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夢の中でつかまえて The Catcher in the Lie

 第八幕『夢の中でつかまえて The Catcher in the Lie』


 夢を見る為には眼を瞑らなければならない。闇の中こそ夢の居場所。目を瞑ると星が見える。暗幕の中こそ星の輝く世界。

 今、自分は起きているのだろうか――そんな疑問が何時もした。起きながらにして夢を見ているのではと思った。恐らく、自分は死ぬまでこうなのだろう。「こんなものか」と達観して、だのに何かやり忘れてしまった様に眠るのだ。

 けど、今そんな事どうでもいい。

「俺は今までぼんやり生きてきた。だからこの瞬間だけは本気に成ろう。何時か何もかも思い出になって、忘れてしまう物語だとしても。せめて朝日が昇る、その時までは」

 俺にこんな熱い心が在る何て知らなかったよ。気付かせてくれたのは君だ。ありがとう。

 だから君を倒す。この心意気が偽りにならないために。さあ、今こそ演じよう。自己満足の道化師を。もし見る人が居るのなら、どうか莫迦な俺を笑ってくれ。

「世界が回るスピードより速く、」光の先に常にある暗闇より速く、「飛べ」

「慧一さ……」

 弾丸が俺の頭を撃ち抜いた。頭に狂気が流れ込む。魔法のドラッグが現を犯す。

 それは鉛筆で描かれた簡素な街並み。夕焼けに光る輪郭と陰影無くした心象風景。影法師が歩いてる。何という遅さ追い付けない。自分が居なくとも何が在っても、世界は今日も簡単そうに回る。幸福も不幸も無く、ただ、一切は過ぎて行く。だがそれで良い。この世界に意味は無く、在るとすれば意味を見出す心意気のみ。幸福に生きよ。僕は世界の限界であり、その頭はちょうど神様と同じ大きさ。世界の全ては、今、此処に。今こそ楽園を笑い飛ばし桃源郷へと至らん。さあ今こそ、星の様に、目マ狂シく回らン!

 さらば夢想の日々よ。

「スキル発動、名前は――Boyチェッ! 漫画の様にすぐには思い浮かばんな、大体、恥ずかしい。まるで愛の告白の様だ。ま、こんなのはどうだ? スキル名は〈世界劇場メアリー・スー〉。効果は『理想の自分を二次創作する』。君を倒す、覚悟しろ」

 俺は愚者よろしく崖から落っこちた。

 ――無限の後悔と恐怖とを抱いだいて黒い波の方へ静かに落ちて行った。

 屋上の端で、背中から空に倒れ込む。心臓が縮まり、世界がぐらりと回転する。一瞬の浮遊感、夢に落ちていく感覚の後、落下に従い世界が加速する。星々を映すビルの窓ガラスが映画フィルムのように上へ飛んで行く。

「慧一さん、待って下さい」

 見上げると、いや、見下ろすと、アルマが崖を飛び越え落ちて来た。飛んで来た。黒く長い髪を乱し、瑠璃色のドレスをはためかせ、右手を俺の方へ伸ばしてくる。俺はその手に向かって右手を伸ばした。その右手を見てアルマが瞠目した。

 その右手には輝かぬ灰赫の光があった。煙草の煙に揺らめく光であった。そして無論、その光に包まれたるは、相手を簡単に死に至らせる回転式拳銃リボルバー

「〈星奮ブレイズ・アルター〉」

 アルマの魔法の呪文を、俺が唱えた。その瞬間、Crack、と何かが割れる音がした。

 レドナーの銃が重くなる。敵意の塊が装填される。「成程、技名を唱えるのは恥ずかしいが、心地良いな」、そう思って微笑み、銃口をアルマに向け、引金を引いた。その引き金に躊躇いは無かった。一度、魔法のドラッグをやればもう引き返せない様に。

 幕を切るように撃鉄が降ろされた。火薬が爆発し、絶望が弾かれた。

「――――ッ」だが弾丸は見えない空気の殻に防がれた。「慧一さん……」

 それでも、アルマは空を落ちて追って来る。俺はソレを見て、ビルの壁を蹴り、別のビルの屋上に着地する。アルマと追いかけっこでもするかの様に、ビルを飛び跳ねる。

 ――りん、とん、しゃん。

 夢の中は走り辛い。多分、足に感触が無いからだ。だから、跳ねる様に動くと良い。

 たんっ、と屋上を強く蹴る。建物を三つも五つも超える。息を大きく吸う様なぶわっとした高揚の後、ふわりと頂点で浮遊を感じ、ぞわりとする寒気と共に落ちていく。

 もう時刻はとても深夜で、一刻ももすれば朝が来よう。魔法シンデレラの時間はそれまでだ。その前にやれるだけやってやろう。

 於戯、このまま何処までも行けたらいいのに。ずっと彼女と追いかけっこできればいいのに。何も望まず、何も悩まず、誰にも迷惑かけず、誰からも奪わず……けど、そんな事は無理なんだな。無理なんだよな。なあそうだろう? なあ?

