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そこはきっちりいきましょう

「それで、悪いんだけど今回は


 こいつと一緒にクエストやったってことにしてくんねえか?」


「え?」


 リョージが聞き返すと、レナードは頭をかく。


「あー、というかこいつがここ出て行くとき


 そういう申請しちまったもんでよ。


 訂正するのもたるいし、実際リョージ君も助かっただろ?

 

 こいつが行ってさ」


「はあ、まあそうですけど…」


 リョージが突然の話に混乱していると、ファイが言う。


「すみません、リョージさん。


 リョージさんを助けに行くためには、正規の手続きを踏む必要がありまして」


「えっと、それって…?」


 まだ混乱している様子のリョージに、レナードは言う。


「こいつ、今日休み取ってんのよ。


 だから、完全プライベートなわけ」


「え?」


「すみません、ご迷惑かとは思いましたが、


 職員のままでは助けに行くことが叶わず…」


「え、というか、わざわざ休んで助けに来てくださったんですか?」


「ええ…。あれは私が無理に頼んでしまったものですし」


「そんな、あ、あの…」


 リョージが恐縮していると、レナードは言う。


「別に単に休んだことにしてもいいんだが。


 それだと色々面倒なこともあるっちゃあってな。


 報酬はまあ、遅延してる分は減ってるが一人で貰って構わねえよ。


 なあ?」


「ええ」


 即答するファイに、リョージは慌てる。


「そんな、それはだめですよ」


「でも私が勝手にやったことですから。リョージさんはお気になさらず」


 そう言うファイだが、リョージも引かない。


「そういうことはきっちりした方がいいです。


 お金のことは、今後の付き合いにも響くかもしれませんし。


 そんなの嫌です」


「リョージさん…」


 ファイは、リョージが今後も自分との付き合いを望んでくれている、


 そんな未来の話をしてくれたことで気分がよくなる。


 二人のやりとりを見ていたレナードは言う。


「あー、まあ、元々報酬がいいクエではあったから。


 いいんじゃねえか、折半で」


「そうします」


 即答するリョージに、ファイも折れた。


「…分かりました。でしたら、今夜でも何か私におごらせてください。


 そうしたら、私の気もすみますから」


 リョージは、責任感の強いファイのことだから、


 これ以上は引かないな、と思って譲歩することにした。


「分かりました。楽しみにしてます」


「はいっ」


 嬉しそうに笑うファイ。


 ファイの憂いが取れて、良かったと思うリョージなのだった。

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