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発動カセミカ計画その4 自宅集合編

「それがマジなのよ」

 マジって母さん……

 俺は思考を巡らせる。何故こんな事になったのか、この元凶はと探った



 そんなの、考えるまでもない

「ジジイだっ!」

「はっ?」

 俺はグワシッと隣でただ見ているハツカの手から「サル」をもぎ取って母親に見せた

「母さん曾祖父の居所を知ってるなら紹介してくれ!道案内したバカはこの猿を俺の曾祖父だなどと抜かすんだ!」

「あら、ちゃんと会えたんじゃないの、賢郎おじいさん御無沙汰してます」

「は?おじいさん、って」

 母親はごく自然に俺が突き出したサルに頭を下げ挨拶した

「えっ えっ えっ」

「賢郎おじいさんは相変わらず若々しくて可愛らしいから、正月ったら面食らってるわ」

「面食らってるわ、じゃねぇよっ」

 なんとか理性で流されまいと踏みとどまる、このままこの猿を自分の曾祖父と思い込めればどれだけ楽だろうと思いながら

「あら?」

「あら?じゃない!なんでこの白いエテ公が俺と家系図で繋がっているってんだ!」

 ガッと両手で掴んだサルを母親に突き出して叫ぶ

 すると次の瞬間、俺の手の中で猿が 首を180度回して言った

「悪いな正月とやら、これは冗談ではないのだ 私がお前の曾祖」

 それは、やたら渋い声だった

「ギャ--------!ギャッ!ギャァ----!」

 あまりの衝撃的な光景に錯乱した俺は、とっさに手に持った猿を全筋肉をもって締め上げると、天井へ向けて放り投げて軽く跳躍する

「猿が!サルが!さるが!サルガァァァァッッ!!」

 天井にあたって落ちてきたサルの尻尾を空中で掴んで

「サルがしゃーーべぇぇーったぁぁぁぁーーーーーーー!!」

 着地と同時に床にビタンビタンと叩きつけた

「わー格ゲーの大技みたい。超必殺かな?」

「あらあら、本当せわしないわね」

「あらあら、って止めなくていいんですか?博士が、博士が」

 母親の横でオロオロするハツカ、その間も猿は俺の手で壁に床にと叩きつけられる

「まぁ、急に喋られたら驚くよね 私もびっくりしたよ」

「お祖父さんの自業自得かしら」

「そんなぁ」

 辺りが真っ赤に染まった時、ようやく俺は正気に戻り握っていた猿の尻尾を放した

 猿はズルリと壁を赤く染めあげ床へ落ちた

「はぁ はぁ はぁ」

「博士ぇ-」

「あらあら、掃除しないと」

「あっ私も手伝いますよお母さん」

「あら助かるわ千途ちゃん」

 ピクリとも動かなくなった猿に駆け寄ったのはハツカだけで、母親と千途はリビングの方へと消えていった

 俺はと言うと壁に片手をつきもう片手で顔を覆って固まっていた

「博士っ!しっかりして下さい!曾孫さんを殺人者になさるんですか?たった二話で死ぬんですか?しかも冒頭で……セリフたった一言で……渋い声なのに……」

「説明してくれ」

「何をですか?」

 泣いてるのかと思いきや笑顔で振り返る

 こいつはやはり信用できん。そう思いながらハツカの後ろ襟を掴んでズリズリ廊下を滑らせて進み、俺はリビングへ入ると。彼女をソファへと投げ込み、最後に俺もその正面に机を挟んである、もう1つのソファーに座った

「凄いパワーですね。軽量化に次ぐ軽量化の結果、そうとう軽くなってるとは言え。それでも私、一応一般的な人間と同じくらい重いんですよ」

「その猿について話せ」

 俺は今もハツカの腕の中で痛々しいまでに壮絶な最後をとげ、今は討伐終了後のケチャ○チャのように安らかな顔で眠る「猿」を指さして言った

「島津賢郎、正月さんのひいおじいさんです」

「貴方のひいおじいさんよ」

「ひいおじいさんなんだって」

 掃除道具を持ってハツカの後ろを通る母親と千途が笑顔で答えて行った。それはもはや無視だ。事ここに及んでは、この猿は宇宙人ですと言われた方がいい気分だ

「あ--いいだろう、82億6327万4682歩譲ってその猿を俺の親戚だと仮定しよう」

「また随分ゆずりましたね」

「その上でだ。俺とその猿を引き合わせてお前は、俺にどうさせたかったんだ?猿殺しか?」

「いえいえ猿殺しは結果です。死んでませんし、不幸な事故でおいといて」

 おいといてのポ-ズをして猿を膝の上から自分の隣へと移したハツカは立ち上がって拳を握りたからかに断言した

「いまっ世界がっ!ピンチなのです!」

「……ほう、さらに81兆45億2631歩譲ってお前の話を聞こう、続けてくれ」

「はい、助かります」

 ハツカは勢いを無くしてソファに座りなおすと。膝に両手をのせて上目遣いで、やや恥ずかしそうに呟いた

「その悪の化学者がですね、途轍もない計画とか」

「ほうそうきたか、だが俺は心が広い、さらに568兆とんで4歩譲ってお前の話を聞こう。だが累計すると649兆127億6327万7317歩譲っている事になる、これは大変な距離だ。どうでもいい事だがな、続けてくれ」