 ――りん、とん、しゃん。

 たんっ、と三十階はある超高層ビルに向かって跳躍する。壁に着地して、壁を蹴って昇って行く。重力を無視し一歩、二歩と空へ跳ぶ。最後の一歩は五階も昇って、屋上よりずっと高く飛び上がる。するとビルの壁は眼下に落ち、幕を上げる様に、ぶわっと星空と夜景が広がった。心臓がグッと締め付けられた。

 ――ああ、なんて美しいんだろう。

 人は言う、「世界は素晴らしい」。ああ、その通りだ。自分が居ても居なくても、世界は美しく動いている。善も悪も全部抱いて、世界は回っているのだ。泣きたかった。

「チクショウ、なんて美しいんだ……」

 思わずそう言った。如何なる賢者も道化も、世界、その無為な現象には敵わない。

「落ち着いて下さい、慧一さん。今の貴方は正気ではありません」

 振り返ると、アルマが空を落ちて追いかけてくる。何時もと変わらない顔で。

「さっきの弾丸に敵意は込めてない。けど次はこんなもんじゃないつもりだ」俺はビルの上に降りてそう言った。「アルマ、俺と闘ってくれ。俺の存在を証明してくれ。でないと俺は、俺を敵と見なさねばならないだろう」

「……闘う以外に無いのですか?」アルマも俺の前に降りる。「他の手も在るのでは?」

「そうかも知れない。けど、痛みを感じて初めて俺は夢から覚めるんだ。大人に成れるんだ。自分で自分に誇れるんだ。俺達は俺達じゃない、別の何かに成りたいんだ」

「其処まで思い詰めていたのですか? 気付きませんでした」

「サイコパスは皆そうさ。俺もまた、典型的な無頼派だったという訳さ」

「貴方は、私に勝つつもりですか?」

「まさか。俺は端役で、君は本物だ。少年漫画よろしく一時の努力と覚醒で倒せるような雰囲気作りの強敵ではない。例え何度倒しても、夜の様に何度も立ち上がるだろう。

 だが負けると知ってても闘いたいんだ。後悔する程の美しさを知ってもう誤魔化せない。夢がないフリも出来やしない。君を倒さなければ、何時までも後ろを振り返るんだ」

 解ってる。反社会を気取るロック・バンドみたいに、莫迦をする事に酔ってるんだ。友達でも作って日常を楽しめばいいのに。Boy! 全く、ムカつくぜクソッタレー。

 けどそれでいい。幸福なら、俺は彼女に会えなかった。

 故に俺の「勝ち」と「価値」はそこにない。この勝負の意味、それは――

「だから、どうか闘ってくれ。俺の信用できる敵に成ってくれ。『あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたははらの底から真面目ですか』」

 それは脅迫に近かった。或いはナルシストにも似た、下らない懇願だった。

 だが、それでも彼女は応えるのだ。それが存在理由だから。けれど精一杯の足止めとして、俺にこう問うのだ。

「……それは命令ですか?」

 その言葉に対する俺の答えは一つだった。もう言葉は決めていた。

「違う、これは……」バツが悪そうに、困った様に、けど笑って言った。「我が儘だ」

「……そうですか」アルマはしばし、思案する様に眼を閉じた。それは相手の言葉を、ゆっくりと咀嚼する様な趣だった。だが次に目を開けた時は、もう意志は決まっていた。それが彼女の生き方だった。「解りました。かく語るなら闘いましょう。私はアルマ。何の舞台も役もなく、ただ一片の剣として、ただ貴方に敵対しましょう。貴方が何を望もうと、私が何を望まなくとも関係ない。相対するのなら、叩き斬る、までです」

「ありがとう」アルマの口上に、俺は微笑んだ。闘いは一瞬で終わるだろう。けどそれでいい。その一瞬に賭ける。「なら最後に派手にやってくれ。笑劇の様に、『FOOLY COOLY』に、莫迦みたいに格好良く。さあ、ガンガン行こうぜ!」

 その言葉に対する少女の答えは一つだった。

「了(Understood)」

 その言葉を合図に、俺達は舞台を始めた。


 我はよくある服を翻し一人の少女へ駆けあがる、

 観客は不要、拍手も不要、誰に見せるかこの演舞、俺達の舞台の始まりだ。

 無粋な刃は貴方の為、衒う語りも貴方の為。

 来い、不倶戴天の至高神、我が幸福を司る汝を倒し、俺は、幸福そのものに成る!

