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いざ戦いへ

「シュー…」


 怯えているピッチちゃんに、リョージは優しく声をかける。


「大人しくしてろよ。ファイさん、お願いします」


「はい、お任せください」


 ダッダラビットは、ドルーナを襲う恐れがあるので、


 ピッチちゃんはファイが預かることになった。


 ファイは、後方からのサポートに徹するため


 リョージが籠を持つよりも安全なのだ。


 しかし、そのことでリョージと物理的に距離を置く必要が出てしまった


 ファイは、心配でならなかった。


 ダッダラビットは、強羅ラビットの上位種である。


 強羅ラビット程度は難なく倒せるリョージであっても、


 ダッダラビットレベルのモンスターは分からない。


 これは、レベルというか経験の話である。


 ダッダラビットがどういうモンスターなのか、


 口で説明したとしても実際に戦ったことのないリョージには


 あくまで事前情報しか伝えられない。 


 何せ、ダッダラビットレベルのモンスターはこの界隈にはいないのだ。


 それを計算してファイは、リョージにクエストを発注していたのだから


 よく分かっているのだ。


「…リョージさん、無理はなさらないでくださいね」


「はい…ありがとうございます」


 リョージの決意は固い。


 ダッダラビットの数がこれほど多くなければ、


 リョージが責任を感じていなければ、など考えても仕方がないのだ。


「途中でサポートに入るかもしれませんが…」


 ファイは、ファイにしては相当妥協している。


 本当は、リョージの手を煩わせるくらいなら自分が、という気持ちがある。


 でも、それではリョージの気が済まないとファイは分かっている。


 それを、止めることはできなくても、


 共にあることはできるのだ。


 そんなファイの気持ちに、リョージも答えていた。


「はい…、難しそうなら助けてください」


「もちろんです」


 リョージも、本当はファイが自ら出て行った方が話は早く済むことを分かっていた。


 でも、ここで自分がやらなければという思いは自分でもどうにもならない。


 それが、浅慮だとか、わがままだとか。


 そういうことも、リョージは気付いてはいたが、


 今のリョージにとってはこれが精いっぱいで、理屈ではないのである。


 

 そんなリョージを受け入れているファイ、そしてリョージの行動が正しいのかどうか。


 そういうことは、当人が実際にやってみなければ誰も本当のところでは分かっていないのかもしれない。


「じゃあ、行きます」 

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