お馴染みの
「よし、行くぞ…」
俺は、しなる枝にモススパイダーの糸を括り付ける。
その先には、メタリックイエローのタルグルを結びつけた。
タルグルの蓋の部分にかからないように気をつけながら結ぶ。
そこが開かなければ、あのキシャーが外に出で仕事をしてくれないだろうからだ。
つるつるした殻に糸を何重にも巻き付ける。
だって、しっかり結ばないと糸が外れてタルグルが流れてしまいそうだと思ったんだ。
「よしできた…」
白い糸の塊が、なんだか帽子を被っているみたいに見えるが、まあいいだろう。
「じゃあ、いきますっ」
リョージは、竿を振りかぶった。
そして、川へとむかってタルグルを放る。
「せいっ」
シュルシュルと伸びていく糸。
そして、川の中ほどにタルグルは着水した。
「やった、できましたっ」
「はい、いいですね」
やったぜ、ファイさんのお墨付きももらった。
ファイさんのときと同じように、
やがて一度水の中に沈んだタルグルがぷかりと浮かんできた。
こう見ると、前世の釣りの浮きみたいだ。
そして、その下から白っぽいうねうねが這い出して来るのが見えた。
「出たっ、キシャー」
お馴染みのキシャーの登場に俺のテンションは否応なしに上がる。
「きしゃー?」
ファイさんは何のことだか分かっていないようだが、
説明するのも難しいのでまあいいだろう。