 “Amazing grace! How sweet the sound.”

 成就――


 アルマが隕石のように接近する。初速から最高速度。斜めに太刀を振り下ろしてくる。方や、俺は銃を左手に持ち替えて、右手で素早くジャケットからカッターを取り出し、

「〈鋼夜の口笛吹き〉!」

 Crack、と硝子の割れる様な音と共に、カッターが太刀を受け止めた。右手に灰赫の星が燃え上がり、カッターが巨大化しその力が顕在化した。

「この力、頭に撃ち込んだレドナーの弾丸によるものですか。〈ア・バオ・ア・クー〉の模倣能力を応用し、〈ブレイズ・アルター〉のように己の願望を投影、現実化した……」

「原理は知らん。少年漫画よろしくな。だが闘う意志は、俺のもの、ダッ!」俺はカッターを振り回し、アルマを吹き飛ばした。俺がアルマを吹き飛ばした。その事に興奮した。煙草ではしゃぐ不良少年のように。「〈限界点突破〉!」

 俺は床を砕き跳ねた。爆音を置き去りにし、吹き飛ばしたアルマに追いつく。体勢を立て直される前にカッターを振り降ろす。アルマは太刀で受けるが更に吹き飛ばされ、屋上の外に投げ出された。俺は屋上を飛び越え、アルマを追う。俺は一人で空を飛ぶ。

「〈限界点突破〉」

 アルマの蒼銀の光が炸裂した。俺のカッターとアルマの太刀が交差する。その交差点を中心に衝撃波が生み出され、俺は吹き飛ばされ、彼女は微動だにしない。だがそれでも負けじと、俺は大きく弧を描いてアルマに突っ込む。――が、

「必殺――『天の光はすべて星』」

 此処でこの必殺技。花吹雪の様に、花火の様に、幾星霜の光子がアルマを中心に弾け飛ぶ。その星の威力は暴力的で、姿は美しい。俺は思わず見惚れてしまう。

(於戯、俺も彼女の様に、星の様に、無為に、問答無用に輝けたら……)

 だが、今更だ。俺は彼女の味方ではなく、敵である事を選んだのだ。莫迦だなあ。

「〈空の殻〉!」

 俺は見えない壁を纏い、星の万華鏡に突っ込む。硝子の破片に飛び込む様に。やっとアルマの前に出られた時には、服は焦げ、皮膚は裂かれていた。物真似ではコレが限界。

「〈即席魔術〉!」

 俺の右手が光ったかと思うと、俺とアルマの間が爆発した。攻撃ではない、音と光と威嚇だ。自分の起こした爆発に突っ込んで、怯んだアルマを斬るつもりだった。

「〈シエル・シェル〉」

 しかしアルマは怯む事無く、むしろ爆発ごと俺を吹き飛ばした。圧縮された風が解放され、球状に爆風が展開される。

 改めてアルマの力を思い知る。生身で戦闘機に向かっていく様な圧倒的戦力差。次元が違う。もはやあのレベルの存在にとって、小手先の技術や知識など問題ではないのだ。

 だがまだだ。まだヤれる。己の為に、彼女の為に。星心を刃にしろ。情熱が俺の心をドロドロに溶かし、夜の寒さが鋭利に凍らせる。諸刃にささくれた刃を握り、痛みを自分の証明としろ。さあ、今こそ己の星を、振るえ、ゆらゆら、ゆらゆらと、

 奮え。

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 再度、俺は叫んで突っ込んだ。叫ぶのが恥ずかしいとか言ってられない。自分の防御など気にしてられない。恐怖を叫びで誤魔化せ。ヤケクソに成れ。

 身体の痛みを無視してカッターで斬る。いや斬ってない。闘い方の知らない俺は殴るだけだ。俺の刃がアルマの刃と交じり火花が散る。散る度に心臓が高鳴る。

 しかしアルマの身体は嫋やかだ。柔らかく美しく一転攻性、スイング・バイのように滑らかに太刀を返してくる。俺はその太刀に真正面からカッターで応える。

 が、それは俺のフェイクだ。言うなれば、剣道の返し胴。俺は剣戟に応じるフリをして、撃ち合った瞬間に力を抜いた。結果、アルマは力んだ様に前へ押し出される。俺はアルマの横を抜け、同時に無防備になったアルマの胴にカッターを喰わせる。

 しかしアルマはしなやかだ。死に体と思われた姿勢から、上空へ前転し回避した。チェスよろしく常に一手先を考える、それがアルマの戦闘スタイルであった。それでもドレスは斬り裂かれ、紅くにじんだ肌が見て取れた。

