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王様、YDKの素晴らしき日々──

作者: アワイン

 語りましょう。これは、とある王国のとある王様のお話。

 王様の名前は、ヤコブ・ディフェス・ケウリィオン。略して、YDK。ここでは王様と名前を統一しましょう。

 それでは語りましょう。これは、とあるYDKな王様の話です。

 


 昔々とある世界では、魔女と魔王が人々を困らせておりました。そんなとある王国にも勝手に魔王が住み着いて、勝手に魔女が隠れ住んで人々に煙たがられていました。

 とまあ、そんなある代の王様が。

『魔女と仲良くすればいいんじゃぁない?』

 と鼻をほじくりながら軽いノリで家臣たちに言い放ちましたが、勿論反対。

 ですが。

『いいもーん、儂が勝手にやっちゃうからっ!』

 と、スキップするようにるんるんと軽いノリで魔女の所に行きました。そんな軽いノリのわりに、王様の逃げ足はジェット機みたいに早く家臣は捕まえることができません。

 そして、王様は国一番の騎士をつれて魔女の家にやって来ます。



 ボロボロの森に一件の立派な屋敷。王様はノックもなしに、魔女の家のドアを開けました。流石の魔女もびっくり。魔女の傍には男の子がいました。恐らく、捨て子でしょう。魔女は王様を警戒します。

「貴方は誰なのっ!?」

「この国の王だ」

「えっ」

 即答に魔女はぽかん。すぐに切り替えて、魔女は王様を警戒しながら嘲笑しました。

「この国の王様が、わざわざここに来るとはおかしなものねっ!」

「納税しろ」

「はっ」

 またまた、魔女はぽかん。王様は毅然として、懐から数枚の書類を机に叩きつけました。

「戸籍の登録をしろ。箇所諸々の税を支払え。それ以上は何も言わん」

 いきなり言われて、魔女は理解が追い付きません。それもそうです。隠れすんでいた上に、疎まれている魔女に納税しろと迫ってきたのですから。

「…………ええっと、支払えばいいの?」

 魔女は呆然として言うと王様は頷きます。男の子を見て、王様は別の書類を出します。

「あと、この子供の戸籍をとれ。扶養の書類を目に通せ」

 勝手に話を進めている王様に、魔女は怒り初めました。

「ちょ、勝手に!」

「税を支払えばなにも言わない」

「へっ」

 きょとんとして、魔女は王様を見つめます。つまり、国民として戸籍を登録して納税をすれば、文句は言わないと言うのです。

「……納税すれば、ここに住んでいいの?」

「バッチグー」

 王様は真顔で親指をビシッとたてました。



 とりあえず、魔女は金になりそうなものとして、たくさんの冬虫夏草を代わりに納めました。そのあと、本当に何もせず王様は去っていきました。代わりに、魔女の手元に残ったものがあります。それは、身分証明や国の手続きを行う物。必要な手帳や諸々。

 魔女はこの国の国民となったのです。

 嵐のような、いや、嵐であった時間に魔女は呆れたように笑います。

「……ははっ、これ、私に表社会に出ろと?」

 しかし、魔女の稼ぎでは足りないので、魔女は仕方なく住居を町に移したのです。




「……ってことがあって、ここに移り住んだのよ」

「待って、母さん。なんか突っ込みどころがありすぎる」

 思い出を魔女が話すと、捨て子であった青年に突っ込まれました。

 移り住んで、十数年。

 現在、魔女は町に住んでいます。町の一角にある王様御用達の評判の良い薬屋として、魔女は名を馳せていました。捨て子であった子は、王様の町に移り住んだときに学園に通い、有名な大学に通ってます。

「俺って、魔女の子だよね?」

 思わず聞くと、魔女は渋々と首肯する。

「うん、だって、貴方は魔法を使えるでしょう? なら、立派な私たちの子よ」

 たち。

 複数系であるのは、なんの間違いなのか、王様がつれていた騎士と魔女は恋に落ちて結婚したのです。青年の横では、まだ五歳ぐらいの子供がおにーちゃんと甘えてきていました。なんと、騎士と魔女の子です。

 どうしてこうなった。

 ちなみに、青年は養父のコネで王宮の仕事につきます。

「いや、うん、そうなんだけど。妹はかわいいし、うん、父さんもいい人なんだけど……」

 青年の言いたいことはわかります。魔女があまりにも魔女らしくなく、幸せな家庭を築いていると言うことに。王様グッドジョブなのに、この否めない感じはなんなのか。魔女は申し訳なさそうな顔をします。

「……ごめんなさい。私が魔女らしくなくて。けどね、ここの王国にある制度があまりにもよすぎるのっ! しかも、王様から国の魔女として認められて、ある程度減税されるし。国の魔女として、国に役立ってるし。……今代の王様が、生きているまで良いかなぁって」

