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平凡希望しかし現実苦し  作者: 澤木弘志
序章
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能力発見

はあぁあ!!?

第一声(音は出て無い)はなんとも情けない叫びを帯びていた。

混乱を極める状況ゆえ仕方ないにしてもこれはない。

なんで私はこんな噴水に突き上げられるボールの如く上下に揺れながら空中にいるのだろう?


一変した大地は灼熱の砂漠を豊沃な水源地へと様変わりさせあれほどいつの間にか照りつけていた熱波も緩やかになっていた。

水源は把握できる目視全てに広がり砂漠であった痕跡など見当たらない。

目下のあの小さなオアシスも巻き込んで広がっているため僅かにあった木々は水の勢いになぎ倒され、もとあった場所より幾分か流されているようだ。

水は豊富に湧き上がり水不足は解消された。

だが以前食糧不足が立ちはだかっている。


でもその前に私を地上に降ろしてぇ!!



かれこれ三時間強はこうしているのだ早く水が収まるのを祈って何が悪い。

ドドドドド…

水の噴き出す音が僅かに小さくなり始めた。

ようやくかぁ…もう水は結構です…

水の勢いも当初のモノとは幾分か落ちてゆき高度も徐々に地上に近づいてゆく。

風のようにいきなり止まるとかじゃないようで安心した。

二、三十分後腰の高さぐらいまで下がった水の上から漸く地上に帰還!長かった…

すぐ下の地面は最早湖で足が届かないくらい深くまで水が溜まっている。これは想定内だったため降りてすぐ泳ぐと云う動作に素早く移行。

中心地である此処は深いためどこか浅瀬のところまで泳がなくてはならない。

ちょうど砂丘だったのか木々が流されていたところで水の深さが足首辺りになった。

此処まで一時間くらいか。ずいぶん遠かった。

なんだがすごく疲れた。本当に…


ここまで水が溢れているところをみると天変地異のようだ。まさしくそうなのだが…

ここできてふっと何かが脳裏をかすめた。

天変地異・水源・水……

なんだ?何か引っかかる。

はっ!い、いやまさか。そんなはずは…

もしかしてコレ私のせいか??


もしかして、もしかしてこれはあの能力なのか!?




気付いた瞬間膝をついて再び項垂れた私を誰が責めようか。


気付いてしまったのだ。この状況はこの身体の素であるオリキャラの主能力のせいであったと。

遅れてしまったがこの素になったオリキャラについての説明をしようと思う。

まずオリキャラを主人公としていた小説は荒廃した世界を舞台にしたものだった。

主人公であるオリキャラは水と緑を生み操る不思議な力を持つ少年。その少年が旅をしてゆくにつれて出逢う人々との交流や荒廃した世界に蔓延る悪と闘いながら世界を元の緑豊かな大地に蘇らせるのが主なストーリーだった。

つまりそいつを素にしていると云うことはその能力も引き継いでいるんじゃなかろうか。

でなければ突然こんな状況に陥ったりはしないはず。急展開すぎるし。

たぶん危機的な状況下で能力が暴走したのではないかと推測。

しかも若干ふらふらしてる身体の不調の原因は大規模な暴走によるものだ。



暴走したが不幸中の幸いか能力を発見できたっということにしよう。

もう責任うんぬんなんて考えられる余裕がある筈ない。

砂漠より水源に変貌したのは生きてゆくには最適だと思う。

あとは水によって軟化した地盤の硬化と食糧調達、住居の確保だ。

これもすべて能力で補える!

このキャラの能力は何度も言うようだが『水と緑を生み操る能力』だ。

ってことは緑つまり木々、下手すれば森が作れてしまうのだ。

もちろんこの広大な水源は暴走によって出来た過剰なモノだからここまですごいものは出来ないと思うが生活できるレベルには木々を生みだせるだろう。

木々を植えてゆけば緩んだ地盤も根によって強化され、食料も木々の成長を促してゆき果物を成せばそれが一時とはいえ食料になる。いずれは動物も寄り付くようになれば万々歳だ。

住居に至っては簡単だ。木々を切って簡易でも家を建ててしまえば雨風をしのげる。


ふふふ…!!ようやく運が回ってきたんじゃないか!

私は浮かれに浮かれ回っていた。きっとにやけた顔はだらしないものだろうが誰もいないのだ。構うものか!

すぐに取り掛かろうとしたけどまだ体調が万全ではない。少し体調を整えてからでも遅くはないだろう。






異世界に来てまだ一日目。陽は緩やかに傾き水源の水面を鮮やかに赤く染め始めていた。

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