発動カセミカ計画その7 自宅出撃編
「それじゃ、今度はこっちの質問に答えてもらうぞ」
俺のその言葉に女科学者が返す
「いいだろう。言ってみろ。ガラクタが」
ようやく長かった一日に、黄昏が近づきつつあった
そして数分後
カセミカ計画その全てを聞いた俺は、驚愕した
「これが「カセミカ計画」の正体だと、そんな事をして一体なんになる、誰がとくをするんだ。狂ってる」
その余りの、バカバカしさに、そんなセリフを言ったとか言わなかったとか
「春美ちゃんは私の知るかぎり、最も天才で最もいらん事しいな子なのよ」
「母さんいらん事しいって、これは度が過ぎるって」
そんなこんなで
悪の科学者の名前が春美ちゃんであることが判明した事はおいといて、俺はこれからその春美、もとい女科学者の自宅へと向かう
「じゃあねー正月君」
「正月、行ってらっしゃい」
「さっさと行け。くずが、間に合わなくても知らんぞ」
千途と母さん、そして何故か女科学者こと春美に見送られて、俺はこれからその女科学者の自宅へと向かう
少し話を戻そう
それは夕暮れ前の出来事だ
「それじゃ、今度はこっちの質問に答えてもらうぞ」
「いいだろう。言ってみろ。ガラクタが」
その時、家の中から声が響いた
それは母さんの声だ
「私お茶ならあつ-い創賢日茶がいい買ってきて-」
「はっ!ただちに」
「やっぱパシリじゃねぇか、て言うか母さん絶対キャラかわってる。なにそのジャイアンな感じ」
話の流れからすぐさまお茶を買いに走るのかと思いきや科学者の女は広間の窓の方向を見てあの青年の名を呼んだ
「おいツイタチ!なにをしている?」
「現状報告か?現在、見てのとおり窓拭き中だ」
「風呂掃除はどうした?」
「終わった。とても頑張ったことを付け加える」
「付け加えなくていい」
「了解した」
気がつくと俺たちのすぐ側、大きな窓ガラスの向こう側で、その窓を拭いている
風呂掃除後だからだろうか?窓拭きをしているツイタチは、頭にタオルを巻いてゴム手袋にエプロンまで付けていた
その姿を見ながら、女科学者が言う
「窓拭きはもういい。そもそも何止めの窓拭きだ?」
「窓は汚れが目立ちやすいと判断し重点的に清掃している。この窓に関しては5回目の途中となる」
「やめろ、いつか割れる」
まったくもってそのとおりだ。「やめて、窓の体力はもうゼロよ」とでも言っていい状態だろう
なにせ窓枠は固定されているのに、風が吹くたびに窓ガラスだけがカタカタと動いている。まぁいいかただで掃除してもらっているのだ文句は言うまい
そんな中、手を止めたツイタチが窓を開けて無表情で返答した
「現在の装備と、配置物を動かさないという縛りでは、清掃行動並び清掃範囲に限界があることを示唆する」
「うるさい。文句を言うな」
「了解した窓拭きを除く清掃行動をピックアップし、強度が高いものから順に再清掃を行う」
強度って、掃除でそんなの気にして順番きめる奴なんて初めて見たぞ
「いや、もう掃除は十分だと思うぞ」
ツイタチ越しに窓と家の中を見た俺が言う。家の中もそうだったが、庭も窓もきれいなものだ
もともと母さんが掃除していたし、その上でツイタチが手際よく掃除した
まるで大掃除の後のようだ
「お疲れさん。もう休んでくれ」
いちおう目の前で、汗水たらして?いや、汗なんてかかないか機械だし、ただ無表情で頑張ってくれていた、このツイタチを気づかって言ったつもりなんだが……
返答は予想通りだった
「否定する。掃除せよと言うマスターからの命令は、まだ取り消されておらず。繰り返し掃除することは、清潔さを保つためには必要不可欠であり」
まぁ、そうなるか
「それよりもだツイタチ、聞いていただろ。特定の飲料物の購入、お前が行って買ってこい」
「は、命令を受諾した。清掃命令をここに終了し、これより特定の飲料物の獲得任務に入る」
