ママとニキビ男
ママとパパの出会いはナンパだったらしい。
ママが生まれたのは北海道の富良野。
富良野には小学5年生までしかいなかった。
ママのお父さん、つまり私のおじいちゃんは国鉄で汽車の運転手をしていた。
戦争で空襲警報がなったとき、同僚と汽車の下に潜って身を守ったらしい。
おじいちゃんは、ママが6年生になる前に国鉄を退職し、釧路という町に家族で引越した。退職金でカメラ店をひらいたのだ。
だからママが成人式を迎えたのも釧路で、ここでパパと出会った。
成人式の日、ママは幹子さんと2人で釧路の中で一番栄えている町の大通りを歩いていた。
ママも幹子さんも慣れない振袖で家まで帰る途中で、正直クタクタだったところに、ゆっくりと車がとまった。シビックの助手席から声をかけた、それがパパだ。
ママは、パパもパパの友達も、幹子さん狙いだったと言っていた。幹子さんは子供の私からみても美人だ。どの友達のお母さんよりも、美人で可愛らしい。
意気投合した4人はダンスホール(今で言うところのクラブ)で夜中まで遊んだあと、パパの友達の家で飲み直そうということになった。パパ達が幹子さん狙いだったように、ママ達もパパではなく、パパの友達狙いだった。
当然、狙われた者同士の幹子さんとパパの友達がペアになる。ママもパパも不本意ながら仲良くするしかない。
パパはママの2年年上で、当時22歳だったが、思春期のようにニキビが沢山あった。
正直ママのタイプではなかったそうだ。
幹子さんはお酒が大好きで、どちらかというと酒癖はいい方ではない。
ベロンベロンに酔っ払って、騒いで笑って泣いて、、、という感じ。
逆にママは一滴も飲めない。奈良漬けでさえ足の先まで真っ赤になってしまうほどだ。
そんなわけで、いいだけ騒いだ幹子さんは、パパの友達と一緒にベッドで寝てしまった。
残されたのは、酔っ払いのパパと一滴も飲んでいないママだけ。
パパはママの顔を見て、
「さて、僕たちも寝よう!」と、おもむろに布団を敷きだした。
「冗談じゃない!なんで私が今日あったばかりのあんたと!」
「大丈夫、大丈夫、何もしないから、、」
という押し問答の結果、最終的には2人で寝たらしい。
ママは布団の真ん中に指で線を引き、
「いい!?ここから少しでもはみ出したら殴るからね!」と言って寝た。と私に教えてくれたが、本当のところは分からない。
だけどこの時パパが頑張ったおかげでお付き合いがスタートした。
おかげで、私と弟が生まれた。
そう考えると、酔っ払いの幹子さんにも感謝をした方がいいのかもしれない。
幹子さんはというと、パパの友達はあっさり振られて、そのあとパパの更に先輩のすごいイケメンの力さんと結婚をする。
力丸は、可愛い幹子さんとイケメンの力さんに似て、びっくりするくらいイケメンに成長した。
私は、パパに似て思春期ニキビが悩み。