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あれを使おう

 ファイが待ち合わせの場所に着くと、


 そこにはリョージの姿がなかった。


「…リョージさん?」


 もうとっくに約束の時刻は過ぎているし、


 ひょっとしたら先に店へと入っているのかもしれない。


 そう思ったファイは、少し歩いた先にある飲食店へと


 行って見ることにしたのだった。



 だが、店内にもリョージの姿は無かった。


「…帰ってしまわれたのだろうか…」


 待ちくたびれて、家に帰ったということも考えられる。


 それは、自分の落ち度だから責める気などないのだが、


 リョージの性格上その可能性は低いと思う。


 

 だとすると、なかなか来ない自分を心配して


 冒険者ギルドへと様子を見に行ったというのが妥当な線ではないだろうか。


 途中どこかで行き違いになってしまったのだろう。


 そう考えると、自分がギルドへ向かうと


 また行き違いになってしまう恐れがある。



 ここで、待つか。


 それとも、店で待っているか。


 


 だが、自分が考えた選択肢は、あくまで可能性の話だ。


 もしかしたら、何かに巻き込まれて足止めを食らっていることも考えられる。


 基本的にリョージがお人好しだというのは、


 ファイがこれまでの付き合いで把握していることだった。


 だからこそ、ソロで活動することが、


 リョージにとって危険に巻き込まれないという点で


 ファイの望むところであったりもした。


 だが、それも最近では崩れてきているとファイは認識している。


 初めてパーティーを組むと言い出したり、


 疎遠だった冒険者たちともときどき接しているのを見かけるようになっていた。


 自分と共にクエストを受けてくれたのは良かったと思うが、


 それでもリョージがどこか自分の手の届くところから


 ふいにいなくなてしまうような、そんな不安を抱かせるのだ。


 人間一人に、そんな感情を抱くようになるとは、


 昔のファイならば想像できなかったことである。


「…あれを使うか」


 ファイは、リョージに渡したマジックアイテムの位置把握システムを使うことにした。


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