でんでん
巨大な蜘蛛型モンスターとの攻防?で糸を手に入れたリョージとファイ。
「さて、次は餌ですね」
「はい」
リョージは、河原の石をひっくり返す。
こういう湿った石の裏には、線虫がいる。
その線虫を餌にするといいというのは、前世の友達から教わった方法だ。
「? リョージさん、こっちですよ」
しかし、ファイが指さしたのは茂みがある方角だった。
リョージは、ああ、湿った土にいるミミズの方を狙うのかと思ってついていく。
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茂みの中には、背の低い木が生えていた。
ハート形の葉っぱが特徴的な木である。
その木の周りを、ファイは何かを探すように歩き回る。
「あっ、いましたね」
やがて、何かを見つけたのか、ファイはちょいちょいとリョージを手招きする。
「リョージさんっ、こちらです」
リョージは首を傾げつつも、ファイの方へと歩いていく。
しっとりと濡れた土を踏みしめ、ファイがいる木の裏へとたどり着いた。
「あ・・・これは・・・」
リョージはそれを見てデジャブを覚えた。
前世の記憶にあるその形と寸分違わぬ形状。
「・・・かたつむり・・・」
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かたつむりと言えど、その形状が一緒と言えど、違う点はある。
「きれいだな・・・」
かたつむりの殻は、ピカピカと光っていた。
よく見ると、木のいたるところに光が見える。
赤や黄色、青にピンクと様々に光っているかたつむりたち。
「これを使うと魚がかかりやすいそうです」
「そうなんですか・・・」
リョージは、メタリックに光るボディを見て思った。
カタツムリで釣りをするというのは、あまり想像できないが、
まあ、ルアーだと思えばおかしくないのかな、と。
「では、いくつかとったら行きましょうか」
「はい」
こうしてリョージとファイはしばらく虫取りを楽しんだ後、
再び河原へと移動したのだった。