「はぁ?」

「いいんだ、考えても仕方ない事というのはあるしな、うんある、例えば宇宙が誕生する前はとか色々、あぁ関係なかったな続けてくれ」

「えっと悪の科学者が、世界を大変にする計画を立てていて」

「立てていて俺に何の関係が?おっと、たった今さりげなく68億歩ほど譲ったぞ、だが君は気にしないでいい事だ、これは俺の気が遠くなっているだけの話だ、続けてくれ」

「じゃあ、では本題ですね、正月さんには世界平和の為にこの悪の科学者とたたかっ」

 バンンンッ!!

 凄まじい音をたて俺は立ち上がってハツカとの間にある机を叩いていた。ハツカはビックリして黙り俺はうつむいていて表情は見せない

 数秒間だが静寂がおとずれ先に口を開いたのは俺だった

「あっいや、すまない幻覚が、ちょっと机の上に美味しそうなケ-キがある幻覚が見えたんだ。ついつい両手で潰してしまったよハッハッハッ」

「そうですか、それじゃ話の続きですが正月さんには世界平和の為にたた」

「時に俺はふと思ったんだ」

「はい?」

 俺は意味もなく窓の外を眺めて話す

「ハツカくんはマジン〇-Zと言う話は知ってるかね?」

「いいえ。カイザーなら知ってますが、ガーは知りませんね。それがスーパーロボットの名前だなんて思いもしませんし、鉄の城なんて言われても、まったくもってチンプンカンプンです。お許しくださいドクターヘル」

「そうか」

 言いたいことは色々とあるがスルーしよう。ハツカのツッコミ待ちですよ。みたいな顔が腹立つからだ

「俺も詳しくも知らないんだが確かこんな話だったと思うんだ、悪の科学者が悪の帝国を作ろうといわゆる世界征服を企む訳だ、それ知ったもう一人の科学者が自分の孫に自分の作ったロボットを託す訳だ、ロボットを譲り受けた孫は女友達と一緒に悪の科学者と戦うんだ、で、どう思う?」

「はぁ、どう思うと言われましても」

「とてもじゃないが俺には理解できないんだ、それを踏まえた上で話を続けてくれ」

「はぁ、正月さん世界のためにたたかっ」

「時にハツカくん世界は平和だぞ、人の集まりによって出来た社会を「世界」と呼ぶとしてもだ、おおむね平和だ」

「はぁ、正月さん世界のためにたたか」

「あ-これは、たった今平和な世界に生きる者の決意として言うのだが、例えるなら別の世界にでも行ってその世界が戦争していたとしよう。いやこれは違うな戦争はこの世界でも当然の様に行われている、そう魔王つまり人類ではない確固とした悪だ、その絶対悪が目の前で暴れていたとする、そして俺は剣を渡される訳だ勇者だの英雄の血族だの証があるだの理由はどうでもいい好きなのを選んでくれ、ここで問題なのは状況に流されて戦うかどうかなのだが、俺は戦わない逃げる、それは戦える力があったとしてもだ邪魔な奴だけ殺して逃げる何故ならばそれが俺だ。最低限の幸せで人は生きていけるんだ。これが俺の持論だ」

「はぁ、正月さん世界のためにたたか」

「おっと今の話だが分相応と言う言葉が言いたかった訳だ。人には力が有る無いとは関係なく出来る事と出来ない事があるんだ。使命、宿命、運命、さだめ、因果率、どんな偶然が重なろうとも多分だが俺は平々凡々たる人生を送って死ぬのが決定事項なのだ」

「はぁ、正月さん世界のためにたたか」

「今ふと思ったのだが、世界、この言葉は実に不確定的な物だな。人類が新たに開拓を進めるたびに世界が指す意味は変わっていくが、もともとある「世界」は変わっていないのだ。そう「自然」という意味での世界は壊れていってさえいる、世界の為になどというセリフを恥ずかしげもなく言い殺し合い壊し合いを行う、これ以上の愚行があるだろうか」

