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私のママ  作者: 小梅
3/6

ママと幹子(みきこ)さん

ママには幹子さんという親友がいた。


私の幼馴染に力丸(りきまる)っていう1学年下の男の子がいて、その力丸のママが、幹子さんといった。

ママと幹子さんは、中学と高校の同級生で、昔からの親友なんだって。

だから子供の頃から家族ぐるみでお付き合いがあって、力丸と私も仲が良かった。


力丸の家は、北海道の中でもかなり田舎で、有名なスキー場が沢山ある町だったから、冬になると雪で家の一階部分はほとんど埋まってしまう。

北海道に住んでいたら、割と想像できる状況だけど、雪が降らない土地の人からしたら嘘だと思うだろうな。

朝起きたら、雪が積もりすぎて、玄関のドアが空かなくなったりするのだ。

私は特に冬に遊びに行くのが楽しみだった。

力丸とは、二階の窓から下の雪に向かって飛び降りる遊びをよくやった。

足跡もなにもない真っ白な雪の中に、手をつないで飛び降りる。

足で窓の枠を思いっきり踏み切って一気にジャンプする。

水に飛び込むのとは全然違う。

パウダースノーがフワっと、バフっと、全身を受け止めてくれる、あのなんとも言えない感じ。

雪が柔らかくてフワフワだから、着地した後は頭まですっぽり雪の中。

2人でもがいて雪の上に顔を出したときには、頭も顔も雪まみれ。

そんなお互いの顔をみて、涙が出るほど笑うのだ。


幹子さんとママは、私と力丸が写っている同じ写真を一枚ずつ持っていた。

それは私が4歳の時。

手に持ったタンポポの綿毛に夢中な私。

そのほっぺに、力丸がチューをしている写真だった。嘘みたいに出来過ぎた写真だ。

あまりに可愛すぎるし、まるでポストカードみたい。

何かあるたびに、私と力丸は、その写真でからかわれた。

「ももちゃんのファーストキスは、力丸なんだよ。それはそれは可愛かった。」

遊びに行くたびにその話がでた。

そんなこと言われても、全く覚えていないし、毎回同じ事を言われるのも、反応に困る。

力丸は毎回聞いてないフリをしていた。


確かに私のファーストキスは力丸かもしれない。記憶に残っていて、自分の意思でしたのは確かにこのときで私は4年生だった。

雪まみれになって、時々雪を食べたり、お互いの顔の雪を払ったりなんかして。

最初にチュってしたのは力丸だったけど、私からも何回かした。

周りには何にもなくて、誰もいない雪の中。恋ではないけれど、大人には言えない遊びを雪の中でしていたのだ。


ママと幹子さんの話を聞いてないフリをしている力丸と、目が合う。

そして力泰はニヤっと笑う。

私ってやらしい人間なんだろうか。

どんな人もキスって気持ちいいんだろうか。

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