これまで話しが通じるというか、あるていど命令を聞いてくれるアンドロイドと話していたので感覚が麻痺していたが、アンドロイドとの会話は人間相手のようにはいかない
とくに命令権限がなければ、どんなことを言っても突っぱねられる
ツイタチは優秀だが思考はやはりアンドロイドのそれなのだ。命令権限がない俺にはしたがわない
だから命令で行われている行動、この場合「掃除」を変えることは出来ない
ハツカたち3体に対してもおなじだろう。根本的な部分は俺の意見で変わらないはずだ
島津 賢郎に会わせる。あとは「カセミカ」計画がらみか
少なからず俺は警戒していた。ハツカたち3体が何かしらの命令実行のために強引な手段に出る可能性を、だからできるかぎり否定はしないよう動いてきた
現時点で俺の考えは杞憂だったといえる
実際、命令が「カセミカ計画阻止」であるなら、命令実行のために俺の存在を巻き込む?そこには必然性がない
俺は計画に関与どころか、知りもしない存在だ
それにこの世界、大抵の行動は暴力と金でかたがつく。優秀なアンドロイドを所有する者にそれがないとは思えない
その上で俺を巻き込むというのだから、意味が分からない。いい迷惑だ
意味が分からないのは命令権限、これもだ
命令権限を考えるなら、ハツカたち3体に対しての命令権限を少なからず俺は有しているのだと思う
あの3体のAIが特殊とはいえ俺の言うことを聞きすぎている節はあった
どれほどの権限を有してるかは知らないが、俺を特定の場所に案内したいだけなら本来必要はないはずだ
つくづく分からない島津 賢郎ってやつは何を考えてるんだか
そんな時、俺の頭に浮かんだのは目玉がクリクリの猿だった
あぁそうか、猿か、猿なら仕方ない
意味のない納得をしてみる
そんなことを考えている目の前で、話は進んでいた
「目的の飲料物をあつ-い創賢日茶のみと定めるが、変更はないか?」
「それでかまわん。それで目的物の特定は可能か?」
「店員や周辺の人間に聞くことで100パーセントに近い特定が可能と判断する」
「よし、すぐに行ってこい」
なんて言うか、アレみたいだよな、この二人って、一人っ子の俺には分からないが
「作戦は理解している。ただ、作戦実行のため必要経費とし金銭200円を要求したい。もしくは日雇いアルバイト実行の許可を、後者の場合は任務の成功確率が極端に低下するほか、目標達成までの時間がいちじるしく超過する事を伝える」
「ほら200円だ」
懐から出したがま口サイフから200円をつまみ、窓から手を伸ばす青年に渡した
「つり銭の返却が作戦に組み込まれていないことを示唆する」
「いらんお前が管理しろ」
「了解した自宅帰還後、豚さん貯金箱へ投入することを検討する」
「さっさと行け」
「了解した」
なんて言うか微笑ましい。そう、姉弟のようだ
こうして見ると二人は、歳のやや離れた姉と弟
この姉にイジメられすぎてか?こんな姉をもった反動か?悲しいくらい素直になってしまった弟、そんな感じだ
「任務の属性をかんがみ最短の場所で購入後全力をもって急ぎ帰還する。それでは作戦行動にうつる」
そう言って青年は金銭200円を握りしめて猛烈な勢いで家を飛び出していった
もちろん、あのいでたちのままでだ
「優秀なパシリだね。まぁツイタチさんに不満とかなさそうだからいいのかな」
やや俺と別の感想を述べたのは千途、彼女は気がつくと急に現れ俺の隣に立っていた
「!千途お前今までどこに」
「うん?私はまずツイタチさんが暴れた場所の後片付けして、ハツカちんにちょっと相談とか受けてて」
あぁそう言や、ハツカも見てないな。今更そんなことを思う
「で、ハツカちんはその後、他のアンドロイドさん達とあのお猿さん、正月のひいおじいちゃんの所に行ったよ」
「言いなおさなくていい、あんなもんサルでいい猿で」
