オアシスにて 中
話は全く進んでません
小さなオアシスで一息ついて三十分くらいか、砂漠の熱波で火照った身体も幾分か涼しくなってきた。
さっきまで水辺で自身の顔なんかを確認しつつ暑苦しい上着を脱いでいた。
そこで気付いたのが私声出してねぇじゃんっという衝撃の事実だった。
じゃあ声出してみっかっとしたんだが…
このまま喋ると独り言にならない?
ってことだ。
傍から見ると可哀想な人にならないだろうか?
でも誰もいないし気にする必要ないのではと思うんだがやっぱ好みのキャラ姿なんだから声も期待してしまう。確認するためには会話が良いと思う訳だ。ようは第一声は誰かとの会話がいいというとなんだけど…
オアシスを少し出て砂漠を見渡す。
365度見渡す限りの砂です。
声掛ける生物も居やしねぇ!!
打ちひしがれ膝を付く様は場所が砂漠と相まって正しく哀れな人そのものだった。
絶望感そのままにオアシスに戻る。
気を無理やり戻して泉の淵に座り今後の事を考えた。
人間に必要なモノ『衣・食・住』今のままでは全滅だ。衣は仕方ないが当分はこのままでもいいだろう。早急に必要なのは残りの食と住だ。
このオアシスに生えてる僅かな木々を切って家にすることも出来るがそうすれば遮ることのない熱波がオアシスを襲い小さな泉などすぐに枯れてしまう。
ゆえにその案は却下。オアシスをでてどこか大きいオアシスに向かうっていう案もあるがどこにあるのか分からぬオアシスを求めて永遠と灼熱砂漠を渡るのは困難を極める。このオアシスに至っても幸いにも近くにあったのが奇跡的なのだ。もし近くになかったら今頃干からびて居たに違いないだろう。
まだ日が昇っている明るいうちはいい。木々の影で涼しむことが出来るから。だが陽が落ち夜になると砂漠は一気に気温が下がり氷点下になるんだ。今の装備では一晩も持たない。
食にいたっても同様に危機的だ。このオアシスの木々には食物、いわゆる果物が生えていない。もしかしたら時期的にまだなのかもしれないが、何もない所を見るとそれも当分先だ。まず果物が成る前にこっちが天に召されてしまう。
暢気に状況把握だとしている場合ではなかった。
空腹を覚えて久しくなってきた。
なにか食べ物を!
もうこの際口に入れれば何でもいい。虫でもいい!
何か横切らないかと血走り始めた目を凝らしながら砂漠を睨む。
もちろんそこは砂が広がるばかりで虫一匹すら横切る様子はない。
いらいらし始めた思想の中では真っ先にあの幼女にむけた怨言があふれてくる。
そんな事を思っても事態は一向に好転しないのだが…
っと目の前の砂漠の一帯が何の動作もないままもこりっと突如盛りあがった。
ぎょっと目視を続ける私の目の前でそれはずんずんと大きくなる。
ちょうど目線が見上げる程に間で大きくなると左右にソレは揺らめき始めた。
砂流のように流れ落ちてゆく砂の奥からそれは姿を現した。
水晶のように透ける身体を持つおよそ三メートルはあるだろう巨大な蛇だった。
私はそいつの出現に思わず音が零れる
「はあぁ!?」
あ、しゃべっちゃった…!