 それを見て俺は悲しくなった。割り切ったはずなのに、自分の自己満足に付き合せて申し訳ない気持ちになった。だがすぐに自分を叱咤した。それこそエゴだ。予防線だ。傷をつけてから謝るなど莫迦げてる。大体、思い上がりだ、お前如きで彼女が穢れるものか。彼女は男にとって都合の良い「よごれを知らぬヴァジニティ」ではない。

 況や、俺は俺の力で彼女が傷付くのが嬉しかった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 大声で叫んだ。叫ぶ程に酸素を欲し、疲労感がした。それでも叫んだ。叫ぶのは気持ちが良かった。オナニーのようだった。正気じゃないのかもしれなかった。

 子供じみた泣き声だった。親を殴るようだった。お前に解るものかと否定したかった。そしてそれでも抱きしめて欲しかった。無言で見守って欲しかった。子供は知って反抗するのだ、親がその程度で傷付かない事を、それでも自分を受け入れてくれる事を。

「Boy! 最高だぜクソッタレーッ! まるで餓鬼の我が儘だ! 結局、お前の苦悩はその程度なのだよ。お前は自分の不幸が重要だと思ってるが、無意識では、よくある映画の小道具にしか思っていないのだ。どんな喜劇も悲劇も、思い出に成れば美しいのだ!」

 恥ずかしい心の吐露。だが、今だけは大人に成ろうとする事を止めて、

「何か出ろ――ッ!」ヤケクソで叫んだ。すると銃から太陽柱の如き光線ビームが出て、アルマを呑み込み空へ消えた。「あーは。必殺――『天気輪の柱』、ってか」

 出した俺の方が驚いた。しかしアルマはビームから脱出していた。まあこんな適当なので倒せるはずもないか。もっと敵意を込めろ、相手のハートを撃ち砕け!

(……と、言いたい所だが)

 徐々に俺の攻撃が通用しなくなっていた。やはりワンショットではこれが限界。寒い夜空では酔いも覚める。アルマもそれに気付いた様だ。止めをささんとばかりに突っ込んでくる。なら、コッチも最後の全力だ。カッターナイフを握りしめ、正面交差ヘッドオンに立ち向かう。空から落ちてくる少女に向かい、俺は飛ぶ。

 ああ、身体は泣きたい程に震えてて、けれども心は眠っている様に穏やかだった。夢の様に荒唐無稽で、けれども親の腕の中の様に安心していた。満たされていた。

 所詮、自分など彼女ガールの物語の一頁に過ぎないのだろう。側らに彼を引き連れて、これからも俺のような端役ボーイに会うのだろう。

 けどこの瞬間はもう揺るがない。もう誰にも奪われない。共感も同情もさせない。

「『何だと?……無駄な努力だ?……百も承知だ! だがな、勝つ望みがある時ばかり、戦うのとは訳が違うぞ! そうとも! 負けると知って戦うのが、遙かに美しいのだ!』」いや違う。道化は負けん。例え当たって砕けても、この破片、その胸に突き刺してやる。君に忘れられるくらいなら、俺の爪跡を残してやる。「そうとも、傷物にしてやる。この俺の……『心意気モン・パナッシュ』でッ!」

 そしてこれで何もかも――

「ギフト発動〈我が麗しの妖精〉。効果は『相手の理想と成る』。ハレルヤ」

 来たッ!

 アルマが魔法の呪文を唱えた時、俺は確信した。アルマが星のように輝く。その輝きは太陽に向かう蝋の羽根を燃やし尽くす。その威力は破壊的で、その狙いは絶望的だ。

 だがこの光の先にこそ、俺達の目指す暗闇が在る。

 やはり間違っていなかった! 肉が震える。心が奮える。絶頂する。「試したい。己の全力をぶつければどうなるか、己の力が何処まで通用するか」――天多の役者が彼女に挑む理由が、此処に在るッ!

 アルマが空中で彗星の如く突進する。俺の理想が刃を向く。

 まあ慌てるな。集中しろ。こんな時こそ落ち着、っていや違うだろ、素面を気取ってる場合かここは滅茶苦茶叫んで気合入れる場面だっつーの恥を捨てろ裁判でも試合でも不利なら叫べば良いんだよ前を見ろ叫べ、

 泣き叫べ!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 瑠璃色の空の中心で、俺とアルマの刃が交差した。金属音が鳴り響き、火が走る。

