに過ぎているのにまだ誰も帰ろうと
しない。
(みなさん何時まで会社にいるんだろ~)
(急ぎの仕事なら分かるけど……)
(分からない……全然分からない……)