「もういいから、世界の為に戦ってあげなよ」

「わっ千途、掃除はっ?!」

「とっくに終わったよ長いんだもの二人の話、聞いてても全然進まないしね」

 振り返った俺の後ろには呆れた顔の千途が立っていた。ため息をついて俺の横に移動してからソファへと座った

「で、具体的に戦うのってどうやって何と?」

「おぉ話が早いです千途さん」

「そりゃ他人事だし」

「お----い」

 確かに、今の流れでは進展はなかった。

 進展しない事が問題だ

「はぁ、分かった聞こう」

「そう言ってもらえると助かります。ではですねカセミカ」

 ぴ--ん ぽ---ん

 ハツカが話しかけた時。家の呼び鈴が鳴らされた。皆が玄関のほうを意味もなく見る

「客か?あれ千途、母さんは」

「買い物だってさ出かけたよ」

「ちっ」

 仕方なく俺が玄関へ行こうと立ち上がると同時にハツカがパチンと両手を合わせて手を叩いた。今度は皆がそちらを見る。俺と千途の視線が集まった時ハツカは言った

「これはもしかすると私のお姉さん達かも知れません」

「はぁ?」

「お姉さんです」

 開けられた扉、玄関に立つ俺と千途とハツカの三人の前には、二人の女性が向かい合わせで立ち、二人組みのうちの一人が深々と頭を下げた

「お初お目にかかりますわ私、七月ひちがつ七日なのかと申しますわ」

五月ごがつ五日いつかだ!よろしくな」

 二人組みは、ハツカと同じ服装で眼鏡におさげの青髪のナノカ(ですわ語で話したほう)と、外へはねたショ-トカットの赤い髪のイツカ(やや馴れ馴れしいほう)と名乗った

 もはや言うまでもないが

「……明らかにお前の知り合いだな」

「はいお姉さん達です。お姉さん達、首尾はどうですか?」

「抜かりなくですわ」

「まっ、ちょっと遅くなっちまったがどうだそっちは?」

「それが色々ありまして、博士が重体で、でも一応、私が説明して戦ってもらう約束はとりつけました」

「ほぅそれは初耳だな。いったい誰の約束をとりつけたんだ?」

 自慢げにでたらめを並べるハツカの後ろで俺はこの女の頭を拳で挟んでグリグリしていた、本人には効いてないようだったが

「ハハハ」

 離れたところでそれを見て笑ってるのは千途もはや完全に他人事だ。そしてこの状況を見てか見ずか新しく来たアンドロイドの一人、ナノカが笑顔でハツカの両手をとって話を進めた

「それは上出来ですわ。じゃ早速戦ってもらいましょう」

「はぁ?ちょっと待て俺は」

「どうやら敵のお出ましだ来るぞ」

 二人が両端に別れ振り返ると開け放たれた玄関から庭先へ視界が広がる。すると庭に一人の男が立っていた二十代中盤ぐらいの好青年だ。腰の上までの長さの艶のある金髪を無造作にたらした長髪で黒いス-ツを着ていた

「ちょっと待て、あれがその敵か?」

「はいですわ」

 笑顔で肯定される。まぁコイツ等に聞いてもこう答えられるのはわかっていたが

「800億歩ほど譲ってだ、あの兄ちゃんを敵だと仮定しよう。何故に世界レベルで悪さをしようとしている連中の手先が俺の家を訪れるんだ?」

「そりゃ俺達が連中の研究所に入ってメモリ-チップ盗んできたからだ」

「大変な苦労しましたわ、ほんと」

「原因はテメ-等かよ、さっさと出てけ」

「はい今なんとおっしゃいまして?」

「問題を持ってくんなって言ってんだよ!盗んだ物があるならちゃんと返して平謝りしてこいゴタゴタが終わったなら一応家に上げて話は聞いてやる、だが変なバカ科学者の話に俺を巻き込むのは諦めるんだな!」

 そこまで言って玄関の扉を閉めようと俺はノブに手を伸ばす、その時、後ろから声がした

「ほう?変なバカ科学者か、それは聞き捨てならんな、キサマはどこまで聞いたのだ」

「だからデ-タ盗んで来たんだろ。それに俺を巻き込むなって、えっ」

「悪いな邪魔しているぞ」

 聞き覚えのない声に俺は振り返って閉まっていたはずの床の隠し扉が開けられている事に気づく地下室への階段が見え、そしてその階段の前に一人の女性が立っていた

 白髪のポニ-テ-ルで白衣をまとった目つきの悪い女性、歳は30かそこらだろう煙草をくわえて見下すような笑みを浮かべている

「あのデ-タは見られる訳にいかんのでな、悪いがもう既に巻き込まれているぞ少年。それに、もうここは戦場なのだ」

「なんだよ次から次と」

 人の家を勝手に戦場にするなと言いたかったが、もはや状況はかなりやばいらしい

「考える必要など無い、すぐに全て終わるのだからな、ツイタチやってしまえ」

「了解、これよりデ-タの回収を優先とした外敵抹殺行動へ入る」

「えっ、あの男の人もアンドロイドなの」

「えぇ、そうですわよ」

 庭先に立っていた青年がゆっくりこちらへ迫ってくる、明らかに危険だ

「この状況ってなんだよ」

「さっ正月さんでしたわね、ささっと敵を倒して下さいですわ」

「だから、なんでだよ」

「方法とか具体的にわかねぇがパパッとやってくれや」

「無理に決まってんだろ」

「持ち前の勇気とガッツと負けん気で乗り越えて下さい」

「んなもんねぇよ」

「女の子に囲まれて楽しそうだね」

「千途、お前は空気読め」

 ここはあの手しかないのだろう、俺は意を決してその最後の手段に出た



その6でかんけつです

そのあと、らいげつあたまくらいに

どこにでもある日常を、煉獄と読んでみた。

のさいしゅうわと、エピローグを

あげるよていです

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