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知りたくなかった話

 リョージとファイは、ダッダラビットたちに気づかれないよう


 一定の距離を取りつつ後を追っていた。


 リョージは、手元の籠がガタガタと揺れているのに気づく。


「あれ? ピッチちゃん、どうした?」


 中を覗くと、ピッチちゃんが縮こまって震えているのに気づいた。


「ドルーナにとって、ダッダは天敵ですからね。


 恐ろしいのでしょう」


「そうなんですか?」


「ドルーナは、ダッダが発生すると大抵捕食されます」


「え」


 生々しい話に顔色を悪くするリョージ。


 それを見て慌てるファイ。


「あ、でもそれで増えすぎたドルーナの数が調整されてですね、


 生態系のバランスが保たれているのですよ」


「そう、なんですか…」


 自然の力とはいえ、何とも言えなくなるリョージ。

 

 けれど、これでドルーナと強羅ラビットの生息地が重なっていた理由が分かった気がする。


「ですが、この時期に、しかもあんなにたくさんの数が一度に発生するのは少しおかしいですね」


 そう言って考え込むファイ。


 それを見て、リョージは何気なく疑問に思ったことを聞いてみた。


「あの…、ちなみに、その、ダッダラビットが発生する条件?って何なんですか」


 何かヒントが得られないかと思ってそう聞いたのだけど。


 ファイの言葉にリョージはドキリとすることになる。


「ああ、そうですね。強羅ラビットの繁殖の時期と、実りの時期が重なったとき、と言われていますね」


「実り…」


「はい、今は確か強羅の繁殖可能な時期ではあると思うのですが、


 実りの時期ではないのです。ですから、おかしいのですが…」


 ファイの話を聞いていて、リョージは一つの可能性を考えていた。


 実り…木の実…果実…たくさん食べる…


「あ…あの」


「はい?」


「ということは、もしかして、強羅が繁殖可能な時期に、


 その、木の実とか果実とかをたくさん食べると、


 ダッダラビットが発生するってこと…ですか?」


 内心違っていてくれと思って聞いたリョージだったが。


「はい、そういうことだと思います」


 即座に返ってきた言葉に、リョージが背筋を嫌な汗が流れたのだった。

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