「……うん、母さんが幸せならそれで良いや」

 もう深く突っ込むのは青年はやめておきました。今の青年の生活は充実しているのですから。



 一方の王様がいる城では。

「魔女と魔法使いを増やしたいから、学園に魔法科とか魔術科みたいなのを作ろかっ。なんか、王国の空に魔女が箒で飛んでいる風景みてみたいっ!」

「王様ぁぁぁぁぁっ!」

 軽いノリで決める王様に、家臣たちは悲鳴をあげます。ですが、この王様やればできる子なのでほんとーに困るのです。まあ、将来、この国は魔女と魔法使いがいる魔法の国として、語り継がれるのですけどね。



 昔々とある世界では、魔女と魔王が人々を困らせておりました。そんなとある王国にも勝手に魔王が住み着いて、勝手に魔女が隠れすんで人々に煙たがられていました。


 とまあ、そんなある代の王様が。


『魔王と仲良くすればいいんじゃぁない?』


 と芋を食いながら屁をこく軽いノリで家臣たちに言いはなちましたが、勿論反対。


 ですが。


『いいもーん、儂が勝手にやっちゃうからっ!』


 と、セグウェイでぶいぶいといわせる軽いノリで魔王のところにいきました。そんな軽いノリのわりに、王様の逃げ足は光ネットのように早く家臣は捕まえることができません。


 そして、王様は勝手に不法占拠している魔王城へと兵士と魔法使いをつれて、突っ込んでいくのです。






 雷が鳴り響く魔王城にて。魔王の像がたっており、レンガが積み上げられた城門の前に来ると、王様は叫びました。


「魔王。そこにいるかっ!?」


 王様がわざわざ来訪したことに、何処からか魔王の笑い声が聞こえてきました。


『はっはっはっ! まさか、一国の王であるお前がやって来るとはなっ!』


 水晶か何かで見ているのでしょう。そして、王様が。


「納税しろ。そうすれば、お前の永住権を認めてやろうっ!」


『納税だとっ!?』


 流石の魔王のもおかしかったのか、笑いがこらえきれませんでした。


『あっはっはっはっ。なぜ、魔王である我が納税をしなくてはならないっ!』


「よぉし、その声から納税する気はないとみた。城門と城門の前にある像を差し押さえろ。国に持ち帰るぞ!」


『へっ』


 魔王もきょとんとしました。城門の一部を兵士たちが破壊すると、城門のレンガが剥がれ落ちます。そこから、きれいにレンガが剥ぎ取られていきました。取られたレンガを荷台にのせて、国へと向かっていきます。城門も魔法で容赦なく剥ぎ取られていき、魔王の像も魔法で荷台にのせられています。城門や魔王の象徴である像が撤去それていく光景に、さすがの魔王は慌てていました。


『ちょ、ちょっと待ったぁっ!


そこは進軍すべきだろっ!?


こっちは、戦闘準備満タンなんだけどっ!?』


「そんなのしらぁんっ!


魔王の部下を傷付けずに捕まえろ。魔王の勤務形態を聞いたあとは、すぐに監査を始めろ。もしブラック企業だったら、すぐに退職をすすめろぉ!」


「了解であります! お前らっ、魔王城の中にあるものを差し押さえながら、部下を捕まえて勤務形態を聞け。ブラック企業だったら、すぐに退職をすすめろぉ!」


 王様と隊長の指揮に兵士たちは、士気を上げて魔王城へと突っ込んでいきます。猪のように勢いがある兵士に、魔王の部下は戸惑い捕まえられています。さすがの魔王もあわてふためき、玉座の間を抜け出して王様の前に現れました。


 黒い角と翼が生えており、生気を感じさせない肌をしています。ローブと杖を持っており魔王らしい魔王と言える服を着ていますが、かなり動揺していました。王は兵士から、話を聞きます。


「なに、情けない魔王の姿を見て、幹部が辞職を申し出た? ならば、そいつらは余計に引っ捕らえろ。幹部ってやつらは、色々と横領している可能性がある。うにを出して、したっぱに見せつけてやれ!」


「ま、待てっ!」


 王様の指示を聞いたあと、魔王は制止の声をあげますが。


「もう、どうにも止まらないっ!」


「聞けぇっ! 我の話を聞けえっ!」


 さすがに二度目の制止で、王様は振り向きました。


「貴様、民だけでなく、魔王からも搾取する暴君かっ!?」


 魔王の言葉に王様は。


「貴様はバカかぁぁぁっ!?」


 ごすっとかなり痛い音が出ました。なんと、魔王の頬に拳にストレートを入れたのです。魔王は倒れると、王様は鼻息を荒くして拳をぎゅっと握って、やがて熱く語り始めました。


「王は、つねに民の血税の上にいるんだぞッ!?