 そして俺のカッターナイフが砕け散った。かと思うと、散弾銃の如くアルマに向かって飛び散った。カッターナイフが折れるのは折り込み済みだ。

 だがアルマは避けなかった。敢えて刃を受けた。彼女の服が斬られる。肉が斬られる。

 そして俺もまた斬られる。俺の方にも刃が飛んでいた。

 だがそれもまた折り込み済み。俺は怯まなかった。傷付くままに前に出た。

「うああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!」

 肺の中の空気を使い果たした。この舞台一番の雄叫びを上げた。

 その叫びにアルマが怯んだ。俺の敵意がアルマに勝った。俺の理想に勝ったのだ。

 俺は刃を振り下ろした。アルマは見つめて動かない。受け入れようとでもいう様に。

 だが、

「――慧一さん?」

 アルマの困惑した様な声が聞こえた。俺は刃を捨てていた。アルマを抱き締めていた。此処にある存在を確認する様に。背中はとても寒かったが、心はとても暖かかった。意外とアルマは小さくて、俺の胸元に届くかどうかだった。

「ああ、これで十分だ。勇者が自分の影を許容するようなお約束が、俺にも出来た」ここで物語のようにキスできたら最高だろう、だがその権利は俺に無い。「ただ……コレだけは敢えて言わせてくれ。夢の中なら、何を言っても構わんだろうから」

 俺は名残惜しそうに強く抱きしめた後、アルマから身を離し、その顔を見つめて言った。冬空の上で、星空の下で。返事は要らない。ただ受け取ってくれるだけで構わない。

「アルマ、俺は君が好きだ。君の存在に感謝する」

 今になって俺は解った。何故、王道が好まれるかを。単純だ。誰でも憧れるからだ。

 アルマの肩に手を乗せて、熱っぽい、驚いている様なアルマの瞳を見つめた。無論、飽くまでも気のせいだ。でもそれでいいのだ。其処に意味を見出すのが心なのだ。夢の中の様な気がした。そして実際、これは夢だ。朝日が来れば消えてしまう儚い幻想だ。

 だから、アルマは俺の言葉に、

「肯。どういたしまして(Me too)」

 何時もの調子で、凛とした美しさで、そう応えた。その顔を光が照らした。

「朝だ……」

 朝日が街を照らしていた。夜の舞台は幕を閉じ、やがて朝の舞台が始まるだろう。

 もう、魔法の時間は終わったのだ。

「……慧一さん?」不意に、アルマがそう言った。俺の手がアルマの肩から落ちていた。それどころか重力に従って身体自体が落ちていた――だが、落下は途中で止まった。アルマが俺の腕を掴んでいた。「大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。どうやらもう俺は飛べないらしい。……落ちてばかりだな」俺は気が抜けたように、心地良く笑う。「酔いが覚めた。アルマの傷も服も元通りだ」

「え?」アルマは己を見た。確かに、傷も服も治っていた。「これは、一体……?」

「俺の疑似スキル〈世界劇場〉、その真の効果は『夢落ち』だったという訳さ。『我等は夢と同じ様なモノで作られており、その儚き命は眠りと共に終わる』――夜の間だけ夢が叶い、朝に成れば消えて逝く。拍手をする様に本を閉じ、幕を降ろして瞼を開ける。きっと闘いで荒れた街も元通りで、一般客も居なかったろう。尤も、作家である俺はボロボロのままで、夜色の黒歴史も消えちゃくれないけど。少年漫画の能力としちゃ出来損ないだ」

「まさか。大艦巨砲が持て囃されるのは古典かフィクション、現代のリアルに必要なのは効率性です。そしてその力は、支援用と考えれば第二種永久機関よろしく如何なる訓練や新開発による経験値を消耗や失敗を気にせず蓄えられ、戦闘用と考えても事実上相手を傷付けず一時的に戦闘不能に出来る、素晴らしい有用性です。尤も、一日しか持たないのは流石に早過ぎますので、改良が必要でしょうが」肩をすくめる俺に対し、アルマは飽くまでも生真面目にそう言った。「何と儚く、極まった願望か。まさに影法師の到達点。自己完結。孤立系。星。……成程、資質は在ったわけですか」

「資質? 違うよ。これは誰でも持ってるヒューマン・スキルさ」

 俺は昇ってくる光を見た。白い光は、黒い夜を淡い青に変えていった。何だか、街全体が海の中に沈んでいる様に見てる。そしてこれから、夢の中から浮かぶのだ。

「終わりは一瞬だったな」そして、俺はぼんやりと呟いた。「俺は君を利用していた」

 無茶してみたかっただけなのだ。何か派手な事をやりたかったのだ。子供じみた社会への反発だ。否定でもいい。反応が、手応えが欲しかったのだ。何かが変わると信じて。

「『これさえ打ち倒せばハッピーエンド』、そんな少年漫画のような敵と幸福が欲しかったんだ。いや、バッドエンドでも良いんだ。何が正解か不正解か解らない世界に、幸福も不幸も無く過ぎて行く人生に、明確な答えが欲しかったんだ。『何のために生まれて、何をして生きるのか』、その答えが。行き場の無い想いを受け止めてくれる、確固たる敵が。でないと茫洋に分解されて、現実感が無くなって、自分が生きてるのか死んでるのか、この世界に居るのか、もう解らなく成りそうだったんだ。