猿のことはどうでもいいとして、ハツカの相談か・・・・・・
少し興味は出たが、千途は俺のそんな気持ちなどお構いなしで、いつもどおりに話を続けていた
「それにしても凄かったよ。ハツカちゃんとツイタチさんのバトル」
「そっか、よかったな」
「場所が夕日の見える河原なら、スーパー友情成立フラグだったよ」
「なんだそれ」
「王道バトルモノだよ」
どうでもいい。俺には興味のない話だ
勝手に健闘でも称え合ってくれ
「あぁ女よ悪かったな、こちらが荒らした場所の掃除に手を貸してもらって」
「いいえ、別に何か壊したって訳じゃないみたいですし、何か探してたんじゃないですか?見つかりました?」
「それが私の研究所から盗まれた家計簿デ-タなのだが、どこにもない」
「連中が盗んだデ-タって家計簿かよ」
思わず言ってしまった。変な奴に囲まれたせいでツッコミがなかば癖のようになってしまっている重症だ
「あれ?ちょっと待てよ、俺はその家計簿を見たってだけで消されそうになったって事か?やりすぎだろ」
「私はわかるなぁ家計簿って何買ったかってまる分かりで以外に見られて恥ずかしいんだよ」
「だからって人を」
まぁじっさい物を盗んだのは事実なわけだし、彼女もツイタチには実行犯とその協力者の拘束までしか命令してなかったわけだから、やりすぎという事はないのか
それよりも問題は一つだ
「ほう、やはり貴様なにか知っているのだな強奪犯どものグルか、ゴキブリが」
凄い目つきで睨まれた。そう問題は俺もかかわっていると思われているということ、それにつきる
「なんで俺が、俺は被害者だぞ」
「それに貴様あのアンドロイド共とどうゆう関係だ、ケジラミが」
「言ってるだろただ巻き込まれてるだけだって、つ-かさっきから俺の時だけ語尾になにか付けないとダメか?」
ガラクタとか、ゴキブリとか、実際ボディブローのようにジワジワと効くぞ、これ
「俺はアンタに、そこまで嫌われる覚えはないんだけど」
「あれ?でも敵対関係なんだし嫌われるのは仕方ないんじゃないの?」
「敵対関係?名に言ってんだ千途」
「それはこっちのセリフだよ。正月は悪の科学者を倒して世界を救うんじゃなかったっけ?」
それを言われてハッと思い出す。
古い話でもう忘れていた。多くの者の記憶の中でも風化していただろう話を、千途があっさり掘り起こした
「ほう?私自身は悪の科学者を自称したことはないが一応肯定はした身、捨ておけんなぁ倒すとは一体どうゆうことだ?ノミが」
話の流れ上、俺に視線が集まる
俺は考えをめぐらせる。そもそもここには、急に現れた女科学者である目の前の彼女と話をするために戻ってきたはずだ
母さんと彼女との関係や、思いもしない状況の変化で忘れていたが、話し合うにはいい機会だろう
「あーすまん、みんな落ち着いてくれ」
「大丈夫だよ。みんな落ち着いてるよ。それより日も落ちてきたし中に入ろうよ」
「先輩、お茶ですが、まだしばらくかかるかと」
「いーわよ。言ってみただけだものー」
興味なしか、そうか、興味まったくなしか
そう思いつつ、俺も家へと入る
リビングには、俺と千途と女科学者の3人がいる。母さんはというと電話がかかってきてルンルン気分で自室へと入っていった
あの反応は間違いなく父さんからの電話だ
俺たちはちょうど、そんな母さんを見送ったところだ
「あの二人は、相変わらずか」
女科学者はボソッとそんなことを言う
母さんは外で働いたことはないと言っていた。なら先輩後輩という間柄を作るなら必然的に学生時代だろう
母さんと彼女は学生時代からの関係、そこに父さんもいた
少し興味はあるが、今は本題となる話がしたい
今日ずっと俺を振り回した連中が、口にしてきた言葉
カセミカ計画
「なぁ話し、始めていいか?」
「言ってみろ聞いてやる。先輩が戻ってくるまで暇だからな。このババコンガが」
ババコンガときたか、もう何でもありだな