ここにいる兵士も血税の中にいるんだ。


好きでこんなことしてるやつなんていないだろう。城門のレンガは我が王国の城門の修繕に当てて、修繕費を軽くする。軽くなった分は、民の血税に返していく。それが当たり前だろうっ!?


金は天下の回りもの、金は経済の血液っ!


儂は民のために、公平に負担を減らさなくてはならない。儂は民を思う。しかし、民は儂のことをなに思わんでいいっ。普通に暮らしてくれるだけで、儂は嬉しいわっ!」


 民を思う王の言葉に偽りはありません。王様は顔を赤くして、ぜぇぜぇと息を荒くして語り終えます。王様の熱弁に、周囲の兵士は圧倒されて目を潤ませていました。


「王よっ!」


「我らが王よっ!」


「王様素敵ぃっ!」


「それでこそ、魔女を受け入れた王様だぁっ!」


『王様、王様、王様、王様、王様、王様っ!』


 兵士と魔法使いからの王への熱いエールに、魔王の部下たちも目を潤むませています。そして、魔王は王の熱弁と慕われている様子を見て、ふっと笑ってゆっくりと立ち上がりました。ハチャメチャなわりに、惹き付けるカリスマと人望に気付いたからです。


 負けたように魔王は手をあげました。


「我の敗けだ……」


「そうか、ならば。納税をしろ」


「なに?」


 魔王は驚くと、王様は腕を組んでいました。


「儂の国にいるならば、貴様は儂の民だ。税金と戸籍の登録をしてくれれば、援助や制度を紹介してやろう。だが、あとは自分で立ち上がれ、生きるとはそう言うことだ」


 それは、王様なりの優しさであります。しかし、魔王は困ったように。


「……その、納める金はあまりないんだな……」


 カネはない発言に王様はにっこりと笑って。


「よぉし、城の中にあるもの取っ払って、金にかえろっ! この魔王城を物件として売り出せえぇぇぇぇぇっ!」


「や、止めろおおぉぉぉっ!


魔王のアイデンティティーを奪うなぁぁぉぁっ!!」


 魔王の件が解決したあと、魔王城は物件として売られていましたとさ。






「……ということがあったんだ」


「突っ込みどころ多すぎやしませんかっ!? 魔王様っ!」


 と、思い出すように魔王は元部下に語りましたが、突っ込まれてしまいました。


 あのあとから、十数年。現在の魔王は魔王城を取り返したあとのこと。魔王城を保育園として改装して、魔界と人の子供を面倒見ております。ちなみに、魔王は元魔王であり、子供たちに大人気の立派な園長先生です。


「魔王様。貴方には、もっと威厳があったのになんで人間を含めた子供たちにゆるゆるなんですかっ!?」


 元部下から言われたことに、魔王は照れたように頭をかく。


「その、王の紹介で人間との交流をしてみろと言われて、孤児を見る機会があってな。見ているうちに、なんと言うか我の中の母性がうずき、いつのにか魔王城を買い戻して、保育園として改装していた。……まあ、ここは魔界と人間が交流するいい機会にはなった」


「つまり、子供がかわいかったんですねっ! まあ、俺にも子供いますからわかりますけど」


 魔王の代わり具合に、戸惑う元部下。すると、足ともに一人の園児が魔王に声をかけてきました。


「まおうえんちょーせんせぇ。ぴあののじかんだよぉ」


「ああ、そうか。すぐにいこう」


 優しく答える魔王は、立派な保育士になり園長先生になりました。元部下は、自身の子供も魔王の保育園に入れようかと検討したとき。


「ちなみに、今の子は妖精の女王ティターニアとあの王様の子供だぞ」


「……っ!!!!???」


 魔王の言葉に元部下は思わず二度見しましたとさ。






 一方の王様がいる城では。


「妖精の女王と婚約して、妖精の国と一つになったし。子供もできたし、どうせなら、ドラゴンの国と天界とも国交結んじゃう? 結んじゃう?」


「王様ぁぁぁぁぁっ!」


 軽いノリで決める王様に、家臣たちは悲鳴をあげます。ですが、この王様やればできる子なのでほんとーに困るのです。まあ、将来、この国は偉大な国になってしまうのですけどね。






 さてさて、ここでYDKのお話はおしまい。つまり、本当にこの王様はしょうもないと言うお話でした。


代々、王族の一族はYDKの略式を受け継いでいる。

つまり、彼らの一族はやればできる子なのだ。……とあとをつけたいのですが、話的に無理なのでここに書いておきます。

真面目、シリアス、ほのぼの? なにそれ、美味しいの? と言うような感じでしたが面白いと感じてくれると嬉しいです。

魔女集会で会いましょう 魔王集会で会いましょう

これらのTwitterタグに触発されて、魔女と魔王を出しました。タグの設定は関係ありません。すべて王様に食われております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ノリの良いストーリー。王様のすることなすことが面白くて、最後まで一気読みしました! [一言] 楽しかったです。ありがとうございます。
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