 詰まる所、自分探しさ。スポーツのような駄目でも頑張ったと言える思い出作りや、何もかも満ち足りた故に生の実感を失った若者がやる死への挑戦や、安っぽい非行少年の不良行為や、エネルギーの使い方が解らない餓鬼と同じさ。刺激が欲しかったんだ。自分の選択に納得したかったんだ。ハッとする感動が得られると期待したんだ」

 そう、俺は望んでいた。例えば物語の主役の様に、闇を切り裂く聖剣を持ち、星を落とす魔法を唱え、騒がしい仲間と胸躍る冒険をする、そんな役を。

「でも、同時に思っていたんだ」

 それは俺じゃない。

「俺は、俺に対して、『俺じゃなくていい』って――そう、思ってたんだ」

 安っぽい青春小説よろしく、世の中に起こることが何もかも嫌だった訳じゃない。むしろ好きだ。「並べて世は事もなし」。天多の物語が語る様に、俺は世界を素晴らしいと思っている。だからこそ、自分が居なくても良いと思ったのだ。十分だと思ったのだ。

 消えてしまいたいのだ、いっその事。何時までも目的も無く茫洋と生きるくらいなら、何もかも終わって欲しかったのだ。そうだ、俺は、俺は、俺は――

「『愛して欲しかった』?」

「――ハッ、違うさ」俺は頭を振った。「ただ、スカートめくりがしたかっただけだよ」

 逆だ。認めて欲しかった訳じゃない。己の全てを賭けても良い……そう思える、信じられる物が欲しかったんだ。神様のような、絶対の道標が欲しかったんだ。

 しかし、独りよがりだった。憧れは最後まで憧れだった。ソレが輝いていたから誘蛾のように惹かれただけで、本当はソレが何なのか、全く解っちゃいなかったのだ。此処じゃない何処かなら良くて、アルマ達が何なのか、どうでも良かったのだ。

「それでも良いです。土台、この世に永遠不変の実体は無く、完全遍在の幸福は無い。己以外が居る限り、絶対は在りません。そしてそれ故に、この世界劇場は彩るのです。

 この世界に意味は在りません。在るのは無意味に意味を見出す心意気のみ。無為に輝く星々に、神を見出す様に。それが人の力です。影法師たる道化の心意気です。そんな少数派の独り善がりが、何時だって世界を革命するのです」

「だが、それは誰でも良いはずさ。俺が居ても居なくても、世界は回る」

「そうかも知れません。けど、今、此処に居るのは貴方です」

「……そうかぁ」彼女は見ててくれたのだ。月の様に、静かに、だが確かに。「なら、君から見て、俺はどうだった?」

 漠然とした質問だった。俺自身、何を問いたいのか解っていなかったのかもしれない。だがアルマは受け取り、こう応えた。

「私は、楽しかったですよ。初めてでした、貴方の様な可笑しな方は」

 そう、アルマは微笑んだ。それに対し、俺も大きく笑った。泣くのを誤魔化す様に。

「? 何か笑う所ですか?」

「いや、笑う所じゃない。これを笑っていいのは俺だけだ。自分の道化さに笑ったんだ」

 初めてじゃないよ。忘れてるだけさ。きっと、君は今まで色んな可笑しな奴に助けられてるよ。そしてこれからも。特に、何時も君と一緒にいるあの人に。

「……私は鏡です」少女が街を見下ろし、静かに独白する。「私は小説の『私』です。作家であり、読者です。私への問いは、貴方への問いです。況や、敵に答えを望んでも仕方ない。けれど、敢えて言えば、解というのは須らく肯定でしょう。それは、『これでいいのだ』という許容の心意気なのですから」

「そうか」言ってる事が良く解らない。結局、俺は彼女の台詞の大抵は新興宗教と思うばかりだった。「それより、そろそろ降りようぜ。腕が疲れる。あの公園でいいからさ」

「ああ、そうですね。了(Understood)」

 Quon、と月の鐘のような音と共に、ゆったり地面が近付く。

 何だかとても眠たかった。生活リズムが滅茶苦茶な俺も流石に疲れた。地面に降り立つとフラついた。気が抜けて一気に疲れが出たのだろう。アルマが「大丈夫ですか?」と言い、俺は「ああ、大丈夫。ありがとう」と軽く応えた。アルマは、何時も通り凛としていた。いやはや、本当、凄いもんだった。