「あー、俺はあのアンドロイドどもとは今日会った。さらに言えばアンタの家で悪事を働いた2体については、アンタと会ったあの時が初対面だ。そうだよな千途」
「うーん、私に言われても正月君の行動すべて知ってるわけじゃないからなー。ほら、お風呂とかトイレとかストーキングしにくい場所もあるし」
「よし、お前に振った俺が馬鹿だった」
謎キャラどころかとんだ危険人物であることが判明した千途
言うに事欠いて、お風呂とかトイレとかストーキングしにくいときたものだ
できないではなく、しにくいだ。こんなに怖い言葉はない
「お前たちの関係は別にいい。さっきの話も信じよう、でなんだ?はき捨てたられたガムが」
あれって、拾って食うとヒットポイント回復するんだよな。そんな小技は置いといて本題だ
「そうだな、その上でアンドロイドどもは俺に言ったんだ。カセミカ計画ってのを潰してくっれって。俺の現状は、まぁそんな感じだ」
実際、アンドロイドに振り回されただけの一日だった気がする
「カセミカ計画阻止か、それなら今も私の研究所で人工知能が最終段階の調整を行っている明日の朝には発動するはずだ残念だったなぁ、ダニが」
「それはいいんだがもっと根本的な質問がある。聞いていいか先生」
「ほう、なんだ言ってみろ。あと先生と言うな、フケが」
「カセミカ計画ってなに?」
「それってさ、読んで字の如くじゃないの?私は初めからそう思ってたけど」
「ん?」
また千途が変なことを言っている
初めからそう思ってた?千途はいつどのタイミングで「カセミカ計画」を聞いた?
今の俺の言葉が初聞きなら「思ってた?」はおかしいよな
俺がいない間にアンドロイドの誰かか、この目の前の計画立案者に聞いていたのか?そう言えば俺といない間ハツカといたと言っていたか
「なぁ千途、呼んで字のごとくってのはどういう意味だ?」
「つまりー」
彼女は紙とペンをポケットから取り出すと、カキカキトとそこにペンを走らせる
そして、出来上がったそれを俺に見せた
「つまり、こういうことだよ」
そこには漢字で「蚊。蝉化」と書かれていた。
「蚊はモスキートの「か」で「せみ」はアブラゼミとかのセミだと思う。で、最後のカは化けるって書いて、で」
「そう「蚊。セミ化」計画だ」
「嫌な響きだ。で、具体的に何だそれは?」
「だから読んで字の如くだ。遺伝子いじくって蚊をセミの様にしてしまおうという計画だ。ロクデナシが」
よく分からない。そもそもその二つは違いすぎる
「……理解しかねる」
「ほう?分からないか?蚊みたいにブンブンとそこら中に小さなセミが飛んでるのだ。手で叩いても固いから死なないうえに、そこら中でジ-ジ-と鳴くし生き物に近づいてきて血を吸おうとするし、振り払ったら飛び立つ時に小水までかけてくるのだ。想像してみろ最悪だろ。カラスが」
想像してみる……カラスって怖いよな。そうじゃなくて
「これが「カセミカ計画」の正体だと、そんな事をして一体なん・・・・・・」
「ねぇねぇ、なんのためにそんな事するの?」
「ん、なんとなく思いついたからだな」
かぶせられた。まぁいいか、なんとなくノリで言おうとしただけだし
「だってさー正月くん。気分悪い話だよね-」
「あぁ、気分悪いを通り越して、そうなったらホラーだな」
わりと冷めているのは、想像しづらいうえに現実感がないから
さて、どうしたものか・・・・・・
考えていると電話を終えて、母さんがリビングへと戻ってきた
「また変なことしてるんだ。相変わらずね」
「相変わらずなんですか?」
「そうよー、昔からこうだもの」
「やめてください先輩」
母さんに言われて、少し照れている様子の女科学者。いや褒めてないと思うぞ
「春美ちゃんは私の知るかぎり、最も天才で、最もいらん事しいな子なのよ」
「先輩、照れます」
だから褒めてない、ん?
