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 リョージがのんきなドルーナと戯れていると、ふとファイが言った。


「あ」


「え?」


 ファイらしからぬ言葉に、リョージは顔を上げる。


「ファイさん?」


「あれは…」


 ファイの視線の先を辿ってみたリョージ。


 そこには、何かがいるようだが…。


「ファイさん、あれは…」


 リョージは、ときどき街の外に出ることがある。


 そういうとき、モンスターにも出くわすことはある。


 この辺りは、もう街にも近かったしリョージもよく知っている場所のはずなのだが。


 リョージは、そこにいたモンスターを見たことが無かった。



「おかしいですね…。ダッダラビットがいるなんて…」


「ファイさん?」


「ああ、リョージさん、ダッダラビットは初めてですか?」


「は、はい…」


「そうですね、ダッダラビットはある周期にならないと発生しないのです。

 

 リョージさんがこちらにいらしてからは、現れていなかったはずですから


 ご存じないのも当然です」


「はあ…」


 まだそのダッダラビットとかいうやつとは、だいぶ距離がある。


 向こうは気付いていないだろうし、リョージもぼんやりとしか見えていない。


 だから、いまいちピンと来ていなかったのだ。


「ファイさん…?」


「ああ、それでですね。ダッダラビットは、強羅ラビットから発生するのですよ」


「え」


 ここで、急に耳慣れた名前が出てきたのでリョージは意外に思う。


「強羅、ですか?」


「はい、強羅がある条件を満たすと発生するのがダッダラビットなのです」


「そう、なんですか?」



 ここで、ファイは少し真剣な顔をして言う。


「リョージさんは、こちらで待っていてください」


「え?」


 意外な言葉に、リョージは思わず声を上げる。


「ファイさん?」


「…このままだと、ダッダラビットは街へと向かうでしょう。


 通常ダッダラビットへの備えは周期の上でしかなされていないはず。


 恐らくこのままいくと被害が及びます」


「そんな…」


「リョージさん、これはギルド職員である私の仕事です。


 リョージさんがいらしても、これはクエストではないので報酬も出ませんし…」


 ファイがそこまで言ったところで、リョージは声を上げた。


「ファイさん、俺のクエストはこいつを飼い主のところまで届けることです」


「リョージさん?」


「…あいつらがいたら、俺、街まで帰れません」


 そこで、ようやくリョージのいわんとしていることが分かったファイ。


「で、でも、リョージさんの手を煩わせるわけには…」


「ファイさん、ファイさんは俺を助けてくれたじゃないですか。


 だったら、俺にも手伝わせてくださいよ」


「…リョージさん」


「俺、ダッダラビットのことよく知らないので、教えてもらわないといけませんけど…」


 気まずそうにそう言うリョージを見て、ファイはようやく決心する。


「…分かりました。共に殲滅しましょう」


「はいっ」

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