 取り敢えず、アルマと俺は近くのベンチに腰を下ろした。何だかとても落ち着いた。座って落ち着く様になったら、もう歳だな。

 辺りではスズメが鳴いていた。彼等と仲良くするにはどうしたらいいだろう。逃げないで欲しい。あんなに一杯いるのだから、一匹くらい仲良くしてくれてもいいのに。言葉は何て不自由なんだろ。そんな取り留めのない事が思い浮かぶ。

 平和だった。日常だった。さっきまでの闘いが嘘の様だった。

「お前の世界観、魅せてもらったぞ」其処に、エンジン音が入って来た。バイクに乗ったケイだった。「やはり君は熱血系だった様だね。気持ち良かっただろ、目一杯叫んで。世界は茫洋、故に意外とどうとでもなるものだ。少なくとも、手の届く世界はね」

「セカイ系ですね。俺は何でもありだから茫洋なんですがね。絶対の世界が欲しいです」

「非絶対が絶対に変わる時点で絶対じゃないだろ。絶対は比較されない事だから。君はまだ道化の本質が解ってない」ケイも笑った。そしてこう問う。「これで良かったのか?」

「はい……いや、きっと後悔するでしょうね。けど、俺はこれでいいのだ」

 俺はこの冬夜を、愛も変わらず思い出すだろう。熱病の様に、不治の病の様に、夜の様に。その事を、何時か呪う時が来るかも知れない。知らなければ良かったと。ならばその思い出は肉を縛る鎖と成り、心を擦り減らす鉄線と成ろう。

 けどそれでもいい。それがいい。その呪いの強さだけ、愛したという事だから。

「何をこれで終わりみたいに言っとるんだ。『けれどもこれは別の物語』、だぜ? 況や、人生という劇はまだ終わりぢゃあない」そして、ケイは笑う、懐かしそうに。「……真の意志とか何とかの説教な、ありゃ半分は演出だ。確かに魔法使いは孤独さ。しかし換言すりゃ、魔法使いは誰もが孤独という事だ。そう気負うな。手前と同じ莫迦な奴は、何処にだって居るものさ、良くも悪くもな。そして同じ様に、日常から外れたら、また俺達に会えるだろう。尤も、簡単に捨てられる程度の日常から外れたくらいじゃ会えないけどね」

「古臭いですね。携帯のアドレスとか教えてくれません?」

「会いたきゃ走れ」ケイは最後の最後まで軽い冗句を言った。「とは言え、一先ず、閉幕としよう。寂しいが、再開の為に、今は別れよう。では、アルマ君」

「肯」アルマが俺に向き直った。「では慧一さん。〈相棒探し〉を解除します」

「解った。あーでも、最初の時みたいに痺れさせないでくれよ?」

「善処します」

 そう言うと、Quonとアルマの右手が燃えた。そして俺の胸に当てた。力が抜けていく感じがした。オーガズムのような弛緩と、喪失感が在った。意識が途切れそうだった。

「……はい、終わりました」

「ふむ、なら長居は無用。俺達は次の舞台に行こう。これにて今宵の舞台は終幕だ」

 そして、ケイはこう言った。深く息を吸い、大仰に右手を上げ、鮮明な声で、

「『我ら役者は影法師』!」そう、叫んで魅せた。「『――もし私どもの劇に御不満なら、こう思いさようなら。――皆様は此処で居眠りし、今まで見ていたのは全て幻。――儚く道化たお芝居だったと、たった一夜の夢だったと。――しかしもし皆様がお笑いを、下さるならばまたのお越しを。――私はパック正直者、意外な幸運で皆様の――野次が無ければ身は励み、より良い劇は揃い済み。――さもなくば嘘付きとお呼び下さい、それでは皆様おやすみなさい。――私ども妖精は良き隣人です、拍手を下されば幸いです』」

 如何にもな演技でそう語り、次いで右足を引き、右手を腹に添え、左手を横に広げ、頭を下げた。俺はそれに、「今は冬ですし、もう朝ですけどね」と笑って、拍手した。

「それは仕方ない。現実は物語の様に、舞台装置が無ければ機械仕掛けの神も居らんのだから」そしてそれ故に、俺達は物語るのだ。自分の舞台は、自分の手で――そう、ケイは笑った。「じゃあな、若人。また会う時に、また会おう」

「ええ、会いましょう。言うだけなら自由でしょう」

「肯。また会いましょう。この度の出来事は、とても良い思い出です」アルマはそう言って、右手を差し出してきた。「きっと忘れません」

「ああ、忘れないよ」君の方は、解らないけど。「惚れたぜ、本当に……またな」俺は、敢えて多く語らず、微笑んでその右手を握り返「アァッツゥ!?」

「ああ、スミマセン。今の私は恒星の熱さが超新星よろしく圧縮されていますので、〈相棒探し〉による敵味方識別(IFF)が切れた貴方にはちと鮮烈過ぎたようです」

 それは色々と大丈夫なのか、と俺は苦笑いした。最後まで締まらない話だった。

 そして二人はバイクの方へと歩いて行った。何だか飲み会の解散みたいだと思った。と言っても飲み会なんてサークルの新歓くらいしか言った事なくて、それも三回で幽霊になったけど。俺はそんな事を思い出して目を伏せて笑った。

