そっちかよ!
俺は、冒険者だ。
冒険者は冒険者ギルドから発行されるクエストを受ける。
クエストの内容は多岐に渡る。
だが、それには傾向がある。
冒険者にしかできないことがあるのだ。
******
「また外れか・・・」
ドルーナ捕獲のために、強羅ウサギを捕まえることにしたリョージ。
強羅ウサギがドルーナの被捕食者だと予想したからだ。
リョージがドルーナ用に作った罠には、どういうわけか強羅ウサギばかりがかかっていた。
目的はドルーナだからと、毎回逃がしていたのだが。
今度からは、強羅ウサギをターゲットにしようと思ったのだ。
それは、せっかく集めた果実を食べられてムカついたからとかそんな理由はないのである。
そう、ただ単に八つ当たりがしたかったからとか、そういう他意はない・・・はず。
そういうわけで、リョージは新たな罠を設置した。
これで、罠にかかった強羅ウサギをおとりに、ドルーナをおびき寄せればいい。
そんなことを考えながら罠を設置するリョージは、ニヒルに笑っていたのだった。
・・・だが、物事はなかなかうまくいかないもので。
リョージが決意した途端、強羅ウサギは罠にかからなくなってしまった。
それも、ぱったりと。
「うーん、困った・・・。相変わらずドルーナもかからないし・・・」
リョージは途方に暮れていた。
どうして強羅ウサギが急に罠にかからなくなったのか、考えてみても分からない。
「まあ、仕方ない。地道に探すしかないか・・・」
そう、リョージが考えていたときだった。
「・・・・・・ブモー!」
遠くから強羅ウサギの鳴き声が聞こえてきたのだ。
「おっ、飛んで火にいる・・・、いや、噂をすればってやつか!」
リョージは嬉々として、声のした方角へと向かって走っていったのだった。
******
強羅ウサギの声を追ってきたリョージ。
「・・・こ、これは・・・!」
リョージは目の前の光景を見て固まった。
結論から言うと、強羅ウサギはいた。
そして、強羅ウサギは食事中だった。
その光景を見て、リョージはわなわなと震える。
「・・・お前の方が捕食者かよっ!」
「ブモッ・・・?(けぷっ)」
ドルーナが強羅ウサギの捕食者ではなく、
強羅ウサギの方がドルーナの捕食者だったのである。