「今回のそれだって、思いついてもできないわよ」
えっ?もしかして、本当に褒めてるの母さん?
賢郎ってじいさんや父さんのことを知ってる母さんが、彼女を最も天才と言った気がした
天才か・・・・・・
「母さんいらん事しいってさ、これは度が過ぎるって」
「度が過ぎる?それくらいでこそやる意味があるとゆうものだ。分からんか?財布にたまった大量の5円玉が」
本当やっぱりコイツ、ただのいらん事しいだ。そう思った
あと財布に大量に5円玉がたまると、ひたすらに邪魔だ。そう思った
「えっと、じゃあ世界を救うために悪の科学者と戦う立場にいる正月くんは、どうすればいいのかな?」
そうか、そんな立場にいるのか俺
「ふむ、止めたければ止めに行ってもいいぞ。自宅の鍵と地図くらい用意してやろう。デブリが」
「自宅の?それって春美さんの自宅ですか?もしかして開くプールとか、割れるバリアとか」
「いや自宅兼研究所といったところだが、見た目は普通の家だ」
「そうですか、変形したり、空飛んだり、横から飛んできた新幹線と組み合わさっての合体変形も」
「あぁ、風崎という表札のかかってる本当にふつーの家だ。普通すぎはするが、あれだ、まぁ地図を頼りにいけば見つけられるだろうさ」
千途の勢いの前で、普通を強調したな
「で、どうする?行く気はあるか、当然セキュリティーくらいはあるぞ。ドブネズミが」
「つまり、行くなら俺に一人で行けと?」
「あたりまえだ。私には先輩の世話があるからな。ヘボが」
「だって、春美ちゃん私といたいみたい。頑張ってね正月」
「まぁ、母さんに来てほしいとは思ってないけど」
「私も足手まといになりそうだし、遠慮するよ。頑張ってきてね正月くん」
「え?お前も」
「うん、家で待ってるよ」
「いや、いい時間だし帰れよ」
まさか千途まで残ると言い出すとは、これは予想外だった
別に俺がどうにかしなきゃならない事でもない気がするんだ
実際、アンドロイド連中の話は聞いたが了承した覚えはない。何故なら奴等はカセミカ計画の内容さえ教えてくれなかったわけだし
そんなアンドロイド連中の言うまま計画阻止に動くのは、なんかな・・・・・・でも
周りを見回してみる
どうも空気的に退けない感じなんだよな。行くしかないのか・・・・・・
「わかったよ。行ってくるよ」
実際、このまま今日という一日を終えることはできるだろうが、そうするとふに落ちない感情だけが残る気がする
付き合ってみるか、最後まで
そして俺は、皆に見送られ悪の科学者、ザ・いらんことしいの研究所(自宅)へと向かうことになった訳だ
「見えた、あそこか」
今日一日の紆余曲折が、無駄骨ではなかった証のために、全ての決着をつけるために、なんか虫が、意味のわからない理由で突然変異するのを防ぐために
俺は、何故か俺は・・・・・・
本人から地図をもらって、歩いてみると以外に、いや本当に近かったッ!
「これって、ご近所さんって言っていいよな」
それくらいの距離感。まだ表札は確かめてないが、それでもここなのだろうと確信がもてる
その理由は、簡単だ
「姿が見えないと思ったら、まぁそうだよな」
そこは女科学者が言ってたとおりの本当に普通の一軒家
だがその正面には、いまいち見せ場のない三体のアンドロイドが雁首そろえて立っていた