助っ人到着
前回、ドルーナが強羅ウサギの捕食者だと予想したリョージ。
しかし、実際はその逆だった。
ドルーナは、強羅ウサギの被捕食者だったのである。
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「まじかよ・・・」
リョージは思わず膝をついた。
「・・・お前、俺が採ってきた果物食ってたじゃねえか」
「ブモブモ(もぐもぐ)」
強羅ウサギは、素知らぬ顔で食事を続ける。
リョージは知らなかったが、強羅ウサギは雑食なのだ。
前世の知識から、見た目から判断して草食だと思い込んでいたのだった。
「だとすると、これは急がないとやばいかもな・・・」
「何がやばいんですか?」
「だって、このままだとピッチちゃんが食べられるかもしれない・・・」
ただでさえ、野生を知らない飼いドルーナだ。
今も群れからはぐれ気味なのだから、
強羅ウサギに襲われるのも時間の問題かもしれない。
「うーん、どうしたものか・・・」
「あの・・・ちょっと依頼書を見せてもらってもいいですか?」
「ああ、どうぞ・・・・・・って、あれ?
ファイさん?!」
リョージの隣には、いつの間にか
ギルドにいるはずのファイが立っていたのだった。
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俺が渡した依頼書に目を通しているファイさん。
事務モードなのか眼鏡が光っている。
「ファイさん、どうしてここに?」
「ああ、リョージさんが苦戦しているようだと聞きましてね。
何かお手伝いができないかと思いまして、来ちゃいました」
はにかみながら、そんなことを言うファイさん。
「来ちゃいましたって、あの、ギルドの方は大丈夫なんですか?」
なんたってあのファイさんだよ。
ファイさんギルドの職員さんのなかでも責任ある立場なんじゃないか?
そんな俺の心配をよそに、ファイさんはあっけらかんと言う。
「ええ、大丈夫です。ギルドには優秀な職員がいますからね」
眼鏡をくいっと直しながらファイさんは言った。
「そうですか・・・」
うん、ファイさんがそう言うんなら大丈夫なんだろう。
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リョージは知らなった。
ファイが優秀な職員と言ったのが、他ならぬギルドマスターを指しているということを。
そのギルドマスターは、今
ファイに押し付けられた事務仕事に追われているということを。
そして、ファイが旧友を優秀と言ったのが皮肉でも何でもない事実であるということも、リョージは知らなかったのだった。