私と2人目
私は性的な意味でかなりマセていた。
私のファーストキスは確かに力丸だったが、小学6年生にして既に3人とキスをしていた。
一人は力丸。
力丸とは恋愛的な意味はなく、ただの興味や遊びのひとつだった。
他の2人はちがう。
大人にはバレてはいけない、いやらしい行為なんだということが分かっていた。
二人目はまーちゃんだ。
まーちゃんは幼稚園の頃の友達で、家に遊びに行っては戦隊モノごっこをしていた。
小学校に入ってからも、たまに遊んでいた。
まーちゃんの家は学区が違って、学校は別だった。お父さんが経営するビルの一室が家になっていて、いかにもお金持ちといった感じだった。小学校5年になった夏、そろばん塾の帰りにまーちゃんの家に行って、一緒にゲームをしていた。
まーちゃんには高校生のお兄ちゃんがいて、
ゲームをしているときに、
「最近お兄ちゃんの部屋からエッチな本を盗んで隠している」という秘密を聞いた。
4つ下の弟しかいない私は、そんなもの見たこともなく、興味津々でまーちゃんに本の話を聞いた。
盗んだ本をペラペラとめくりながら、まーちゃんが言った。
「お前、キスしたことある?」
「え、、、あると言えばあるかも。」
「え?まじ?どんなやつ?」
「どんなやつ?って、どういう意味?」
「キスの種類じゃん。」
「種類?キスに種類があるの?」
「あるだろ、軽いやつと、そうじゃないやつ。」
「え、そうなの?よくわかんない。」
「誰と?同じ学校の男子?好きなの?」
「違うよ!ママの友達の子と、、、。
クラスの男子なんて、バカみたいな奴ばかりだもん!したっていっても、遊んでる時軽くちゅってしただけ!」
「ふーん、、、」
「男子なんて私を変なあだ名で呼ぶし。好きとかあり得ないし。」
「俺は?」
「まーちゃんは、、、別に。
優しいし、遊んでても楽しいし、他の男子よりかっこいいと思うけど、、、。」
「じゃあ、キスしても嫌じゃないんだ?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「なんで?」
「どうしても!」と、言ってる最中にされて、
「目を閉じて少し口をあけて」と言われて言う通りにした。
生暖かいものが口の中に入ってきて、唇の周りが唾液でびしょびしょになる。
想像していなかった出来事に、呆然となりながら、割と冷静に考えていた。
いま、なんだかとてもいやらしくて、いけないことをしているなあ。
いっこうにやめる気配がないけど、これはいつまで続くんだろう。口の周りがびしょびしょで気持ち悪いな、、、終わったら拭いてもいいものなんだろうか、、、などなど。
そんなことを虚ろに考えながら受け入れた。
小学校5年生なので、付き合うとかそういう概念はまだなく、それにそれ以上の知識もないので、その後も何度もまーちゃんの部屋でただただキスをした。
雪の中の遊びとは違って、毎回ドキドキしていた。力丸と同じで、まーちゃんに対して恋愛的な感情はあまりなかったが、とにかくその行為自体にドキドキしていたのだ。
何時ものように、まーちゃんの部屋で長いキスをしている時に、突然まーちゃんのお兄ちゃんが部屋に入ってきた。
多分、見られたであろう。
お兄ちゃんは一瞬固まっていたが、すぐに俺の本返せ!と言って、盗んだ本を持って出て行った。
私は死にたい位に恥ずかしくなり、真っ赤になった。顔から火が出るとは、きっとこういう事なのだろう。
お兄ちゃんがいなくなったあと、まーちゃんはまたしようとしてきたが、私はすぐに部屋を出て、家に帰った。
まーちゃんの家に行ったのは、この日が最後、まーちゃんとのキスもこの日が最後になった。