 と、また目を上げて、バイクの方を見ると、まだ出発していなかった。メットを着たケイに向かい、アルマが何やら話している。そして、アルマは此方の方へと向かって来た。俺は慌てて表情を作り、何て事なさげに笑ってみせた。

「どうした、何か忘れものかい?」

「ええ、スミマセン、忘れてました」そう言って、彼女は顔を近づけてきた。鼻がぶつかる距離を越えて、そして――「これで最高ですか?」

 俺の額に口付けした。彼女は淡く、優しく、微笑んでいた。

 今までのそう思うだけとは違う、本当の微笑みだった。人形のような美しさは無く、子供らしいあどけなさが在った。それが見られただけで、闘った意味が在ったと思った。

 その笑みに対し、俺は困った様に笑ってみせた。突然、幸福な気持ちになったんだ。本当を言うと、大声で叫びたいくらいだったな。

「ああ、最高だよ……ありがとう」

 身体は今にも震えそうで、心はとても落ち着いていた。今なら全てを許せる気がした。

「こちらこそ」丁寧に頭を下げ、次いで、こう言った。「私は、全てを敵し、愛しています。此処じゃない何処かに臨む宇宙飛行士の様に、喜劇も悲劇も虹を生み出す白と黒な様に。だから、貴方との出逢いに感謝します(Thank you for your stage)」

「俺は」君の特別に成りたいけどね、と言おうとしたが、止めた。もう劇は終わりだ。気持ち良く終わろう。「――俺も愛してるよ。ありがとう」

 そして、今度こそ彼女はケイの元に戻り、メットを被り、バイクに乗った。バイクは高いエンジン音を立て、止まる事なく走り去った。俺は立ち上がった。

「ありがとう、アルマ、ケイ! ありがとう! また会おう! とにかく元気にで!」

 俺は大きく手を振った。アルマも手を振り、ケイも手を振った。その姿はすぐに見えなくなり、音も聞こえなくなるのに、そう時間はかからなかった。

Boyチェッ! これで終わり、か。呆気ないな。夢のように……」

 俺はベンチに座り直し、息を吐いた。冷たい空は高かった。景色はミルクを注いだ様に呆と霧がかかっていた……のではなくて、眠すぎて眼が参っているだけだった。

 アルマの〈相棒探し〉の効果が切れて、脳が熱暴走を起こしていた。身体が変に震え、汗が出た。まだ余韻に浸りたかったが、ベンチで寝落ちはゴメンだなあ。

「仕方ない、帰るか」

 俺はベンチを立ち上がった。立眩みした。

 帰るのは少し難しかった。かなり遠くまで来たようで、自分が何処にいるか解らなかった。しかし駅を見つければ、後は家の最寄りの駅まで乗るだけだった。財布は持ってなかったが、ポケットにIC乗車カードが入っていた。自分のモノグサに感謝した。早朝だというのにもう人がちらほらいた。ボロボロの俺は奇異の眼で見られたが、終ぞ話しかけられなかった。面倒が無くて助かったが、理由を話せないのが少しもどかしかった。しかし家の前まで来て青ざめた。ケイだろう、戸締りされていた。だが、レターボックスに鍵が入っていた。俺はケイに感謝した。俺は部屋に入った。

 部屋は意外と片付いている。家具は一式揃っている。部屋の音は時折に唸る冷蔵庫の音と一定のリズムで時を刻むアナログ時計の音だけだった。

 静かな部屋だった。

 俺は何か腹に詰めようかと思ったが、インスタントが無いので止めた。風呂に入ろうかと思ったが、面倒なので止めた。カーテンを閉め、服も着替えず、ベッドに倒れこんだ。

「あ、今日の講義……いいか。三分の一までは、休んでも、大丈夫さ……」

 もう疲れた。一杯歩いた。科学技術は進化しているようで全然進化しちゃいない。空飛ぶサーフボードみたいなのがあれば……まあそんなこと考えたって仕方ないか。

「……おやすみ」

 一人呟き、俺はゆっくり眼を閉じた。幕を閉じるように。徐々に部屋が暗くなり、音が静かになっていく。だがそれと共に、目蓋の裏は明るくなり、音が賑やかになっていく。

 目蓋に現れた夢の舞台は、剣や銃が舞い踊る、笑劇染みた莫迦騒ぎだった――



 ……第八幕・終

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